表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/302

2-39:角付さんとの遭遇~~

トテトテトテ・・・ズル!・・・トテトテトテ・・・コケッ・・・トテトテ・・・


お母さんに手を繋いで貰っていなければ、いったい何回くらい転んだんでしょう?歩くたびに地面の微妙な段差や、泥濘などに足を取られて転びそうになっているイツキです。


「ううう、不思議なのです。森の中よりちゃんとした道を歩く方が転びやすいのです」


特に周りへと意識を取られる事も無く、足元を注視しながら歩いているのにこの状態・・・謎です。


「イツキちゃん、疲れてるんだと思うけどもう少し頑張ろうね」


「大丈夫!疲れてないよ?」


お水を飲んで、しっかり寝たから実際に疲れは抜けてるんですよね。

日陰でもお昼寝効果はしっかりと出るのです。

ただ、残念ながらお父さんが森の中で集めてきたのは草ばっかりでした。

タンパク質はゼロだったのです!あ、あと細い用水路?にいたタニシみたいなのが数個!

それをお水でぐつぐつ煮て食べたんですが・・・うん、美味しくないのです。苦味?えぐみ?とにかくちょっと食べれないわぁという事で、お父さんとお母さんにお譲りしましたよ?


ただ、その日は結局そこで一泊して、朝から街へ向かって歩きはじめました。

もっとも、そろそろお空の真上に太陽さんが燦々と輝いています。ハッキリ言ってもうじき冬とは思えない暑さですね。もっとも、寒いより暖かい方がありがたいような気はするのですけど。


「むぅ、朝から誰も見かけないね~」


「そうね、でも人影を見つけても気をつけるのよ?みんな良い人とは限らないからね」


うん、言いたい事は解ります。ほら、こういう時の定番は盗賊さんなのですよね?

やいやい、ここを通りたければ金を出せとかですよね。


そんな事を考えながら歩いていたら、遠目に何かが見え始めます。


「う~んと、あれが町?」


お母さんを見上げて尋ねますが、どうも反応から町ではないみたいですね。

町はどうやらまだまだ先に有るみたいです。ではあれは何なのでしょう?


「エリーゼ、聞いていた話ではあんな物は無かった。とにかく気をつけてくれ」


「ええ、でも・・・」


見渡す限り両側とも畑ですね。ましてや刈取りの終わった麦畑です。う~~ん、どこにも隠れる所などないですから、馬とかで追いかけられたら絶対に逃げられませんよね?

もっとも、私では馬でなくても追いつかれる事になると思いますけど。


そのまま、お父さんを先頭にして進んでいきます。で、前に有る物はどうやら3mくらいの高さの櫓みたいな物です。

上の方に二人ほど人がいて、どうもこちらを注視しているみたいですね。

で、その櫓を囲う様に木で作られた柵がありますけど、もし戦争とかで攻められたら1時間も持たずに壊されそう。まぁ防衛拠点では無いのでしょうけどね。


「こちらに敵意はない!街へと仕事を探しに向かている所だ!」


櫓にいる人に届く様にお父さんが声をあげます。

でも、さっきから気が付いているんですけど・・・あの人達って角あるよね?


「おかあちゃま、あの人頭に何か生えてる?」


まだ遠目ではっきりしないですけど、何となく角が有る様な?

ただ、お父さんもお母さんも緊張の度合いが鰻上り?お母さん手が震えてるような?


「こ、こちらには敵意は無い!」


お父さん声が震えてますよ?

そんな私達に向かって、建物の後方からバラバラと5人くらいの人達が現れました。

見た感じ後ろ側に出入り口があるのでしょうか?


「悪いが、そこで止ってくれ!」


うん?何か熊さんと言っても良いくらい体の大きな人が前に出てきます。で、手には棒を持ってる?どっちも尖ってないから棒だよね?

で、なんか先程から頭の中に、何かザワザワする感じがしますけど・・・なんでしょうこれ?

う~~~ん、すっごくわずらわしい雑音が鳴ってる?って感じです?


「ふむ、どうやら純人族の方達かな?」


「そうです、西の海岸から先に有る島から来ました」


「ほう、島からですか」


熊さんの後ろに居る人達を見ますけど、どの人もあんまり警戒した感じはしません。

何となく珍しい珍獣を見るみたいな眼差しに近い気がしますが、気のせいでしょうか?


「奥方と子供を連れてここまで来られるとは、お疲れでしょう。我らの事を気にされないならそこの砦で休憩されると良い。その後に荷馬車でよろしければ町までお送りしましょう」


熊さんの言葉に、お父さんとお母さんは顔を見合わせました。

で、その後にお母さんが此方へと視線を向けるので、ニパッ!っと笑顔を向けます。ほら、熊さん何か怖くないですよって意思表示しないとです。


「ありがとうございます。ただ、まだ幼い子供がおりますので・・・」


「あの、子供の分だけでも良いので、何か食べ物を分けていただけないでしょうか?」


「ふぇ?おかあちゃま、イツキはお腹すいてないよ?大丈夫だよ?」


お母さんが私の頭を撫でてくれるのですけど、何となく角付さん達の視線から隠すようにしてる?

角付さん達からはそこまで悪い感じは受けないのですけど、やっぱり亜人さん差別がここにもあるのかな?


「ふむ、まぁそうですなぁ・・・・」


何やら考え込む熊さんを見ながら、わたしは未だに震えているお母さんの手をしっかりと握ります。で、びっくりして私を見るお母さんに又もやニパッっと笑いかけます。お母さんも私の笑顔で少し落ち着いたのか、漸く手の震えが納まりました。


「ふむ、わかりました。今から荷車を出せば、何とか今日中に町へと着くでしょう。あと、食料は干しパンと干し肉しかありませんが、それなら荷車の上でも食べれるでしょう」


そう言うと、熊さんは砦へと戻って行きました・・・けど、これって砦って言うほど立派じゃないよね。

う~~~ん、囲いを作った見張り台?でも、この見張り台って何を見張っているんだろう?

次は漸く町に!・・・

着けると良いなぁ(ぇ

着けるんじゃないかなぁ(ぅ

もしかしたら着けないかも?(ぁ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ