1-95:80年目の冬です3
も~~いくつ寝るとクリスマス~、むぅ良く考えたらこの世界にはクリスマスはないのですよね?
サンタさんが居ないなんて、なんと可愛そうな世界なのでしょう?
なんとなく御無沙汰している気がする樹です。今絶賛冬籠りの準備中です!
モコモコ樹皮を作ってぬくぬく状態へと変身中なのです!
でも、今年は結構な数の動物さん達がお出かけ中でモコモコはあんまり生産していないのです。
エルフっ子達がちょこちょこやって来て、モコモコを抱えて帰って行くくらいですね。
他の角付さん達は手近の子供達からモコモコ樹皮を分けて貰っていますし、わざわざわたしの処まで来るのは子供達くらいです。
もっとも樹皮を大きく広げて、その中にお強請りした木の実を集めて持って帰っていますから、ある意味大人以上にちゃっかりさん達です。大人に渡さずに子供達で隠しているのをわたしは知ってますよ?
もっとも、大人達にもバレバレですけどね。
ただ、今年の冬は皆バタバタしてるみたいです。
なんか遠くに行った子供や孫達から助けてコールが来たみたいなんですよね。
え?なんで他人事かですか?だってわたしには来なかったんですよ?
わたしも、何となくザワザワしてるので、偶には親っぽくと思ったのに、頼むから介入しないでって言われたのですよ?酷いと思いません?親をなんだと思っているんでしょう?
とにかく、動物さん達に子供達の作った木の実がへばりついて集団でどっか行っちゃいました。
異様な姿です。なんか動物達が変な病気に罹ったみたいな?う~~ん、あんまり見ちゃダメですね!
その後、あの木の実はなぁに?って聞いたら緊急時の非常食と回復薬って言われたのですけど、答えになっていませんよね?
ともかく、何か大事が起こっているのです。見当はついているのです、きっと先日見た遠くの国の事でしょう。みんなで応援に行くのですね。
わたしの援軍派遣は今一つ効果を発揮していないのでしょうか?
結構子供達を送り込んだのですけど、もしかして辿り着く前に干からびちゃったのでしょうか?
ドライフルーツ?響き的には美味しそうなのですが・・・干からびた人面ゲフンゲフン。
わたしも次なる手を考えないといけませんね。そして、子供達が苦境に陥った時に颯爽と助けられるのです!わたしの偉大さ、慈悲深さを再認識ですね!崇拝度うなぎ上り?
が、頑張らないといけません!
という事で・・・・・どうしましょう?
うわ~~~~ん、そうですよ、何も思いつかなかったから人型木の実さんを大量に送ってお茶を濁したのですよ?子供達は動物さん達にしがみ付かせていたのもきっとこの為でしょう。
むぅ、子供達に負けている?!
駄目ですね、それは認められないのです!
とにかく、考えましょう。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
むきゃ~~~駄目です!思いつきません!くぅ、動物さん達を使う方法は二番煎じです!
風を使う方法も、すでに失敗しています!
ぬぅ、でも負けません!わたしには優れた文明の記憶があるのです!
これでも、中学1年生の時には100点取った事が有るのですよ?1学期中間テストの英語ででしたけど。
わたしに出来る事は木の実を作る事と、動物さんとの信頼性、子供達とのネットワーク?
むぅ、多いようで少ないです。しかし、わたしはネットワークの言葉にピンと来たのです!
何せわたしはネット世代ですからね!
子供達に語りかけます。
情報を制する者が勝つのです!新鮮な情報が命らしいのですよ?
みんなで情報を共有して、より多くの情報を得るのです!
え?その後どうするのかですか?
・・・・・さぁ?どうするのでしょう?
じ~~~~~~じ~~~~~~~~
何でしょう、何かすっごい冷たい視線を感じるのです。
何ですかその視線は!何が起きているのか解んないのですから仕方がないじゃないですか!
今は何が起きているのか把握する事が大事なのですよ?何もわからず動くのは駄目なのですよ?
え?早くしないと間に合わないですか?え?え?
だ・か・ら!何が起きてるのですか!
その時、遠くから映像が届きました。
・・・・・・ほぇ?何ですかこの映像?戦争っていうより虐殺ですよ?
映像では何か小汚い男達が武器を振り回しています。そこらじゅうに死体がゴロゴロ・・・うわ!駄目です、これは良い子の見て良い映像じゃないです。
そう思いながらも、見える範囲で確認していると、死体と思われる人の中には幸い女性や子供は混じっていません。避難したのでしょうか?でも、どの人も角が生えていないですから、まさに人族の内紛?
そんな事を思っていると、なんか真っ白な衣装に金糸で縁取りと刺繍がされたすっごい派手な格好をした集団が近づいてきます。
えっと・・・みなさん手にされている斧は何なのでしょう?
まさか・・・この子を切り倒すおつもりでしょうか?
・・・・・えっと・・・・仕方が有りません。ムザムザ子供を切り倒させる事を認める訳にはいきませんし、禁断の秘儀を授けちゃいましょう。
わたしの指示を受けたこの子が、一所懸命木から液体を分泌し始めました。
そして、周辺に広がるっていうか広がっているはず?の臭気?
うん、リンクできるのが映像だけで良かったです!
ついでに、人が呼吸困難になるような成分でも混ぜて見ましょう。植物って毒性高いのもいっぱいあるのですよ?わたし達を甘く見ないでください!
至近距離で次々に倒れて痙攣する悪党どもを見ながらドヤ顔です!




