1-46:76年目の夏真っ盛りです
むむむ?何か今年は雨が少ないですね、湖の水位が心配な樹です。
心なしか動物達も夏バテ気味の御様子です。
それに反して、元気に動き回っているのはエルフっ子や鬼っ子達ですね。
みんな元気に走り回っています。いったい何が楽しいのでしょう?
月日が過ぎるのは早いなぁと昨年冬にも思っていたのですが、エルフっ子達は昨年冬より更に大きくなっています。もう子供扱いもしずらくなってきそうですね。
もっとも、子供扱いしなくても、何ら対応に困りはしませんけど、だって特に交流していませんから。
せいぜい木の実やモコモコを取りに来る時くらいですよね?
ましてや会話など皆無!もっとも話そうにも口がないですけどね!いい加減ここを何とかしないといけないのですが、やはり魔法は呪文が基本ですよね?
無詠唱が使えるチートなど、わたしには備わっていないのです!
あ、でも木の実やモコモコは無詠唱ですね・・・う~ん、努力次第なのでしょうか?
話がいつも通り逸れていきますね!もはやこれは仕様ですね!
で、何の話でしたっけ?
あ、エルフっ子達の話ですね!
そういえば、どうやら人族達の中にも鬼っ子というかおっさんですが、生まれたみたいです。
その他にも子供が二人どうやら進化したのかな?ちょっと人族がいる場所から離れたところに3人で住むようになったみたいです。
差別なんでしょうか?駄目ですね、おっさんは良いので子供だけでも保護したい所ですが、子供達の親と思われる人達もその後そこに住むようになったのでまぁ妥協しました。
種族の違いで迫害されない様にしっかり監視しないとですけどね。
子供達、頼みましたよ?わたしですか?わたしにそんな長期に渡って意識していなければいけない事できる訳ないじゃないですか!
きっと、他に何かあったらすっかり忘れて、次に思い出したらすべて終わっていたなんて事になりますよ?
前世で何度もそれで花を枯らしたものです。
動物は、周りの人達から絶対に飼うのを許して貰えませんでしたし・・・
だから、せっかく生まれ変わったのですから動物を飼ってみたかったのですよ?
じ~~~~、じ~~~~~、くぅぅモフモフを目の前にして、撫でる事すら出来ずにおあずけされるとは!
前世より酷い待遇ではないですか!前は猫カフェとかあったのに~~~~!!!
◆◆◆
ゾットルはヒルダの報告を受け、それこそ頭が痛くなって来たのだった。
先の報告の後、報告にあった実を食べた子供2名において、同様に角が生えて来た事が確認された。
そして、子供達の両親はその事を隠し通す為にこの居留地からの逃亡すら計画していたのだった。
しかし、すぐに逃亡するには必要な食料などを確保が出来ず、周りに目立たない様に食料を集めるのに時間が掛かかっていたのだった。その御蔭でゾットル達は、彼らを逃がす事無く確保する事が出来た。
もしこれが実りの多い時期であったらと、若干顔を引き攣らせる面々であった。
「しかし、子供達には軽い風邪のような症状しか出なかったとは、これでは周りも特に気にしなかったのも頷けますね」
「ああ、風邪がうつらない様にしているという言葉を普通に信じていたからな」
「しかし、その御蔭でヒルダも角が生えた事に気が付かなかったとは、ある意味情けないですね」
「それ以上に、テーブルに置いておいた隙に食べられたなどと・・・管理が杜撰すぎです」
子供が被害にあった事にアンジュは憤りを見せる。
しかし、ヒルダ自身も当初は他の者に食べさせる予定でいたそうだ。出来れば今度は怪我では無く、病気の者に食べさせて回復効果があるかを試す意図もあった。
しかし、残念な事に今彼女の下に来ている患者には、重度の者はいない為に効果を確認するには不適当と判断をした。そして、次に考えたのは老若男女による効果の差を見る事であった。
しかし、その為には量が足りないような気がした。この時、まさに運悪く先の怪我が回復した男が高熱で倒れたとの報告が来たのだった。
慌てて男の下へと向かったヒルダは、テーブルの上に木の実を置いたままにしてしまった。
そして、その後にたまたまヒルダの下に遊びに来た子供二人がテーブルの上の木の実を食べてしまった。
事の真相は、ある意味実に単純な物であった。
ヒルダが普段より子供を可愛がっており、また食べ物をあげていた事も悪い方向で働いてしまった。
男の容態が安定しヒルダが自分の作業小屋へ戻った時、木の実が無い事に大慌てになる。机の上に置いたはずだがと、他に置きそうな場所も含めうろうろと探し回った。
しかし、そのときすでに子供達も風邪の症状を発症していた。その為、治療依頼が飛び込み、子供達の治療をしていると子供達の額に角が生え始めた。
当初、ヒルダは木の実との関連など思いつかず魔の森の影響と考えていた。本来は今回の症状を研究する立場であった。しかし、子供達を守る為に両親と共に子供を避難させる方向で打合せをしていたのだ。
その後、高熱を出している男の額に角が発覚した時、ヒルダは慌てて子供の下に訪れた。
そして、その段階で漸く子供達が木の実を食べた事を聞きだしたのだった。
すべてに後手に回ったヒルダは、なんとか両親にこの事をゾットル達に報告する事を了承させた。
しかし、両親は高熱を発している男の状況を確認後にして欲しいと頼み込んだ。併せて、普段から接しているヒルダはともかくとして、国や貴族、軍人などを信用など出来るはずなく、危機感を覚え逃亡を企画していた。
報告をすべて聞いたゾットルは、あまりの事が交じり合った状況に更に頭が痛くなったのだった。
「とにかく、この件の更なる報告は秋まで延期だ。追加の木の実を得るまでほっとけ。ああ、子供達は保護の意味でも隔離しておけよ!」
ゾットルが唯一行った事は、当面の先送りのみであった。
ものすごく難産でした。一度書き終えてから、2度ほど書き直しさせられました。
1-46より先に1-47の方が書き終わったという不思議付ですW
1-47は明日の19時予約投稿です。




