2-41:驚愕の真実?
ガタガタガタ・・・テクテクテク・・・
うん、町周辺の道は石畳になっている御蔭で揺れがそれ程大きくないです。でも、町の手前で私達は荷馬車から降りて、自分達の足で歩いてますから意味ないよ?石畳。
「目の前の門で通る者達の身許記録をしています。貴方達も右手の列に並んでください」
私達は、此処まで送ってくれた熊さんのお仲間さんにお礼を言って列に並びます。
うわぁ~~、何かすごいね、みんな亜人さんばっかりです。角の数や大きさ、長さなんかが違いますけど並んでいる人達みんな角付さんです。でも、出来ればエルフさんが見たいです!エルフさん美人さんなはずです!やっぱり目の保養は必要なのです!ということで、エルフさんプリ~~~ズ!
列に並びながらキョロキョロと周囲にいる人たちを観察しているのですが、思いっきりこちらも周りから注目を浴びています。
「う~~~何か見られてる?」
「そうね、見られてるわね」
お母さんと繋いでいる手に力が籠ります。お母さんもちょっと不安そうです。
「よし、行くぞ」
前に並んでいる人に着いていく感じで3人そろって門番さんの所へと進みました。
「ん?ほう、珍しいですね。純人族の方ですか」
私達を見た門番さんが、やっぱり珍獣を見るような眼差しでこっちを見ます。
あんまり嬉しくない眼差しですけど、嫌悪とか、憎悪とかの眼差しでないだけ良い方なんでしょうか?
「来られているのは貴方達3人だけですね?」
「は、はい。家族3人で来ました」
お父さんの声がちょっと震えてる?門番さんは柔らかな表情を崩す事無く右手側の小さな建物を指さしました。
「あちらにある建物へ進んで戴けますか。あちらで少しお話を聞かせていただきます」
「は、はい!」
むむむ、取調室ですか?建物の中には小さなテーブルが一個と、椅子が4つあります。ただ、窓が結構大きめに空いているので中は暗くは無いです。もっとも、窓にはガラスも入っていないので、雨とかの日は大変だろうなぁ。壁際には棚も置かれてますけど、置かれているのはランプ?あとは毛布かな?それ以外はな~~んにもないですね。
「なんにもないね~」
部屋の中へと入って思わず言葉が零れちゃいました。門番さん達の荷物とか、あとはほら、予備の武器とか?そんな如何にもな物を期待したんですけど肩すかしです。あと窓には格子すら入ってないので、もし泥棒さんがいたら入り放題ですね。
「ああ、そちらの椅子にお座りください」
私達の後から角付の女性が入って来て、椅子に座ります。
見るからに事務の人かな?あんまり強そうには見えないですし、年齢もまだ若そう?30歳はいってないですね。
「それでは、質問をさせていただきます」
何か書類のような物を取り出して、一つ一つ記入していきます。でもそうかぁ、紙はすでにあるのですね。
で、質問されるのはやっぱり、何処から来たのか、どうやってこの町に来たのか、何が出来るのかとかです。島から来たのと、森を抜けてきたといった所は結構スルーされたんですけど、所持金0には驚かれました。そういえば、町に入るのにお金取られなくてよかったです。
「う~~ん、そうですねぇ」
結局、全ての質問は30分くらいで終わりました。でも、問題はこの町に住むことが難しそうなのです。
「家族を養うために精一杯頑張るので、何とか仕事をご紹介貰えないでしょうか?」
お父さんが頭を下げて頼み込んでいます。でも、この町は5年程前に作られたばかりだそうです。それなら仕事は幾らでもあるんじゃ?て思うのですけど、求人は殆ど力仕事なんで純人族には不向きらしいのです。
で、事務職する為に簡単なテストをお父さんも、お母さんも受けたんですけど・・・ほぼ白紙?
簡単な文字は解っても、専門用語?とかは読めないし、理解もできないみたい。計算は足し算は時間かかれば何とか?引き算は大苦戦!
「あの、教会とかは・・・」
お母さんが一抹の希望を持って尋ねますけど、宗教自体がすでに形骸化して存在しないそうです。
強いて言えば亜人さんみんなが神樹様を崇めてるそうなんですけど、別に神樹様に願い事を叶えてもらうとかじゃなくて、災厄から逃れるために祈るっていう意味が強いそうで・・・・って、それはどういう意味?
「私達亜人は宗教を必要としませんから、あと神樹様は・・・う~~ん・・・ね?」
「ね?ね?って何なのですか!」
思わず叫んでしまった私は悪くないですよね!
いままで黙って聞いていたんですけど、なんかもっと神樹様って崇められているんじゃないのですか?
ほら、おっきな教会っていうか大聖堂で荘厳なイメージが欲しいです!
「神樹様を祀る宗派があるのでは?」
「え?少なくとも宗教!っていう様な物は無いですよ?」
お父さんもお母さんも、そしてイツキちゃんも驚きの表情ですよ!わたしの偉大さはどこにいったのですか!
次回、イツキの雄叫びが・・・・ないかな?




