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1-104:99年目の秋は・・・

ふんふんふん♪ 根っこを動かせそうな樹です。

根っこさえ動かせれば更なる進化すら望めそうで浮かれちゃってますよ!


う~~ん、大きな根っこがとりあえず4本地面の下に張ってますね。

そこから、中くらいから細いのまで、まるで毛細血管のように周辺に伸びているのを感じます。


う~ん、つい先日までは感じられなかった根っこの感覚がしっかりありますよ?!


まさに、開眼というやつでしょうか?


ある日突然に、今まで出来なかった事が出来るようになるという話を時々聞きます。

それが自分の身に降りかかれば、予想以上に感動ですね!


うんっしょ、よっこいしょ


根っこが張り巡らされている為、一本の根っこを地面から引き抜くにも一労働です。

毛細血管っぽい細い根っこがブチブチ切れて、当初の想定以上に時間も、力も掛かってます。

これって後で影響とかでるのでしょうか。


まぁとにかく、根っこの一本が地面から抜けました。


ぬほほほ~~~、うにうに動く根っこですよ~~うん、不気味ですね!


根っこが結構硬いのですよ?


思い通りに動くとは、とてもお世辞にも言えません。でも、これもきっと慣れれば・・・


スキップはまだ無理でも、ズリズリと地面を歩くくらいはできそうな?


まぁとりあえず2本目の根っこの引っこ抜き開始です。


うにうにぶちぶち・・・・うねうねぶちぶち・・・・ズポッ!


おお!先程より若干早く2本目も引き抜く事ができました!


ふふふん♪さぁ3本目ですよ!


ん?なんでしょう?周りの森が騒がしいです?子供達からも何かビシバシ思念が飛んできます。

きっとわたしの進化に驚きを感じているのでしょう。


ふ、ふ、ふ、3本目~~~なのです!


ズリズリ・・・うにうに・・・・・グラグラ・・・・・・・・ん?


グラグラ?


なんか可笑しいぞっと思った時に3本目の根っこを抜く事が出来たのです。

出来たのですが・・・・およ?


なんか視界がっというか、体がっというか、ぐらぐらしていますか?

これ、ちょっと不味くないですか?


・・・・・・ふぎゃ~~~!倒れます!安定が!!!


良く考えたら、わたしって頭?側がすっごく重いのではないですか?

で、で!スタイルは細いのです、そう、細身のスレンダーなのです!


そのわたしが、しっかり固定された足元の固定を外したらどうなると思いますか?


・・・・・・倒れるのです!ひっくり返っちゃうのです!


あ、足を速く地面に埋めないと!


そう思って急いで根っこを突き刺すために振り上げようとしたのです。


そして、浮き上がる根っこと、傾く体、崩れる重心・・・


視界がグルンと移動しました。そして、


バキバキバキ! ボキッ! バキバキ!


あ、駄目だわこれ・・・

痛みとかはないのですが、枝が折れるたびに体から力が抜けていくのが感じられます。


ズドン!ボキッ!


一際重い音が響きました。

そして、一気に体から力が抜けます。


あ~~~駄目ねこれ、視界が真っ暗です。


馬鹿な事考えちゃったなぁ、よく考えたらこの結果は予想着いたのになぁ。

どうせなら、根っこを地面に刺すんじゃなくて、横に広げて支えれば良かったのよね。

いっつも重要な所で選択ミスしてるような気がするなぁ

このあとどうなるのかなぁ


頭の中で、今までの出来事がぐるぐる回り始めます。


楽しかったこと、嬉しかったこと、あ、樹になってからはどっちかと言えば悪い思い出は少ないかなぁ


あんまり誰かと交流なんかなかったし、感情のやり取りも殆どなかったもんね。


動物さん達とでは、悪い思いを抱きようがなかったし、そっか、まぁいっかな。


あ、なんか、だんだん眠くなってきちゃった。


うん、たのしか、たのか、な?


・・・・か、かみ、さま、の、ば~~~か・・・


で・・も・・・あ・・・・り・・・・・が・・・・・・と・・・・・・・・う



◆◆◆


神樹が倒れた。

まるで、のたうちまわる様に根を地上へと出し、その後、緩やかに大地へと倒れていった。

その様子を眺めていた全ての生き物たちが、その光景に慌てふためいた。


大地に倒れた神樹は、その身に蓄えたマナを一気に解放した。


その光景は、神樹がまるで光り輝くようであったと言う。

光が収まった後、人々は恐る恐ると倒れた神樹の周りへと集まって行く。

すると、幹から本当に小さな丸い光が飛び出した。


その光は、しばらく周辺を飛び回った後、空へと溶けるように消え去ったと言う。


そして、その光が消え去る瞬間、子供達の耳にのみ、柔らかい女性の声が聞こえた。

その声には、呆れたような、どこか叱る様な、それでいて若干の悲しみと、慈しみの響きが含まれていた。




「お調子者め、あと少し我慢すれば・・・・まぁ今はゆっくり休むがよい、次に目覚めた時は・・・ふふふふふふ」


穏やかな風がす~~っと吹き抜けていった。


そして、その後、神樹は御神体として、各地の神社や神殿に祭られる事となった。

数々の御利益を謳われる御神体ではあったが、なぜかその項目の中に、縁結びだけは含まれなかったという。

一応これで樹のお話は完結です。

100年で終わらせるとは最初から決めてたんですが、100年にぜんぜん辿り着かないので焦りましたw


終わり方も決めてて、しっかり根付かないと倒れるぞ?の教訓話に!(え?どこが教訓話?)

ただ若干というか、大分強引な終わり方になっちゃいました。


あと、いただいた感想で題名がと言われてちょっとドキッっとしたのは内緒ですw


とにかく、ここまで長くなるつもりのなかった話なので、完結してほっとしました><

楽しんでいただけてたら幸いです、読んでいただけてありがとうございました。

m(_ _)m

引き続き、コルト他もよろしくですw


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