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第37話 戦場見学のお誘い

 一時間くらいウーナギとやり合ったら、ヘトヘトになった。

 それはそうだ。

 こんな連続して長時間能力を使うなんてこと、今まで無かったからだ。


 対するウーナギはケロッとしている。

 なんだ、あの体力。


「僕が全然平気そうなのが不思議でしょ」


「あ、ああ、不思議……っす」


 ぜいぜい息を荒げる俺。

 うおー、疲れた!


「それはね、僕が省エネで必要なだけしか魔法を使ってないから。君はあれだな。つねに全力全開なのはいいんだが、取れる手段が多いだけにどんどんやり方を変えて行ってしまうのがな」


 ちょっと興味のある意見が出てきた。


「同じやり方のまま、物量を増したり、いきなり減らしたり、方向を変えたりとかやってみるといい。やり方をどんどん変えるよりは頭を使わないから、楽だよ」


 不思議な戦い方を教わってしまった。

 ゴウはうんうん頷きながら、


「やり方に緩急をつけろってことだな。ウーサーはいわゆる、応用型のスキル能力者だ。だが、それでも一本調子ならば今みたいに実力者には対処される。オレにだってスキル能力が通用しなかったりしただろ」


「そう言えば……」


 ゴウの連続攻撃するスキル能力によって、俺の起こした貨幣の奔流みたいなのは割られてしまったな。


「あそこで、オレの終わり際にさらに同じ物量を流してきたら、流石にオレも困っただろうな。物量を作れる力は、それだけでかなり強力だ。それ一本で緩急をつけて攻めてこられたら厄介だぞ」


「な、なるほど……!!」


 とても参考になる。

 スキル能力の段階をあげなくては……!と思って活動してきたけれど、それ以外にも伸ばし方はあるのだ。


 深く心に刻んだぜ。

 その後、ちょっとずつ休みをはさみながら、同じ物を緩急つけて両替する訓練をした。

 これをまた一週間くらいやるらしい。


 ひえー。

 森王国、訓練を付けてくれるのは嬉しいけど、めちゃくちゃスパルタだ。


 ぐったりして戻ってきて、それでも飯は食わないともったいないので食べた。

 ミスティが心配して話しかけてきてくれるのだが、うおお、対応する余裕がない。


「ウーサー無理しないようにね……! あたしもまあまあ自力で頑張れるようになってるし」


「今が無理のしどころだぞ。こいつがここでどれだけ伸びるかで、今後の世界が変わる」


「そんな大事なの!?」


 ゴウとミスティがやり取りしているのが聞こえる。


「エムス王国と公国が組んで、エルトー商業国と戦争を始めた。エムス王国は国の威信をかけてお前を手に入れるつもりだぞミスティ」


「あたしを……。あたし、そんな重要人物なの……?」


「森王国は、野心を持たない凪の国家だ。故に運命も宿命も大きく影響を及ぼすことはない。今はな。だが、野心を持つ者がお前を手中にしたら、世界に巨大な戦乱が巻き起こることになる」


 なるほどなあ……。

 大した力が無かった時の俺でさえ、エムス王国から逃げ出したり、十頭蛇を追い払ったりできた。


 なんていうか、色々なタイミングが味方してくれた気がする。

 あれが国単位で起こるなら……それはとんでもないことになるよな。


 だけど、ミスティの力って運命以外にも、宿命っていうクリアしなきゃいけない難題も引き寄せるはず……。


 その話もゴウがしていた。


「宿命についてか。恐らく、お前を手にした国が運命の力を奮って権勢を誇るほど、降りかかる宿命の大きさも増すだろう。やがて国家は耐えきれずに自壊する。だが、自壊しながらも止まらない。滅びを振りまきながら、起こされた戦乱は続く」


「な……なんでそんなこと分かんの?」


 ミスティの疑問はもっともだ。


「陛下の持つヘルプ機能が告げたことだ。ヘルプ機能は真実しか告げない。これは預言でもある」


 とんでもない。

 ミスティって、世界でもとんでもない重要性を持つ子だったのだ。

 うむむ、なるほど。

 俺が今、無理をして成長して守れるようにならないといけない。


 決心する。

 やってやらあ!


 ということで、地獄のような一週間が過ぎた。

 死ぬかと思った。


 だけど、かなり能力を使えるようになった気がする。


 そこで、マナビ王に呼ばれた。


「訓練ばかりにも飽いただろう。どうだ? 戦場を見に行ってみるか? そろそろシクスゼクスが小競り合いを仕掛けてくる頃合いだ。あの国は魔族の貴族が何人もいて、そいつらがめいめい勝手に自分の領域を支配している。奴らは統制など無いまま、自分勝手に森王国を攻めてくるんだ」


「とんでもない修羅の土地だった」


 俺は唖然とする。

 そうか、相手が魔族だから、人間側の交渉だとか段取りだとか、そういうのが無いのだ。

 攻めたい時に攻める。

 そういう連中か。


「あ、あたしも行くー!」


 夕食時しか会えないミスティが暴れた。

 ということで、今回は同行させてもらえることに。


 その代わり、物々しい護衛がつくことになった。


 なんか、ゴウに似てて、ゴウよりもさらに一回り大きなムキムキの男だ。


「どなた……?」


「ゴウとマオが世話になったな。我の名はガウだ」


 あっ、王国最強の一人……!

 ついに三人全員と会ってしまった。


 つまり、それだけの人間が護衛につくほど、ミスティは重要人物ということだ。

 そして俺の強さはまだまだ信頼されてない。

 くうーっ、絶対に認めさせてやる。


「ぶもー」


「あっ、ライズ! 元気だった!?」


「ライズ、ちょっと太った?」


 馴染みのロバが出てきたので、俺たちは駆け寄ってワシャワシャ撫でた。

 エルフたちに大変可愛がられたらしく、毛並みがつやつや、むっちり肉もついている。


 ライズはブルルーと鼻息を荒くしながら、俺やミスティの顔をベロンと舐めた。

 ははは、可愛い奴め。


「では、我は歩く。お前たちはロバが引く荷馬車に乗ってついてくるがいい」


 また荷馬車か。



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