第450話 学習して、猛獣よアッチイケ配信
古代兵器アルティメットを倒して、魔法無効化システムを学習できた。
このシステムは、魔法の源である魔力の流れを検知して、自動的にその流れと逆位相の力を生み出す。その逆位相の力をぶつけて、相殺する。
この魔法無効化システムの、一番重要な所は、『検知』と『相殺』だ。
古代兵器アルティメットを作った人は、この機能を魔法のみに限定して作ったみたいだが、私はこのシステムをさらにバージョンアップさせることにした。
検知するのは、魔法のみに限定する事はなく、目の前の敵に設定した。これにより、相手が何らかの敵対攻撃をしていたと判断したら、その揺らぎを検知するように設定した。
魔法以外にも攻撃と判断したので、相殺システムは、この古代兵器アルティメットBTの、『魔法が来ようとしたら絶対に封じる』レベルは無理だった。検知を多くの範囲が出来るように高めすぎたため、相殺が上手く出来ないみたいである。この状態なら、相手の攻撃を一割減という所かな?
そのため、相殺以外にも機能を追加した。
相手の攻撃を検知して、相殺をするのではなく。相手の攻撃を検知して、相手に恐怖心を与えるようにしたのである。
「これで、あの大量の猛獣型魔物を封殺できるぞ!」
「なるほど。相手が猛獣型の魔物ですので、恐怖心を与えて逃げ帰るようにするのですね! 流石はご主人様!」
そう、魔物とは言え、相手は猛獣型。つまりは獣である。
『弱肉強食』という言葉が前世の知識から、私は知っていたのだけれども、この言葉の意味は『弱い動物は肉として、強い生物に食われる』という野生の真理を説いた言葉である。弱い動物は食べられる、つまりは相手が強大だと思わせれば逃げ帰らせることも可能という訳だ。
名付けて、『猛獣アッチイケ』!
『猛獣アッチイケ』を完成させた私は、そのままシュンカトウ騎士団四天王たちの所に戻った。そして早速『猛獣アッチイケ』を発動したのだが、これがなんと効果絶大!
私達のところにさっきまであれほど攻めて来ていた猛獣型魔物達は息を潜め、こちらに寄って来なくなった。先程までは仲間が殺されようとも、その仲間の死骸を踏み台にしてやって来ていたほどの狂暴な野生児たちが、この装置から出ている恐怖心によって、無害化されたのである。
ただ、無駄に恐怖心をばら撒いているという訳ではないのが、良かったかも知れない。
この装置は、"相手の攻撃を検知して、恐怖心を与える"というモノだ。ただ単に恐怖心を与えるだけのモノならば、恐怖心によって錯乱状態となり、こちらに攻め込んでくるモノも出てきたのかもしれない。
けれども、逆にこちらに敵意を出さなければ恐怖心が来ないというのが分かってるからこそ、こちらに関わらなければ平和だと思わせる事で、良い関係を維持できているのかも。
まぁ、サビキとトカリの2人には、この装置は不評だったけど。なんでも、もっと戦いたかったんだとか。
……あんたらって、元々は別の国の王女様と貴族様じゃなかった? なのになんで、そんなに蛮族適正高いのよ。もっと戦いたいとか、偉い人がそんな思考でどうするんだって話で。
とまぁ、道中でこの装置をOFFにしたりして、戦闘欲溢れる人達の憂さ晴らしをしたりして。
いや、てっきりサビキとトカリの2人だけかと思いきや、他のシュンカトウ騎士団四天王の5人もそれぞれ戦闘したくてうずうずしていたみたい。
プロトンは、【オーラ】を纏わせて、魔物の頭を蹴り飛ばしていた。それが快感と言っていたが、私には理解できない世界であった。どうして、そんなに魔物の頭を蹴り飛ばす事に、快感を覚えるのだか……。
ダラは、強大な魔物を1人で散々痛めつけては、それを神聖術で治しつつ、また痛めつけるを繰り返していた。身体の構造を理解するうえで、教会では負傷者を積極的に治すのが大事だと、ダラはそう言っていた。だけれども、それにしたって魔物を治したり痛めつけたりするのは、違うと思うのだけど。
ザザードは、魔物を糸で斬ったりしていた。それだけならば普通なのだが、魔物の身体を人形の身体として転用できる部分を使ったりしていたのだ。「これは人形の腕に使えるな」と、そう言いながら笑っていたザザードの顔を、私は忘れる事は出来ないと思う。
エスエースは、氷の鉄砲魚拳だけではなく、他の拳法を試したいと言って来ていた。「こういう拳法ってありませんか?」とか、「こういう事態では、どういう拳法がありますか?」といっぱい聞いて来ていて、私がそれを答えて教える度に、その拳法を試す魔物を用意するために、『魔獣アッチイケ』をOFFにしてくれと言っているのである。
そんな風に、猛獣型魔物によって進行を止められるという事はなくなった代わりに、今度はシュンカトウ騎士団四天王やら、サビキとトカリの2人によって、戦闘欲を満たしたいと、かなーり邪魔されたのでありました。
これにより、バンブリアに私達が辿り着けたのはだいぶ後のことになるのでした。
ススリアとしては、戦わずに済むシステムを構築した
それが皆の望んでいる事と思って
しかしながら、まったく戦わないというのも
兵士など戦闘が好きな人達からしたら、
それはそれで物足りないですね
あっちを立てれば、こっちも立たず
人間って、難しいですね( ;∀;)




