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第47話 ふたりきりになれる場所

 翌日の昼休み。

 私はまたも号令を無視して教室を飛び出してしまった。

 繰り返すと目を付けられ、本当に不良と見なされるかもしれない。

 そうならないよう明日からは頑張ろう。うん、明日から頑張る。

 

 私は璃莉から指定された待ち合わせ場所である『共同校舎の最上階』へ向かう。

 

 共同校舎は職員室、家庭科室、音楽室、美術室、パソコン室など、普通教室以外の施設が入っている校舎だ。

 ちなみに中等部と高等部どちらの生徒も行き来できることが名前の由来となっている。

 

 たしかに昼休みに共同校舎に来る生徒は少ない。

 だが文化部がランチミーティングを開いたりして、まったく人がいないわけではない上、二階には教師達が陣取る職員室もある。

 うーむ。ふたりきりになることはやはり不可能だと思うが……。


 階段を登り切った先で璃莉を待ちながら、いったいどうするつもりだろうと考えていると、


「あっ、お姉様、やっぱり今日も早いね」

 

 璃莉がやってきた。


 手には包みを下げ……あれ? 昨日よりずいぶん大きくないか? 

 それに、シルエットからして弁当箱以外の物も入ってそうだ。

 まあ、それも気になるがとりあえずは、


「璃莉、どこでお弁当を食べるつもりなの?」

 

 肝心な場所を尋ねた。

 すると璃莉は小声で返す。


「屋上だよ。屋上」


「屋上?」


 屋上って自由に出入りできたっけ? 

 ってか屋上ってどうやって行くの?


「さっ、お姉様早く」


「え、ええ」

 

 色々と疑問を持ちながらも、璃莉の後を追った。



    ・・・

 

 

 廊下の隅に、片開きの扉があった。


「今なら誰もいない……よし、入るよ」


 璃莉はキョロキョロと周りを見渡し、誰にも見られていないことを確認した上で、扉の先へ足を踏み入れた。

 なんだかいけないことをしているような気分になりながらも、私も璃莉に続く。

 

 すると、目の前には階段が。

 そしてその先には太陽光と思わしき光が差しこむ、ガラス窓の両開きの扉があった。

 こうなると、あの扉の向こうに屋上があるのかと予測がつく。

 

 階段を上がり、扉の元へ。しかし、


「ダメだわ……鍵がかけてある」


 案の定、扉の先には屋上が。

 しかし扉は南京錠で固く閉ざされていた。

 

 通常、ほとんどの学校で屋上には出入りできない。

 うちの学園も例外じゃないというわけだ。


 ああ、簡単に出入りできる創作世界の学校が羨ましい。

 そしてそこで告白したりするんだろ? 

 解放された屋上でよくふたりきりになれるよなー。

 どうして誰も来ないんだろう?

 

 なんて、創作世界のシチュエーションにケチを付ける、大変厄介な行為を脳内で行っていると、


「ふっふっふっふ」

 

 璃莉が過去最高に得意げな笑みを浮かべた。


「どうするの?」 

 

 首をかしげると、璃莉は「まあ見てて」と南京錠のU字部分に指を掛けた。

 そして、なんと、


「えい!」


「え⁉」

 

 璃莉は南京錠のU字部分を引っ張って外し、鍵をこじ開けてしまった。


「い、いつのまにそんな規格外の力を手にしたの……?」


「違うよ! 元々壊れてたの!」


「あっ、そうだったのね……」

 

 少し冷静になって考えてみれば、金属製の南京錠を引っ張って外すなど、プロレスラーでも無理だろう。


「ところで、そんな情報どこで仕入れたの?」


「同じ学年の派手な女の子達が話していたのを偶然聞いたんだ。昨日確かめたら本当に壊れていたから、今日お姉様を連れてきたの」

 

 璃莉はふたつにわかれた南京錠を持って笑顔で話す。

 そして扉を開けて、


「じゃあ行こう。かがんで」

 

 手を上下させるジェスチャーをし、璃莉自身もかがんでちょこちょこと屋上へと出た。

 

 うーむ……本当に入っていいのだろうか? 

 鍵が掛けてあったということは、立ち入り禁止を意味しているような……。

 

 躊躇する私に気付き、璃莉が振り向く。


「お姉様、早くふたりきりでお弁当食べたいな」

 

 ……まあ、昼休みの間だけだし、多少はいいか。

 

 かわいい璃莉に誘われてしまっては断れない。

 

 号令無視に加え、屋上侵入。

 たび重なる悪行に、不良ポイントがどんどん貯まっていく気がするが、気にしない気にしない。


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