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2-74:新たに始まる非日常?

ぬぅ・・・人の夢は儚いのです・・・。我が家には、まだお肉様は遥か高みにあって、手を差し伸べても幻の様に消え去ってしまうのです。

いえ、何とか、何とかお父さんの消極的支援を受けて、お母様を説得したような出来なかったような状況にまでは持ち込んだのです。

それで、翌朝に意気揚々と市場のお肉売り場へと向かったのですが・・・向かったのですが・・・そうなのです、単純に、本当に単純に購入できるようなお値段では無かったのです。

あと、購入希望者の数もすごかったのです。え?こんなにこの街に人がいたの?っていう気持ちでした。

ソーセージも1個とかじゃなくて一綴り?の販売で、うん、駄目だわぁって感じで泣く泣く撤退したんです。

お肉♪お肉♪って気分だっただけに、その帰り道は正に敗残兵の気持ちでした。


「くぅぅ、この大籠1個のジャガイモさんを売ってもソーセージを買えないって可笑しくないですか?」


「そうだな、昔は食肉の為の牧場なども結構あったんだが、今は数えるほどになっているそうだ」


家に帰ってお父さんに尋ねると、そう答えが帰って来た。で、より詳しく聞くと結局角付の魔獣さん達のせいらしい。うん、肉食大猫さん達にとって牧場は恰好の餌場に見えるでしょうね。で、その侵入を止められない人間側、動物を飼育するより角付さん達から守る方が大変で採算が合わない?


「そうすると、お肉はとっても高価なのですか?」


「お肉だけじゃないぞ?野菜だって普通ならもっと高価だぞ。畑が狙われるのは野菜も一緒だ。ただ、草食獣の方が対処がしやすいだけだな。もっとも、うちのジャガイモは自衛してくれるから楽なんだが」


この世界は生産者に対して厳しいのですね。でも、だからこそ、私はこの世界で第一次産業の覇者になるのです!ぬふふふ、これでお肉食べ放題なのです!

んっと?何か他の目的があって目指してたような気がするのですが、まぁお肉の前には塵芥でしょう。

という事で、第一次産業における品種改良を目指すのです!


とてとてとてっと畑へと向かいます。

今日も今日とて畑ではジャガイモさんがぶんぶん無双さんをしています。何が楽しいのかジャガイモさんと剣や槍でバチバチドカドカやってますけど、私には解らない世界ですね。

4匹?のジャガイモさんがそれぞれ畑の四方に分かれて戦ってますけど、う~~ん、右奥の人は上半身裸でジャガイモさんの蔓に背中を鞭うたれてますけど・・・あれも訓練なのでしょうか?

よく解らない世界なのです。


「良い場所は・・・ジャガイモさん達が四方にいるから邪魔なのですよ?う~~ん、ど真ん中が空白地といえば空白地なのですが・・・」


畑の中へとそれぞれの境界線を上手く避けながら畑の中央へとやって来ました。

私の後に続く様に薬草さん達もやってきます。

で、私を取り巻く様に居る薬草さんに囲まれながら、私はここで何を生み出そうかと・・・


「う~~ん、高値で売れる植物さんを生み出せば良いのでしょうか?でも、そうすると何が良いかな?メロンとかの果物系がいいかなぁ、胡椒とか調味料?でも調味料は量の確保が、う~~ん悩みます」


作る種を考える傍から、周囲ではドゴンバゴンと音が響いています。まぁ音は良いのですが、時々ジャガイモが飛んでいくのがちょっと怖いですけどね。


「う~~~~~ん、果物とかなら高額で売れるかなぁ。でも、お肉自体の流通が少ないのが問題なんだし、う~~悩みどころですね」


当初は、桃や葡萄、林檎や梨などの果物でいいかな?って思ってました。でも、そもそも流通量が少ない物をいかに我が家へ引っ張るかなのです。


「果物を切っ掛けにお友達になるとかかな?」


そんな事を考えていた時、恐れていたジャガイモが・・・目の前を剛速球で通過しました。


「・・・・こ、ここで考えるのはやめとこっかなぁ。危ないもんね」


誰に聞かせることなく呟き、ビクビクと周りのジャガイモさんからジャガイモが飛来しないかと怯えながら何とか畑から脱出した時、目の先にはいつの間にか作られた小屋にぶら下がる挑戦者の姿でした。

そして、その姿を見た私の天才的頭脳は、ふっと天啓がひらめいたのです!


「ふふふ、良い事に気が付いたのです!お肉が欲しいのですから、お肉が成る樹を作ればよいのです!」


まさに天才の発想です!ドヤッ!という気持ちで、周りにいる薬草さん達を見下ろすと、薬草さん達は皆そろって驚愕の表情を浮かべています。中には首を横にブルブルしてる子もいますが、どうしたのでしょう?


「ぬふふふふ、どうですか、私の偉大さを理解出来ましたか?ああ、私はなんって天才なのでしょう。これでお肉は食べられるし、街の多くの人達にお肉の供給も出来るのです」


薬草さん達の憧憬を込められたような眼差しを受けながら、あ、中には涙目の子もいますね。わたしって何と罪つくりなのでしょう?それは置いといて、私は憧れのお肉の成る樹を思い浮かべました。

豚のロースが、ヒレが、牛タンも捨てがたいです、ミノ、ハツ・・・ところで、ミノとかハツってどこの部位なんでしょう?前前世でも焼肉屋さんなんて自慢じゃないけど行った事無いですよ?

他人様の会話で聞きかじった名前をあげただけです。あ、あとレバーとか、ジンギスカンもいる?


「・・・・想像して思ったのですけど・・・肉肉しい樹ですか、血がだらだら垂れてきそうですね・・・うん、駄目だわ、気持ち悪くて近寄れないかも」


想像すればするほど駄目です。どんなホラー映画ですか?になりそうです。


「むぅぅ・・・・、パックに入った状態で樹に成りませんかねぇ」


思わずそう呟きましたが、パックは石油から出来てましたよね、駄目ですね。

ん?なぜか薬草さん達が私の周りで小躍りしています、何かあったのでしょうか?

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