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1-50:76年目の初冬です

ハイホ~~ハイホ~~今日も元気な樹ですよ~

不思議な人型木の実さんが、自主的に自分の存在PRをした秋からまだ2カ月程しか時間は過ぎてません。

あれは衝撃的な映像でしたね~思わず何度も見返しちゃいました。

でもですね、それで気が付いたのです!

あれこそ、わたしの願いの形であった事に、だって人族に木の実を食べさせたらどうなるの?そう思って何度も動物さん達に木の実を運ぶようお願いしたのに目的が達成出来なかったのです!

それが、木の実さんが自ら食べられに行くなんて、なんて素晴らしいのでしょうか!

目から鱗がおちる様でした、まさかこんな方法があったなんて、わたしも前世の記憶に縛られていたんですね!ファンタジーの世界なのにファンタジーを否定していた事に気が付かされたのです。


という事で、人型木の実さんをちょっと多めに作ってみました。

まるでわたしの願いが解っているかのように、人型木の実さん達は森の奥へと歩いていきましたよ!

あの雄姿はなんというか、やってしまってからちょっと拙かった?もしかして一線越えちゃった?

なんとなくそんな思いがよぎるほど不気味な光景でした・・・。


だからわたしはホラーは駄目だって言ってるじゃないですか!

あれ思いっきりホラーの領域でしたよ?

映像の視点を変えてみたら、人型木の実の表情まで見えちゃってその日は寝るのに10分くらいも掛かっちゃいました。

普段は寝ようと思ったら一分も掛からないわたしが、思いっきり時間が掛かっちゃいました。この事でもわたしがどれ程動揺していたのか皆さんも解りますよね?


それでも結果良ければ全て問題なしなのです。

お蔭で角付さん達が大量に増えました。

動物さん達や、うちの子供達からは何となく不評なのですが、でも数は力ですからね!

でも、今の所エルフさんは現れていません。

これは、素材の質が悪いのでしょうか?

でも男のエルフもいないと種族が保てないですから、やはりエルフになるにはある程度見栄えがしないとダメなのでしょうか?


そんなこんなで相変わらず身動きが取れないわたしは、唯一の画像サーフィンに取り掛かりましょう。

先日の人型木の実さん達の動向もチェック入れないといけません。

あの後、映像を見ていたら何かちょっと見てはいけない映像の気がしたのでしばらく見てなかったら、その後みんな倒れてました。

みんな倒れちゃって誰がお世話をするのでしょう?


それにしても、人型木の実さんは動物さん達には不評なのです。

エルフっ子など見た瞬間に泣き出してましたから、当面は封印しましょうそうしましょう。

わたしも、ジャンルが変わる事は望んでいませんし、目指せファンタジー&食べ物革命です!


あ!人型木の実もある意味食べ物革命ですか?

誰も望まないでしょうけど、ちなみにわたしもあれは食べたくないわぁ


◆◆◆


トールズの視線の先は、まさに屍で埋め尽くされていた。

もう二度とこの地へは戻りたくない、そう願っていたのだが残念ながらその願いは叶わなかった。

ロマリエやビルジットによる懐柔及び脅迫により、嫌々ながらもこの地へと戻ってきた。

そんな自分が真っ先に目にしたのが、この光景か!そんな思いが心の中に木霊する。


「だからここへ来るのは嫌だったんだ!わたしは帰るぞ!」


そう叫び馬首を返そうとするトールズに対し、共にこの地へとやって来た者達が必死に宥める。


「お待ちください!このまま戻っては叱られます!」


「そうです、それにご覧ください、彼らは息をしております!まだ生きております!」


その言葉に、改めて倒れている面々へと視線を戻せば確かに息をしているように見える。中には手足を痙攣させている者もいる。それを見れば確かに死んではいない事は解る。

そう、死んではいない、だが、おそらく常識では考えられない事が起きたのだろう。だからここは俺が生きる世界ではないのだ!トールズはそう思いっきり叫びたくなる。


そんなトールズ達の遣り取りを尻目に派遣されてきた他の者達が居留地へと走って行こうとしたのだが、それを見たトールズは慌てて彼らを止めるのだった。


「馬鹿者!不用意に近づくな!安全を確認しろ、何が起きたのか解らんのだぞ!」


トールズの怒鳴り声を受け、兵士達は慌てて駆けつけるのを止めた。

そして疫病などの可能性も考慮し、それぞれ口元をタオルで覆い、急いで戦闘用ではあるが手袋を着用する。

これは、過去より疫病の発生地区へと向かう際には必須とされていた対処法であった。


「おい、どうした!何があった!」


倒れている者達の傍に駆け付けた薬師達が、意識の有る者へと問いかけをする。


「う、あ、甘い」


「うあまい?なんだ!何が言いたい!」


引き続き問いかけるも、そのまま意識を失い聞き出す事が出来ない。

それ以外の場所でも同様に、実際に何が起きたのか把握する事が出来ないのだった。


「第二分隊は周囲を捜索せよ、何が起きたのか痕跡が無いか探せ!第一分隊は居留地内を捜索せよ」


トールズの指示のもと、捜索が始まる。又、薬師や学者などの非戦闘員はトールズに同道し一際大きな天幕を目指す。そして、その天幕から捜索隊の隊員が出てきた。


「司令官、ゾットル殿他主要メンバーと思しき者の確認をお願いします!」


そう報告する隊員の顔に、明らかに困惑の色が見える。

そして、トールズが天幕の中に入ると、中には毛布の塊が幾つも確認出来た。


「ゾットル殿はいるか?」


トールズの声に、一番奥にいた毛布の塊が解ける。そして、そこには立派な角の生えたゾットルがいた。


「トールズ殿・・・すまぬ!」


その言葉と共に、トールズは天幕の中で何かが蠢く気配を感じた。

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