1-91:80年目の秋です2
ふんふんふ~~ん、実りの秋がまたもややって来ましたよ~!
鬼っ子も、エルフっ子も、動物さん達も、みんなせっせと秋の実りを収穫してます。
栗、林檎、柿、秋の代表的な植物をせっせと作っています。結構な数を作っているので、一気に熟す事無く数日かけて実は大きくなっていきます。みんなもこの枝は誰々のだ!この実は俺のだ!などと若干の争いはあるのですが、森中の子供達も同様に木の実を成らせているので大事にはなっていません。
どちらかと言うと木の実より蜂蜜の争奪戦の方が熾烈ですね。
これは本格的にメープルシロップを作るべきでしょうか?
森の傍に村を作った人族達も、結構豊作だったみたいで、田んぼや畑で作業している人達にも笑顔がこぼれています。此処に来たときはみんな余裕が無い為か、目がギラギラしていてちょっと怖かったのを思い出しますね。子供達周辺の映像を見ても、田んぼや畑も豊作みたいです。誰もが笑顔を浮かべているので安心できますよ。
春に見た、なんか殺伐とした場所もどうやら落ち着きを取り戻したみたいです。
街の至る所に角付さん達が歩いているのが見えますし、畑もこちらほどでは無いみたいですが豊作?普通?とにかく不作では無さそうです。
でも、思いの外角付さんがいます?なんか不穏な気配を感じて援軍送ったのですが余計な事でしたでしょうか?あの後、数度タンポポさんタイプを送ろうとして失敗したのです。風に任せてって無理ですね!
でも、あの子達も見る限りでは今は元気に根付いているようですから無問題ですよね?
で、援軍はどうやって送ったのかですが、そもそも木の実が自分で歩いていくという事が可笑しなことですよね?という事で、鳥さん達に頼みました!もっとも数に限りがあるのと、木の実の大きさや重さ、あと大事なのは硬さです!柔らかいと鳥さんが食べちゃうんですよ!
もう到着しているはずなのですけど、なんか根付いた気配は無いんですよね~なぜでしょう?
鳥さん達も帰ってこないですし、う~~ん、心配です!
もしかすると・・・鳥さん自身が食べられちゃったとか?
根付いてくれない事には位置把握が出来ないのでこれは様子見ですね。
とにかくこの80年でわたしは悟ったのです!80年、色々な木の実を作ってきましたよ?
でも、でも!一向にレベルアップもしなければ進化もしないのです!
普通だったらもう御婆ちゃんですよ?新たな旅立ちをしちゃってても可笑しくないのですよ?
これは、木の実を作っているだけでは駄目なんじゃない?
そう、80年目にしてわたしは気が付いてしまったのです!木だけに!
・・・・なんか今すっごい冷たい視線がいっぱい飛んできませんでした?気のせいでしょうか?
とにかく、木の実を作っていても意味が無いかも?であれば、であれば!別の事を始めないとなのです!
そこでですね、大きな問題が発生したのです、樹で出来る事って何が有るのでしょう?
う~~む、駄目ですね、思いつかないのです!
木のモンスターですから、根っこを伸ばしたり、蔦を伸ばしたりしての攻撃が定番ですよね?
う~~無理ですね、根っこや蔦どころか枝すら動かせなかったですから。
くぅ、そうです、樹の精霊って格好よくないですか?っていうか意識ある樹の段階でわたしって精霊じゃないです?そうです、精霊魔法なんて格好良いですよね?
精霊さん、精霊さん、どうかわたしのお願い聞いて、どうか・・・・で、何をすればいいのでしょう?
むぅ、して欲しい事が無いですよ?そもそも精霊さんがいるかどうか解らないですけど!
困りました、よく考えたらですね、今更なのですけど、わたしの存在意義って何なのでしょう?
たた木の実を生むだけの製造マシーンではすっごく悲しいのですよ?
・・・何か忘れてませんか?なんか他にもあったような・・・・
そんな事を考えていたら、目の前をエルフっ子達が走っている姿が見えました。
!!!!
わたしってそういえばエルフっ子に憑依出来ましたよね?
もちろん視点のみなのですが、これを進化させれば、もしかして自由にエルフっ子を操作できるのでは!
・・・・あ、駄目です。人の自由を奪って乗っ取るなんて、悪魔の所業ですよね?
・・・・・・・駄目ですよね?・・・・・ちょっとだけ試しても・・・・だめ?




