74話 旅行⑩
かなーり難産でした……(・ω・`)
読みにくいかもしれませんが、読んでいただければ幸いです(・ω・`)
「よぉしっ!それじゃあこれから別行動ってことでよろしく!!」
駅のロッカーに荷物を預け、近くのお店で昼食をとった後、お店を出てすぐに真琴がそう言ったんだ。そしたら健吾が何故か苦笑いしながら、
「あ、あぁ。篠宮さんと服部さんはいいだろうが、小野をあまり連れまわさないでやってくれよ?」
って言っていたんだよね。すると真琴は
「それなら問題ないわよ?そのために昨日一日は小野のやつに合わせていたんだし」
腕を組みながらドヤ顔で言っていたんだ。それを見た健吾が小野君の方に視線を向けたから僕もつられて小野君の方を見ると、小野君は
「昨日あれだけ俺の言うことを聞いてくれたんが今日を見越してたとはなぁ……。まぁ、実際に昨日はかなり好きなように動かしてもらったし、今日はしゃーないか……。そういうことやから、中山も丘神も俺のことは気にせんで楽しんだらええよ。俺はあいつらが暴走しないように見張っとるし」
最初は肩を落としていたんだけど、途中で何か吹っ切れたみたいようだっただ。最後の方には軽くガッツポーズを作っていたし……。
何で小野君がガッツポーズをしていたのかはわからないけど、それよりも僕だけがわかっていないということが何となくわかった僕は思わず
「ね、ねぇ?今何の話をしているの?真琴たちって僕たちと別行動するんだよね?」
って聞いちゃったんだ。そしたら
「"別行動"って意味では間違っておらんよ。じゃから京さんは特に気にしなくても大丈夫じゃ」
「そうだな。まぁ、今回は俺だけじゃなくて丘神もいるし、何とかなるだろ」
勇輝君と健吾がそう返してきたんだよね。だけど、
「何とかなるってどういうこと?」
何か問題でも起きるかのように健吾が言うからどういうことか尋ねると、
「それはまぁ、後でな。今ここで言ってしまうと意味がないし」
「え、う、うん……?」
答えてはくれたんだけど、教えてはくれなかったんだ。だけど、後で教えてくれるって言ってくれたし……ってでも、後でってどういうことなんだろ?結局新たな疑問が増えただけの僕は戸惑いながらも返事を返すと
「まっ、そういうことで頼む」
健吾は改めて真琴たちの方に振り向いてからそう言ったんだ。そしたら
「えぇ、楽しんででね?」
「あぁ、楽しませてもらうよ」
2人で何かのやり取りをしたのを見届けてから僕たちは真琴と別れたのであった。
…………
……
「それで、さっきのはどういうことなの?」
真琴たちと別れて、姿が見えなくなった頃に改めてそう聞くと
「ん?あぁ、あれだよ、ゴールデンウィークのときと同じってことだ」
「え?あっ、あぁー……」
健吾にそう言われ、ようやく真琴たちがしようとしていることが分かった僕はそんなことを出していると、
「ん?ゴールデンウィークのときってことは同じようなことがあったのか?」
勇輝君が僕たちにそう聞いてきたんだ。そういえば、あのときはまだ勇輝君とはあまり話していなかったもんね。
「えっとね?ゴールデンウィークのときに健吾とゲーセンに行ったんだよね。そのときに真琴や優花ちゃんにつけられていたんだ。今回もつまりそういうことだよね?」
まぁ、ゴールデンウィークのときは見ているって連絡が来ていたんだけどね。今回は教えてもらってないけど、健吾がそう言ってるし、勇輝君もわかっているみたいな反応だったから、きっとそういうことなんだろうね。
そう思いながら、『そうだよ』っていう答えを待っていたんだけど、
「……ちなみになんじゃが。そのときは京さんと中山の2人で出かけたのか?もちろんそのときに後ろからついてきていたのであろう篠宮さんたちをカウントしないでの話じゃが……」
勇輝君は僕の質問には答えず、逆に質問をしてきたんだよね。何でそんなことを聞いてきたのかがわからない僕は
「う、うん。2人って言っても、ただお昼ごはんを食べてゲーセンに言っただけだよ?」
素直に返したんだ。すると勇輝君が
「そ、そうか……。何度も同じ質問をしてもうて申し訳ないんじゃが、2人は本当に付き合っておらんのか?俺が今いるのは邪魔なだけな気がしてきたんじゃが……」
急に落ち込み始めて、呟くようにそう言ってきたんだ。あれ?僕今何か変なこと言っちゃった!?
何が勇輝君の気分を害したのかはわからないけど、とにかく説明しないとって思った僕は
「健吾とはほんとにそんなんじゃなから!!健吾とは"ただの"友達だし。それに、僕はまだ男の子と付き合う気なんか全然ないしね。だから全然邪魔なんかじゃないよ」
『ただの友達』っていう部分を強調しながらそう言ったんだ。本当はこれからずっと男の子と付き合うことなんてないだろうし、するつもりもないけど、それを言っちゃうとまた違う誤解が持たれそうだったからね……。まぁ、それはともかく、これで勇輝君の誤解も解けると思って反応を待っていると、勇輝君は健吾の方を見て、
「何ていうか……。すまん」
「いや、気にしなくていいさ。こういう反応をされるのはわかっていたことだし……」
「お、おう……。あれじゃな……。前途多難というべきか……、難攻不落というべきか……」
「あぁ……」
「「……はぁ」」
急に2人で話始めた後、軽く僕を見てからため息をついていたんだよね。急にそんなことをされたもんだから、
「え?何でため息つかれてるのっ!?」
って2人に抗議すると
「気づかないお前が悪い」
「すまぬ。これはさすがに俺たちからは言うことは出来ん」
とだけ僕に返した後、もう一度ため息をついたんだよね。この理不尽に思わず
「だから、何でーっ!?」
と叫んでしまったのであった。
…………
……
「そろそろいいかな?」
あれから駅の周辺を3人で散策して、人が多い通りに戻ってきたんだよね。そしたら健吾が一瞬チラッと後ろを振り返ってから、
「それじゃあ、言った通りで頼む」
「うむ」
「う、うん……。それにしても上手くいくかなぁ?」
僕たちに合図を送ってきたんだ。
色々と駅の周辺を見て回っているときに、ゴールデンウィークのときのように真琴たちを撒こうって話になったんだよね。だけど、その話をしていたときは人通りがあまり多くなかったんだ。だから、人通りが多いところに来たら作戦開始ってことになったんだ。
それで、いざ戻ってきて健吾からの合図で作戦開始ってことになったんだけど、僕が足を引っ張っちゃいそうで不安になってきたんだよね。だから思わず弱気なことを言っちゃってしまったんだ。そしたら
「まぁ、そんときはそんときでいいだろ」
「そうじゃ。それに、失敗に終わったときというのは篠宮さんたちと合流するってことなんじゃから3人行動から6人行動に変わるだけじゃ。京さんは気にしなくても大丈夫じゃよ」
2人がすぐに僕を励ましてくれたんだ。
「う、うん。頑張ってみるね!」
だから僕も2人に答えるためにも小さくガッツポーズをしたんだ。
「よし、それじゃあ始めるとするか」
「うむ」
「うん」
僕がやる気になったのを確認した健吾の合図で僕たちは一斉に人波の中へと飛び込んだのであった。
…………
……
「ふぅ。撒けたか」
「うむ……。思っていたよりあっさり撒けたから少し拍子抜けじゃったのぅ」
「あ、あはは……」
人波に飛び込んでから暫く間を縫うように進んだ後に脇道に入ったんだ。そこで息を潜めていると真琴たちは僕たちに気づかずにそのまま通りの奥の方まで行っちゃったんだよね。やっぱり人が多いから1回見失うと中々見つけられないよね……。体が大きい小野君も一緒に行動してるみたいだから、進む速度もかなり遅くなっちゃってるみたいだし……。
それで真琴たちが通り過ぎてから少し経った後、またこっちへ戻ってくるかもしれないと思った僕たちは元来た道を戻っていたんだよね。だけど、戻っている途中に、真琴たちを撒くことが出来たことで気が緩んだ僕はブルって来ちゃったんだ。昔なら我慢できたんだけど、今は……ね、うん。
確かこの辺りにあったよね?って地図を頭に思い浮かべながら
「ごめん、ちょっとだけ席を外すっていうのはおかしいかな?ちょっと向こうの方に行ってくるね」
確かあった方角を指さしてそう言ったんだ。だけど、これだけではさすがに察してもらえるはずもなく、
「ん?どうしたんだ?別に一緒に行くぞ?」
って健吾に言われたんだよね。何とか上手く言おうとしたんだけど、僕自身が思っていた以上に限界だったんだ。だから
「えっとね……?お手洗いに行ってくるからさすがに……」
顔を真っ赤にしながら小声でそう言うと、
「えっ!?あ、あぁ、すまん!」
「お、俺らはここで待っておるよ」
健吾も勇輝君も釣られて顔を真っ赤にしつつそう返してくれたのを見た僕は返事も返さないで逃げるようにトイレへと向かったのであった。
…………
……
「よし、健吾たちのところへ早く戻らないとね」
勇輝君や健吾たちから逃げるようにしてここまで1人で来ちゃった手前、すぐに健吾たちのところへと早く戻ろうとしたんだけど、
「あれぇ?京ちゃんじゃん?」
不意に後ろからどこかで聞いたことがある語尾とともに話しかけられたんだ。




