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2-8:人は争いから逃れられない運命なのですね


「ふぎゃ~~~~~~」


目の前で次々と私の甘味を食べられて、思わず絶叫してしまいますよ?

3ヶ月かけてここまで育てた私の甘味が、ぶちぶちぶちぶち毟られてるのです。

これが叫ばずにいられましょうか、いられません!


私の叫び声を聞いて、家の中からお母さん達が飛び出してきます。

私は目から鼻から大洪水ですよ!日々の安らぎが全滅なのです。


「イツキ!どうしたの!」


「おかあちゃま~~、花壇のお花がぶちぶちされたの~~」


3歳児自身にこの悪魔に対抗する術はないのです。より強大な権力を味方につけるのです!

もはやまともな花の無くなった花壇を指さして泣き続けます。

だんだんと、日々甘くなってきていたお花!今年の果実を諦め、このお花の甘味で生き抜こうと健気にも頑張っていたのです。その花が、花壇が見るも無残なのです。


お母様も、他の大人達も、毎日毎日未だ3歳の私が大事に花壇の世話をしていたのを知っています。

始めて咲いた花は、お母さんにプレゼントだってしました。その、大事な花壇の惨状に、大人達の怒鳴り声と、拳骨が乱舞します。


「トーマス!きさま何やってんだ!」

「マリオン!お前なにやったか解ってるのか!」

「デービット!」


次々に落とされる拳骨、それでも悪魔達は口に何本も茎を咥えています。なんって意地汚いの!わたしは一本一本大事にカジカジしていたというのに、一気に何本もカジカジするなんて!ゆ、許すまじです!


「一生懸命お世話してたの。毎日ちゃんとお水あげてたの。きれいきれいしてたの。」


ぐずぐずと泣きながらお母さんのお腹に顔をグリグリと擦り付ける。

どうよ!この儚き美幼女の姿!この涙涙の訴えで、きっとこの悪魔たちは粛清されるのだ!

私は、そっと首を傾けて悪魔たちの姿を見て・・・・愕然としちゃいました。


「な、とうちゃん。それすっげ~甘いんだって!」


「おお、すごいな、なんだこの甘さは!こいつは大発見だぞ」


「この花は森に咲いているのか?」


なんと、なんと!悪魔達のみならず、大人たちまで花の茎をガジガジしてるのです。

あ、ありえない光景なのです。


「ふ、ふえええ~~~~~ん、おかあちゃま~~」


マジ泣きです!なんですかこいつらは!理解不能なのです!他人の育てたお花を勝手にガジガジなんてありえないのです。


「貴方達!イツキちゃんの大事な花壇を荒らして、何をしているの!ギルバート、貴方達も子供にまじって何をしてるのですか!」


お母さんの怒鳴り声初めて聞きました?でも、どんどん怒鳴ってください!わたしの育てたお花なのです!今後も勝手に毟られたら、私もう生きていけませんよ?


「いや、エリーゼ、そういうがこの花の甘さはすごいぞ!この汁を集めたらシロップとかできないか?」


「え?」


お母さん、なんか怒鳴り声終わっちゃいましたよ?ほら、そこは鞭をふりふりですよ?躾は大事なんですよ?


「ふみゃ?おかあちゃま?」


お腹にすりすりしていたのを止め、そ~っと視線を上げると・・・が~~~ん、お母さんまでガジガジしてます!な、なんという事でしょう!


「ふ、ふえ~~ん!」


泣き叫びながらお家の中へ・・・


ぐに、コロン、ゴロゴロ、ドシン、ゴツン!


「キャ~~~~イツキちゃん!大丈夫!いま、ゴツンしたわよね?大丈夫?大丈夫?」


「う、うわ~~~~ん~~~~ん、うえぇっぷ」


痛いです、洒落にならないくらい痛いです!また後頭部強打です!ぜったい瘤になってます。

後頭部に手をあてると・・・ニュル?あれ?

何か変な手触りです?濡れてます?

そう思ってお手てを見ると・・・あら真っ赤?おや?あれ?これなんですか?


そう思ったのを最後に、目の前が真っ暗になりました。

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