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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第436話 イプシロンとルターの共同研究配信(2)

 ――イプシロンちゃんの養殖場。

 その一角に、イプシロンちゃんが困っているカミツキウナギの入った生け簀があった。ご丁寧に、バリケードというか鉄格子が張ってあり、カミツキウナギを逃げないようにしている。

 まぁ、カミツキウナギを逃がさないようにしているというよりかは、カミツキウナギにこちらが食べられないようにしているというべきだろうか。


『割と大きいですね』

「あぁ、予想以上だった」


 大きいと言ったのは、生け簀ではなく、カミツキウナギの方。てっきり80cm~1m弱くらいの大きさを想像していたのだが、生け簀の中に居るカミツキウナギはニョロっとした身体と、鮫を思わせる鋭い歯、そして"2mは(・・・)あろうか(・・・・)という巨体(・・・・・)"が特徴であった。

 そんなカミツキウナギが30匹ほど、生け簀の中で「我こそこの生け簀の王なり」と、暴れ回っていた。


「割と何でも食べる雑食性の魚であるため、現在は植物性の餌を与えて、糞を肥料にする事にしていますね。結構いい堆肥を作るんですよ、このカミツキウナギ」


 イプシロンちゃんとしては、味の改善のために植物性の餌を与えているのだが、効果はなく、最初は倍以上の80匹近く居たのに、30匹くらいに減ってしまったんだとか。

 こんなに大きく育っても味もそれほど良くないし、入れてある他の魚は喰らうわで、とてもじゃないが大変な魚なんだとか。


「養殖しているこのイプシロン船長も食べようとしますからね。トムとオリーブも近寄らせませんし」

『なるほど。やはり拳法書を読ませて、攻撃性能を抑える事をしなくては』


 いやいや、やはりといっているけれども、そもそも拳法書をどうやってカミツキウナギに読ませようとしているのだか。そこら辺の説明もしてもらわないと、こちらとしても対応に困るのだが。


『先輩、私の身体を水の中に入れて貰えませんか?』

「水の中……って、もしかしてこの生け簀の中に?!」

『大丈夫です、先輩。創造主様がこの私の身体に、防水性能をつけてくれているので、この程度の水なら、塩害などもなく、処理可能かと』


 いや、ルター。イプシロンちゃんが恐れているのは、恐らく水に耐えられないというよりかは、このカミツキウナギに食べられないかという事だと思いますよ?

 なんか、このカミツキウナギたちってば、この鉄格子を食い破ってでも、こちらを食べようとする感じがしているというか。雑食性というか、暴虐性が強すぎるだろうがこのウナギ。


『ほら、先輩。私は大丈夫ですので、遠慮なく、ちゃちゃっと水の中にいれちゃってください。どうせ、堆肥を取るため、底の方から回収できるような仕組みが出来ているのでは?』

「……っ! もう、どうなってもしりませんからねっ!」


 イプシロンちゃんはそう言って、ルターをそっと、カミツキウナギが居る生け簀の中に放り投げていた。




 ――そうして、生け簀の中に放り投げられたルター。


 ルターを食べようと迫る、カミツキウナギの群れ。いま、まさにルターの本体である板状の魔道具の本体が食べられようとしたその瞬間に。




『解析完了しました、先輩と創造主様。【拳法書脳書き込みシークエンス】、起動』


 ルターの魔道具本体から、紫色の雷が水中に放電される。放電された紫色の雷は、水の中全てに侵食して行って、カミツキウナギ達の身体を、紫色の雷が貫いていく。


「「「「ウッグワアアアアアア!!」」」」

「私のウナギちゃん達が、物凄い奇声をあげてるんですが?!」


 紫色の雷は20秒ほど放出され、カミツキウナギ達はピクピクっと身体を振るわせていたと思ったら、


「「「「シャアアアア~」」」」

「私のウナギちゃん達が、物凄い嬉しそうな声をあげている?!」


 なんか、毒抜きされて、嬉しそうな笑みを浮かべているカミツキウナギ達。そして、ウナギ達は、全員で一斉にぴょんっと水から飛び出すと、パチンっと尾びれで鉄格子を弾き飛ばしていた。

 そうして鉄格子を外すと、自らの口に水を含むと、ピュッと、水鉄砲のように飛ばして木に生えているリンゴを落として、むしゃむしゃと食べていた。


「「「「シャシャアアアア!!」」」」

「私のウナギちゃん達が、自分で餌をとって食べているぅ?!」


 自分達にいま必要なだけのリンゴを落とした、カミツキウナギ達。そうした後は、スーッと水の中に静かに潜って行った。

 その際に、前まで見せていたような激しい、暴虐性を感じるような暴れっぷりは見せず、それどころか落ち着いた様子でスーイスイっと、生け簀の中を泳いでいた。


「――っ! ススリア船長、大変です! 今、カミツキウナギ達を鑑定(スキャン)した結果、肉質が大幅に改善して、市場に出しても問題ないレベルになっている事が判明しました!」

「イプシロンちゃんがそう言うって事は、確かな情報なんだよね」


 恐らく、さっきルターが放った紫色の雷が、このカミツキウナギたちの劇的なる改変に繋がったんだろうが、いったいどういう事だ? ルターは、『拳法書を読ませる』と言っていたが、あの雷のどこに、拳法書を読ませるという作業が含まれているのだろうか?

 ちょっとルターの動きを見るだけの予定だったはずなのに、なかなか面白くなって来たぞおい。

カミツキウナギは

噛みつき癖の改善のみならず、

肉質まで美味しく改善するとは!!


凄すぎるぞ、ルターちゃん(;^ω^)

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