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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第189話 準決勝のアレイスター【武闘大会生中継配信】

 ~~アレイスター~~


 準決勝第1試合は、パームエルフのピエームが勝利した。彼女はこの私(アレイスター)の変形と同じく、自らを武器へと変形することが出来るらしいッス。さらには、自らの影を実体化させることも出来るらしいのだ。

 マスター・ススリアは、ピエームが変身したあの武器の姿を、『回転鋸剣(チェンソーブレード)』という名前を付けたッスけど、確かにその名前通りだと納得ッス。


 人間に、あのように武器に変形する能力があったとは、驚きだったッス。

 他の獣などの長所を見つけ、その長所を再現する拳法。サビキやトカリなどが行っている刀剣拳法などは、あくまでも(・・・・・)再現に過ぎない。

 

 刀剣のように鋭くしようとしても、あくまでも人間の身体には限界がある。

 テッポウウオ族のように水を発射しても、本物のテッポウウオ族と比べると威力が劣る部分がある。

 どれだけやろうとも紛い物、完璧な本物以上とは言えない。


 一方で、ピエームの武器化は、本物だ。

 彼女は本当に自らの身体を武器に変形していた。人間の身体をどう鍛えればあんな風になるのかは分からないッスけど、一度手合わせしてみたいという気持ちはムクムクと沸き上がって来るッスよ!


「でもまぁ、あんたに勝たなきゃ、ダメッスけどね」


 と、私はこちらを見据える対戦相手(フランシア)に話しかける。



 今回の試合会場は、突風まみれの場所。

 試合会場内を、魔道具の力によって突風が吹きつけて来る。しかも、北から吹く風もあれば、上から吹いて来る風など、風の向きは様々。

 

 立っているのがやっとというほどではないッスけど、いつも通りに技を放てないのは確かッス。


「フランシア! マスター・ススリアに弟子として認めてもらうため、お前を倒すッス!」


 私はそう言って、ゲンエインジウムの機能を稼働するッス。

 マスター・ススリアが組み込んだのは、私の身体にドラゴンの幻影を生み出して実体化させる事で、そのドラゴンの能力を使うという機能。その機能を、私は腕の部分に対して限定的に、ドラゴンの頭を再現して実体化させる。


「----【ドラゴン・キャノン】!」


 腕の上にかぶせたドラゴンの頭の口がカパッと開くと、そこから火炎(ブレス)が大きな弾となって、フランシアを襲うッス!

 フランシアは風の強弱を感じてそれを避けたようッスけど、腕は2本……いや、幻影という事を考えれば、こちらは無限に作れるッスよ!


「こんな風、ドラゴンの力なら強引に突破できるッス! 【ドラゴン・キャノン】乱れ撃ち!」



 ----どどどどどどっっ!!



 放たれる、10を軽く超える球。これを全て避けきる事は出来ないッスよ! さぁ、黒焦げになれッス!

 と、そう思っていたら、なんとフランシアは剣を前に出して、そのまま突っ込んできたッス。


 当たるの覚悟の特攻、痛いと思えば我慢することも出来るッスけど、だからと言って、ドラゴンブレスを突っ切って来るとは!

 そのまま、フランシアはこちらに斬り込んでくるッスけど、


「甘いッスね!」


 私はドラゴンの頭の幻影を、硬い剣へと変化させて実体化させる。

 私は身体そのものを別の何かに変えているという訳ではなく、あくまでも身体の上にかぶせた幻影を実体化させているだけ。だから、幻影を変える事で、すぐさま別の攻撃方法へと変えることが出来るッスよ!


 そして、接近戦であろうとも、ドラゴンの力を持つこちらの方が有利!


「1回戦の試合を見させてもらったッスけど、彼女もトカリとスグハと同じく、他人の長所を自分なりに解釈して再現していただけ! それなら、ドラゴンという純粋なる力の前に、見様見真似は通じないッスよ!」


 私が剣を振るうと、彼女もそれに剣を合わせて来る。一方で彼女が攻めると、今度はこちらが守る。

 相手が攻撃したら守り、守られたら攻撃する。それを繰り返していると、彼女の息が少し荒くなっていく。


 当然ッス。こちとら、ドラゴンッスよ!

 人間の筋力には限界があり、その限界はドラゴンの筋力を越える事は不可能! もし可能だったとしても、それには長い修練と、強力な才能が必要不可欠!

 ドラゴンの筋力を越えるほどの才能が彼女にあったとしても、いまこの場でこちらの筋力を上回ることは決してない!


「貰った……!」


 フランシアの剣を弾き飛ばし、そのまま首元に剣を突き立てる。このまま峰で相手を叩いて気絶させようと、最後の一手を決めようと思った瞬間。


「ここっ……!」

「なにっ……?!」


 私の身体に、フランシアがなにか粉のようなモノを振りかけた途端、幻影の剣が消えた。それどころか、幻影で作り出していた全て作り出していたモノが、全て跡形もなく、消えてしまったッス!


「とどめっ……!」

「しまったッス!」


 そして、私が考えていた峰叩きを私は喰らい、試合会場を転がる。

 痛い、だが耐えられないほどではない。ドラゴンはその頑丈(タフ)さも、人間以上なのだから!



『ここで解説役のススリア船長から、強制的な宣言が発令されました! 勝者、フランシア!』



「なっ……まだ戦えるッスよ、あたしは!」


 マスター・ススリアからの一方的な敗北発言に抗議しようと私は立ち上がる。司会席のマスター・ススリアも説明すべきだと考えたのか、強風を止め、マイクを通して話し始める。


『その理由はこれだ』


 バンっと、大きな光が、私を包む。すると、私の身体が鮮やかな藍色に光り輝いて行く。

 もしや、この藍色の光は、さっきフランシアが振りかけた粉……?!


『植物の中には、風に乗って飛ばされるモノもいる。アレイスター、お前の身体にかかっているその藍色に光る粉は、そういった植物系の魔物の種だ。硬いモノに張り付き、風に乗って飛ばされながら、地面へと落ちるのを待っている』


 なるほど、この粉は魔物の植物の種……それが幻影を発生させる私の鱗に張り付き、幻影を乱れさせ、発生を止めた、と。


「だから、なんだというッスか! 私は幻影がなくても戦えるッスよ!」

『その植物魔物の種は、衝撃を受けると爆発する。なにか硬い物がぶつかった衝撃を、台風などの強風が来た時と察知して、そのまま爆発して飛んで行って、遠い所に子孫を飛ばすのが狙いなのだろう』

「爆発……」


 私は考える。身体中の鱗にこびりついた、張り付いたこの魔物の種が、戦闘によって攻撃を受けたら、どうなるのかを。

 きっと爆発する。そして、マスター・ススリアが止めるという事は、それが私の敗北を決定づけるほど、大きな爆発となるという事を、私は察した。


「……分かりましたッス。私の負けッスよ」


 納得した私は、フランシアに手を差し伸べる。



「私に勝ったッスから、ちゃんと優勝するッスよ!」




 その後、ベスト4まで登りつめた功績を認められ、私は週2回、マスター・ススリアから直接指導を受けられる権利を得た。

 ……まぁ、マスター・ススリアの弟子として認めて貰えたので、これはこれであり、ッスよね!

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