第424話 肉料理大会第2回戦結果配信【テーマ:特別な日に食べる味】
2回戦――――『特別な日に食べる味』というテーマでの肉料理対決。ジュールのお店チーム、そしてワットのお店チームの両方の料理が出揃った。
そして、完成した料理が私達VIPルームへと運ばれてくる。
最初に到着、そして会場て審査されるのは、先に完成したジュールのお店チームの料理。
「ジュールのお店チームの料理は、【ミートローフの生クリームたっぷりピーチ添え】か」
ミートローフと言うのは、オーブンを使って作るハンバーグのような代物。
ハンバーグは、手で1つずつ食べやすい大きさに成形して、フライパンなどで焼き上げる料理。一方、ミートローフのローフとは塊の事であり、『お肉の塊』という意味である。このミートローフは一般的にはフライパンではなくオーブンで焼き上げ、さらに言えば四角い形状にして焼き上げる料理。
四角い形状にするのは、この料理が個別に食べる料理などではなく、大人数で切り分けて食する料理だからだ。一塊の大きいハンバーグを切り分けて、皆で食べるという料理だから。ジュールはこれをケーキのようにっして、生クリームを着けて食べ分ける肉料理として提供したみたいである。
「ケーキの肉版という感じアルよ。このたっぷりピーチも、完全にケーキの一部として使っているヨ」
「確かに、衝撃的はあるよな。これ」
実際、食べてみて分かるがこれは完全に、新形態のケーキという印象だ。審査員に試食してもらう際も、1個の巨大なミートローフを、ケーキをお客様達に切り分けるように1ピースずつにして試食の審査をお願いして貰っているという感じだ。
熟練のグルメライターである、審査員5名も審査に難航しているみたいだ。そりゃあ、肉料理対決なのに、いきなりケーキが来たらそりゃあ驚くよな。しかも、第1回戦の【ダイヤモンドカボチャのクリームコロッケ】と違って、これは見た目はケーキ、けれども味や中身はしっかりと肉の印象を強めているのだから。もし仮に、ワットのお店チームを先に審査するのなら、"相手と比べると"という相対評価が出来るが、それが出来ないとなかなか難しいよな。うん。
「おや、あの審査員、いきなり満点を出しました。審査を諦めた、諦めてない、のどちらかでしょう」
「あーうん。私も見えるよ。そのグルメライターの切羽詰まった表情が」
いやいや、初っ端から満点を出すだなんて、どうするつもりなんだか? いや、別に満点を出すのが悪いという訳ではないのだけれども、この後、ワットのお店チームの採点もあるんですよ? どういう対応をするつもりなんだか……。
「そして、これがそのワットのお店チームの料理か」
ワットのお店チームが出して来たのは、巨大なレタス。鍋の中に入れて煮込まれていたあの、ビッグサイトレタスである。
ただの巨大レタスではなく、包丁で真っ二つにして断面が見えていた。その断面には、香草やソーセージが入っていた。
「これはソーセージではなくて、サルシッチャか」
サルシッチャとは、生ソーセージである。一般的なソーセージとの最大の違いは、加熱処理されていないソーセージであるという事。『肉』、『塩』、そして『香草』というシンプルな材料故に、この3つの配合のバランス、そして肉の質がしっかり出る。
この大会のために用意されたサルシッチャは、その3つのバランスをしっかりと追及して作った最高級品と言えるでしょう。
そして、サルシッチャを選んだ最大の理由は、恐らくは加熱処理されていないという事。ソーセージ以上に肉汁が凝縮されており、ビッグサイトレタスを使って作る事で、ビッグサイトレタスの中に味がソーセージ以上に染み込んでいると言えるでしょう。
「肉は普通に一般的なモノ、そして香草もさほど珍しいモノを使っている訳ではない。だとすると、違いは、塩ですかね?」
どういう塩を使っているかは分からないけれども、この塩味が、この料理に深みを与えていると、私はそういう風な評価をした。
料理名は、【ビーストミート・サルシッチャのストゥファート】。
ストゥファートとは、「柔らかくなるまでしっかりと煮る」「蒸し煮にする」調理方法の事であり、蒸し煮にするため、通常よりも少量の水で蒸し煮するという意味。
そう言えば、ワットのお店チームの調理に使っていた鍋の中の水、確かにレタスを茹でるにしたら、少し量が少なかったように思える。てっきりレタスの中の水分を利用するのかと思っていたら、蒸し煮にするためだったのか。
「これ、ピザに使える、もしくは使えないかも?」
「……普通に、『使える』って言えば?」
このレベルのサルシッチャが作れるという事は、ソーセージなんかもこのくらいのモノが出来るという事だ。ピザ用、パスタ用など、非常に色々な料理に適したモノを作ってくれそうで、私としては今後のワットのお店が楽しみになる料理だなと、非常に楽しみである。
私は、サルシッチャを知っていたが、審査員のグルメライターはちょっぴり特殊なソーセージくらいの印象らしい。まぁ、サルシッチャって、結構マイナーな食材だと思うし、仕方ないけれども。
だから、【ビーストミート・サルシッチャのストゥファート】という名前こそ良く分からなかったみたいだけど、第2回戦は高評価。
第1回戦の【ダイヤモンドカボチャのクリームコロッケ】によって、多くのファンをかくとくしていた直営店は、大繁盛するのであった。
ミートローフに、サルシッチャのストゥファート!!
外国の料理名って、難しいですよね
外国人にとっては、日本の料理名も
変なのが多いと思いますけれども(*^▽^*)




