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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第411話 2つの喧嘩しがちな料理店配信(1)

 部屋の中には、私の呼びかけによって集められた3つの集団が居た。


 1つ目の集団は、ジュールのお店組。

 ラーメン至上主義のジュールと、彼女の一番弟子として認められているオウギワシの獣人族アオギ。その他にも、ジュールと同じような、黒いエプロンに鉢巻きという、ラーメンをしている店員の恰好をしていた。私の呼びかけでは、ジュールと一番弟子を呼んで来いと言ったはずだが、「他の店員も呼びたい」という事で了承しておいた。まぁ、対立構造は煽るだけ煽っといた方が良いから、その方が良いかもと許可した私も私だけれども。


 2つ目の集団は、ワットのお店組。

 洋食料理店を経営するワットの横には、ワットの一番弟子として認められている【レガリス】と呼ばれる女性が居た。彼女は、ユウレイツノテッポウエビの魚人族らしい。

 ユウレイツノテッポウエビとは、鮮やかなオレンジ色の身体を持つエビの仲間。このエビの特徴としては、アリやハチなどに見られる真社会性――――女王を頂点とした、完全なる統率社会を持つ事である。ユウレイツノテッポウエビの魚人族であるレガリスも、元々は3000人の男性を率いる、やり手の敏腕女商人だったらしいのだけれども、ワットの料理に感動して、即座に料理人の道に行ったようである。

 レガリスという、オレンジ髪のドレス姿の小柄な少女の後ろには、大多数の男性が控えていた。


 最後の3つ目の集団は、今回の料理大会を開こうという【スワロウ商工組合】の人達。

 何と前回会ったエコロという商人は、運営戦略部長という立派な肩書きを持っているようで、一番前に座っていた。戦略部長とは、企業戦略の立案や実行などを主導し、経営陣と連携しながら部門の競争力を高め、組織の目標達成に貢献する重要なポジションなんだとか。彼はその中でも、大会などをやる際の、運営に関する戦略部長――――つまり、すっごく偉い人らしい。

 スワロウ商工組合の人達には、私がこれから何をしようとしているのかを予め話してある。そして、大会を開くだけの価値があると言ってくれて、これから話す会議の立会人になってくれるそうだ。


 なんで、立会人が必要かって?

 それはこれから先、この2組が、戦争(・・)になるからである。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「相変わらず、そちらは無駄に人を揃えているな。レガリス」


 最初に声を発したのは、ジュールの一番弟子であるアオギ。オウギワシの獣人族らしい、キリッとした強い視線で睨みつけると、ワット組の中で動揺が広がる。


「えぇ、そうですなぁ。けれどもそれは、そちらもでしょうに。人の揚げ足取りに夢中になって、料理に真摯に向き合ってないんとちゃいますか?」


 クスクスっと、アオギの言葉を返す刀で、レガリスはそう答えた。


「ラーメン店は、覚える事が少なそうで羨ましいでありんす。最も、うちらの洋食料理店は、ただの一品たりとも気を抜かず、あんたらご自慢のラーメンをも凌駕するですがねぇ」

「大将は、ラーメンは素晴らしい。それ以外を支え、ラーメン作りでも支えるのが、わたしらの役割だ。そちらはそんなに大人数で、暇な時間がたくさんありそうだな。洋食は、暇な連中のやる料理なのか?」

「……妾の事を笑うのはええよ。しかし、洋食をバカにするのは許しまへんわ。妾はユウレイツノテッポウエビの魚人族、完全なる縦社会の支配能力を持つ女王。洋食店を経営しつつ、お客様に飽きさせないように、新たな味を常に開発、研究するのはおかしな事やあらへんで」


「「むむむっ……!」」


 なるほど、やはりこうなったか。


 ジュールちゃんとワットちゃん、この2人に対立しているという感覚はない。

 しかし、そこで働く従業員は別だと思っていた。


 同じ商会内にある食堂、同じ製作者が作ったゴーレム店主、全く別の料理コンセプト。

 ここまで情報が揃っていれば、何かしらの対立構造があって、当然だと思っていた。


「(そして、ジュールちゃんとワットちゃん、それぞれの一番弟子もまた料理コンセプトは師匠とは違うらしい)」


 ジュールちゃんの一番弟子であるアオギは、調和勢。

 ラーメン店を経営する主軸であるラーメン作りは、ジュールちゃんに任せつつ、その他の料理を補佐するのが自分達の仕事だと思って仕事をしている。ラーメン作りの方も、恐らくだけれども自分達なりに、ジュールちゃんばかりに任せてはおけないと、試行錯誤していると見た。


 ワットちゃんの一番弟子であるレガリスは、開拓勢。

 洋食店を経営しつつも、それに満足することなく、常に新しい料理の研究を怠らない。未来を見据えて行動している彼女達の料理は、常に常連のお客様の期待を満足させつつ、未来の常連となるかもしれない新規のお客様に対しても、手を抜かずに活動していると見た。



 2人とも良い弟子を持っているようで感心、感心。



「「2人とも、代表(マスター・ススリア)が話すので、些細な喧嘩はその辺で」」

「「はいっ!」」


 些細な喧嘩、ねぇ。

 あれを些細な喧嘩と、ジュールちゃんとワットちゃんの2人は捉えているという事は、普段はもっとアクティブな喧嘩、具体的には手だったり足だったりが出る乱闘でもしているのかな? 今は私、それにスワロウ商工組合がいるから大人しくしているのかもしれない。


 ともあれ、2人のお店に、明確な対立構造があると分かった所で、私は2人に本題を話す事にした。

 そう、料理経営における極意、について。

ユウレイツノテッポウエビは、蜂やアリのように

群れを率いるタイプの魚介類です


蜂やアリの方が分かりやすいと思いましたが、

獣人族・魚人族以外に種族を作ると難しいと思って、

ユウレイツノテッポウエビを採用しました


ハダカデバネズミ「我も群れを率いるが?」

作者「ハダカデバネズミの獣人族って、エロすぎるだろ。裸ですよ(;^ω^)」

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