第423話　肉料理大会第2回戦配信【テーマ：特別な日に食べる味】

　～～シュンカトウ騎士団四天王第三の槍　ザザード～～

「では、続いて第2回戦!　テーマは『特別な日に食べる味』!

　大きな商談がまとまった時、大切な相手の記念日、普段頑張っている自分へのご褒美!　特別な日を何と捉えるかは両チームの自由でお願いします!　それでは、試合開始!」

　私が試合開始を宣言すると、両チームはそれぞれ調理を始めていた。

「さぁ、ザザードさん!　1回戦はジュールのお店チームの勝利となりましたが、ワットのお店チームはまたしても野菜から調理しているみたいですね」

「そのようですね。あれはビッグサイトレタスですね。特殊な調理に使われる事が多い食材です」

　ビッグサイトレタスは、『大きく』て『柔らかい』という特徴以外にももう1つ、『煮込むと他の食材の味が染みる』という特徴がある。ビッグサイトレタスと一緒に煮込んだ食材の味を吸収してしまうため、一緒に食べると問題ないのだが、別で食べるのはあまり推奨されていない野菜である。

　ちなみに、この特徴を活かして、お肉とかの味をビッグサイトレタスに吸わせて食べさせるという意味で、囚人の監獄食みたいな形で利用されてるのですが、今はそれは置いておこう。

　そのビッグサイトレタスの芯を抜いて、その中にソーセージを詰めていく。ソーセージだけではなく、アマオリーブなどの香草もビッグサイトレタスの中に入れていき、ビッグサイトレタスの中にお肉だけではなく、色々なモノを入れていく。

　ビッグサイトレタスを器代わりにして、その中に美味しい食材を詰め込む感じである。

「なるほど!　あれなら、中の食材の味がビッグサイトレタスに吸収されつつ、中の食材に味が還元されてます!」

「ビッグサイトレタスは、食材の味を中へと吸収していく野菜ですからね」

　その色々な食材を詰め込んでいるビッグサイトレタスを、鍋の中に入れて、水から茹でていく。

　どう見ても、ただ大きなレタスを鍋の中に入れて茹でているだけにしか見えないんだけれども、あれが肉料理という扱いで良いのだろうか?　しかしながら、レタスの中からは美味しいお肉の香ばしい香りが漂って来る。

「ザザードさん、あのレタスの中から凄く香ばしい匂いが来るんですけれども!」

「恐らく、あのレタスの中で、私達が見ていない中で調理が進んでいるようですね」

　第1回戦の【ダイヤモンドカボチャのクリームコロッケ】と同じく、なにか驚きを与えてくれそうで、非常に興味津々である。

　ビッグサイトレタスを茹でている間に、トマトなどでオリジナルソースを作っていくようである。それだけではなく、付け合わせなども作って行く。

　ビッグサイトレタスをメインにして、ソース、それに付け合わせなどによって、順調に調理作業を進めているようである。

　一方で、ジュールのお店チームはと言うと、完全にハンバーグを作る流れになっている。

　用意しておいた牛肉と豚肉をミンチ状にして、そのミンチ肉に牛肉、卵、パン粉、玉ねぎ、調味料などを混ぜ合わせていく。パンパンッと、混ぜ合わせたお肉をチーム全員でこね合わせていく。

　本当にただハンバーグを作っているだけなのだが、

「それにしては、少し大きくないですか?」

「えぇ。私もそう思います」

　ダラが言うように、ジュールのお店チームが作っている肉だねは、通常のハンバーグよりも明らかに大きい。テーマが『特別な日に食べる味』だから、皆に食べて貰うために大きくしているとも考えたが、それにしては本当にやけに大きい。5人全員が肉だねをこね合わせて、そのこね合わせたモノを1つにしている。

　それに、成形している形が焼きやすい丸型ではなく、四角い形にしている。あれでは、焼きづらすぎると思うのだけれども……。

　そうこうしている間に、5人全員で大きくした巨大肉だねを2人で成形し始めて、それを2人がかりにて用意していた魔道具の中へと入れていく。あの魔道具は、事前に申請があった魔道具で、確かススリアが作り出したという魔道具で、陶芸などに使う窯を調理に使う用に改良したモノだと聞いている。

　その調理用釜――――確か、【オーブン】とか言う名前の魔道具の中に、完成した肉だねを入れていく。あの肉だねを、【オーブン】という窯でしっかり焼いて行くという感じで行くみたいである。

　肉だねを調理用釜(オーブン)に入れたと思ったら、その間に別作業を行っているようである。ワットのお店チームと同じく、ソースや付け合わせなどを作っているんだろうなと思っていたら、

「えっと、ダラさん?　あれ、私の目がおかしくなったんでしょうか?　クリームを作っているように見えます」

「ザザードさん、私にも見えます!　ショートケーキなどに使われる、美味しい生クリームの姿が!」

　なんとジュールのお店チーム、ここで生クリームを使ってきた。それだけではなく、みずみずしい事で有名なたっぷりピーチも切り始めた。何故かここで、いきなりお菓子作りが始まってしまった。

　生クリームの作り方を見ても、それほど甘くなりすぎないようにしているので、お肉に合わせるつもりのようだが……本当に大丈夫なのだろうか?　めちゃくちゃ心配だぞ、ジュールのお店チーム!