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スローライフ配信をしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第135話 戦え! プロレス配信!

「おはうおっち、みなさん! 錬金術師系配信者の、あるけみぃです!

 なんと今日は、ウミヅリ王国にて、試合(プロレス)をしたいなぁ~と思ってます」


(※)『おはうおっち!』『おはうおっち!』『いつもの唐突過ぎる配信だぁ~』『おはうおっち!』『さっきまでウミヅリ王国の観光名所を巡ろうとしてたじゃん』『そしたら、なんか異様にカワイイ女の子が』『おはうおっち!』『その娘、ガンマちゃんだぞ!』『ガンマちゃん?!』『嘘だろ、ガンマちゃん?!』『可愛すぎだろ、ガンマちゃん!?』


 はい、観光案内配信を始めようとしたら、いきなりガンマちゃんに呼び出されたススリアです。

 『お魚ハート・いっちゃん』と、ウミヅリ王国の観光案内配信をしようとしていたら、何故か別件で作業中のガンマちゃんが飛び込んで来た。

 話を聞くと、地元の子供とトラブルになったので、代わりにプロレスで決着をつけて欲しい、との事だそうだ。


「相手は、あちらのサメの魚人族さんで~す。体格差めちゃくちゃありますが、あちらが10歳との事なんで、まだ子供だそうです」


(※)『10歳?!』『俺より大きいぞ!?』『魚人族や獣人族は、大型の者はあれくらい背があっても普通だ』『有識者~』『そうだな、そもそも15歳のエルフも居る事だしな』『タラタちゃんの事か?!』『あー、そういえばエルフなのに、タラタちゃんって若いよなぁ~』『おい、サメの話はどうした』


 でもって、対戦相手は、2m近いサメの魚人族。話によればまだ10歳との事だが、体格は確実にあちらの方が勝っている。

 

「さらに問題なのは、今からするのがプロレス―――武器を使わない肉体格闘なんですよね」


(※)『それ、問題?』『バカ野郎、あのデカさだぞ?』『武器がないのは痛いよなぁ~』『殴ったら、こちらの骨の方が折れそう』


「いやぁ~、今から簡単に説明しますと、サメの肌ってかなりザラザラしてて、下手に殴るとこちらが傷つくんですよ」


 "サメ肌"という言葉を、ご存じだろうか?

 ガサガサとした肌の事をそう呼ぶように、実際のサメの肌もまるでやすりのような、ザラザラとした肌をしている。循鱗(じゅんりん)と呼ばれる小さな鱗が、サメの身体を守っているのである。

 その鱗のおかげで、水の中では泳ぎやすく、なおかつ戦いにおいては防御の側面もある。


 たかが子供と侮っていたら、あの恵まれた体格と、サメ肌で、大怪我間違いなしである。


「まぁ、頑張りますので、よろしかったらチャンネル登録お願いします」


(※)『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』『りょ~』


 よし、それじゃあ、早速戦おうとしようではないか。

 武器と魔法なし、拳と拳をぶつけ合うプロレスを。




「いくぞ、おりゃああああ!!」


 試合開始の鐘(ゴング)が鳴り響くとほぼ同時、対戦相手のメガロがこちらに向かって、走って来た。技術も何もない、ただの体当たり----だが、それがあれほどのデカい背丈の少年がやるとなると、話は別だ。

 あんな拙い体当たりでも、ぶつかれば小柄なこちらが不利だ。体力の半分以上が持っていかれる事だろう。


「くらえ、必殺の【メガロ首領(ドン)・プレス】!」


 そう言って、メガロはそのまま身体を丸めて、こちらに向かって飛び掛かって来た。


(※)『でっっっ!!』『でっっっ!!』『子供とはいえ、あの大きさが跳びかかって来るのか?!』『そりゃあ、たまったもんじゃないぞ!?』


 このまま後ろに避ければ、普通に避けられる。しかし残念なことに、この国のプロレスの制度においては、避ける事は勝負から逃げるという、敗北を意味する。

 肉体のぶつかり合いがメインのこのプロレスにおいて、相手の攻撃を避ける事は恥だとされているので。


「----なら、相手するしかないか」


 私は腹をくくる。もうこうなれば、使う(・・)しかない(・・・・)と。


「----ふんっ!」


 私は、腹に力を込める。すると、私の身体を、赤い膜のような物が包み込んでいた。

 観客も、視聴者も、そしてこちらに跳びかかろうとするメガロですら驚いている中、私は飛んできたメガロを"片手で(・・・)"、ガシッと捕まえる。


「せーのっ!」


 そして、そのまま頭上へと持ってくる。


(※)『すげぇぇぇ!!』『あの巨体を、片手で?!』『身体強化魔法じゃないの?!』『いや、魔法なら反応してるはずだぞ』『そんな便利な魔法があるのか?』『神聖術の一種だな』『あー、聞いたことがある』『確か、【罰則協定】だっけか?」


 そう、この試合中には、相手が魔法を使えないように、神聖術【罰則協定】が発動している。

 これは、近くで魔法が発動されると、その魔法を発動した際に相手にペナルティとして、ダメージを与えて動けなくする神聖術だ。使い手自身はその場を動けなくなるという欠点があるからこそ、戦場では使われないが、こういうプロレスではよく使われている神聖術だ。


 その【罰則協定】が動かない以上は、私が魔法を使っているとは指摘できないのである。

 ----まぁ、そもそも、この赤い膜は、魔法(・・)ではない(・・・・)、のだけど。


「おりゃあ、よっと!」


 そうして私は、片手で持ちあげたメガロを、リング中央へと叩きつけた。

 「がはっ?!」と、叩きつけられたメガロは、リング中央にて唾を吐いていた。どうやら、ちゃんと受け身を取れなかったようだ。


「なんだ、その力は?! 大人は、大人はズルいぞ!」

「大人だの、子供だのと言ってる限りは勝てないよ。これは、子供でも(・・・・)ちゃんと(・・・・)学べば(・・・)、使える力だよ」


(※)『なんだと?』『子供でも使える……?』『これだけの力を発揮するモノが?』『おいおい』『だったらなんなんだよ、あの力は----』


 答える必要はない。なにせこれはプロレスであって、学習塾ではないのだから。


「さぁ、プロレスを続けよう」


 しかし、プロレスだからこそ応えよう。魅せるモノとして、この力を振るいましょうかねー、っと。

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