ドイツの暴走
1975年
広大な領地と多種多様な民族を抱え込んだドイツの経済的な限界を迎え、同じく疲弊したイタリアと共に中東に侵攻し日英露の血液たる石油を奪いに出る
ドイツ軍は優秀な陸軍、潜水艦隊を保持していたが水上戦力、空軍は日英露同盟が有利
2Mt級EMP核を搭載した小型衛星がイギリス上空で1発、日本上空で2発、ロシア帝国東領で1発、中東で1発が爆発
三国ともブラックアウト
古い衛星も使用不能に
《帝国放送(非常用真空管ラジオ放送)》
「国民諸君、落ち着いて行動せよ。電子の眼は閉じられたが、我々の心にある『理』の光は消えていない。最新鋭のシステムは焼かれた。だが、我々には1955年から培った『モノ作りの技術』と、19歳で現場を知った数千万の『熟練した手』がある。電気は止まった。だが、我々の足は止まっていない。これより帝国は『手動の正義』を執行する。」
大混乱に乗じてドイツ地中海艦隊とイタリア海軍によりスエズ運河を攻撃、アゼルバイジャンからドイツ陸軍が中東に電撃的侵攻
混乱の中、演習のため揃い踏みであった日本大西洋艦隊、英国本土艦隊は機能不全に陥っており、独軍は大型ミサイル攻撃型原潜32隻による潜水艦発射対艦ミサイル512発の飽和攻撃を実施
日本大西洋艦隊のうち天竜型の最新バージョン2隻はEMP対策がされており、EMP攻撃を生き残ったが近距離で発射されたミサイルに十分対処できなかったが、それでも47発のミサイルを撃墜
しかし焼け石に水で英国本土艦隊はほぼ全滅
大和型装甲空母2隻もその巨大さと装甲、生き残っていた最新バージョン天竜型2隻が盾になったのもあり何とか撃沈を免れたが大破し随伴艦は全滅
《ドイツ帝国・潜水艦司令部》
「日英の艦隊は壊滅した! 大西洋は今やドイツの湖だ。奴らの空母も動く標的に過ぎない。残るは中東の石油を掌中に収めるだけだ。日本の科学がいくら優れていようとも、最後は物理的な火力がすべてを決めるのだ!」
《帝国防衛省・極秘指令:作戦名「天岩戸」》
「視界は奪われた。盾は砕かれた。だが、我々の剣は折れていない。残存する大鯨型潜水艦は直ちに大西洋・地中海へ展開せよ。大和の火を消すな。我々は暗闇の中で戦う術を知っている。これは、文明を守るための最後の防衛戦である。敵の潜水艦を一隻残らず地の底へ送れ。」
《大鯨型潜水艦・艦長》
「諸君、地上の家族が暗闇で震えている。だが安心しろ、我々の原子炉は健在だ。敵はミサイルを撃ち尽くした。今度は我々の魚雷が、奴らの鋼鉄の腹を突き破る番だ。音を消せ、息を殺せ。我々自身が『天岩戸』の岩扉となり、秩序を取り戻すのだ。」
沈没の間際までピンガーを最大音量で撃ち続けていた天竜型2隻の御蔭で日本大西洋艦隊に随伴していた4隻の大鯨型原潜、英国の(大鯨型の技術供与による)ドレッドノート型原潜6隻は独軍大型ミサイル攻撃型原潜32隻とそれに随伴していた独軍攻撃型原潜8隻の位置を把握していた
大鯨型、ドレッドノート型とも純粋な攻撃型原潜で潜水艦対潜水艦の戦いでは有利もある上、天竜型の御蔭で初撃を無音攻撃で行えた御蔭もあり、最終的に独ミサイル攻撃型原潜8隻と攻撃型原潜2隻を撃沈し、独潜水艦を撃退
何とか被弾した大和型装甲空母2隻の脱出を援護
《西洋潜水戦隊 司令官》
「天竜の諸君、君たちの最期の咆哮は確かに届いた。我々は敵の喉元を食い破り、帝国の盾(空母)を守り抜いた。これより傷ついた巨艦を伴い、地獄の海を脱する。諸君の魂は、この大鯨が必ず本国へと連れて帰る。」
《大破した大和型空母・応急修理班(22歳、就労4年目)》
「計器は死んでいる! だが、バルブは生きている! 手動で圧力を調整しろ!
天竜が沈む音を、俺たちはこの船体越しに聞いたんだ。あいつらが命懸けで作ってくれたこの隙を無駄にするな! この『大和』を、絶対に沈ませるものか!」
《帝国防衛省・戦時布告》
「大西洋に沈んだ天竜の魂に誓う。我々は二度とこの屈辱を許さない。本国全域の工場をフル稼働させ、失われた盾を再建せよ。独軍が灯を消したなら、我々は奴らの領土を、怒りの炎で照らし出すのみである。全帝国市民に告ぐ。諸君の『手』が、今、文明の命運を握っている。」
英国にはドイツより飛来した戦闘爆撃機や地対地ミサイルを防ぐ手立ては古い対空砲や機関銃くらいで、シティ·オブ·ロンドンや陸海空軍基地、湾口、発電所などが破壊される
《英国首相 ラジオ演説》
「我々の誇るべき科学の盾は、卑劣な闇の前に砕け散った。街は燃え、空は敵のものだ。しかし、英国民よ、屈してはならない。1940年のあの夏、我々は耐え抜いた。今、我々の背後には、まだ沈んでいない日本帝国がある。日本の『大鯨』が海を守り、彼らの『輸送船』が我々の命を運んでいる。光が戻るまで、我々は泥の中でも戦い続けるのだ。」
《ロンドン市民(防空壕にて)》
「本土艦隊がやられたという。だが、日本の空母はまだ浮いているそうだ。我々のドレッドノートが、日本のクジラたちと一緒に海に潜って戦っている。電気はない、ランタンの火だけだ。だが、不思議と怖くない。1940年のあの時と同じだ。我々は最後には勝つ。なぜなら、海の下には、誇り高き日英の男たちがいるからだ。」
《帝国緊急対策本部》
「英国を孤立させるな。大西洋に散った天竜の英霊に報いる道は、ロンドンの火を消さぬことにある。備蓄基地より、磁気対策を施した旧式輸送船団を緊急発進させよ。」
《帝国運輸省・老船長》
「GPSがなんだ。俺たちには六分儀と磁気コンパスがある。19歳で海に出た時から、俺の体には波の読み方が染み付いている。ドイツの潜水艦が怖くて英国の友人を飢えさせられるか。この船に積んだ小麦と燃料は、ロンドンの子供たちのためのものだ。全速で突っ込め!」
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