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とても幸せに暮らしています~私とモフモフと過保護の日常~  作者: シーグリーン
暇を持て余した神の使いの就職活動編

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12 違うジャンルのゲーム

 




 アクセサリーの納品が無事終わった次の日、用意してもらった農地に種をまくついでに地下トンネルの建設に着手する事にした。着手するのはもちろん私じゃないけど。



「チカチカさん、まずは拠点と大森林の木の滝エリアを繋げて欲しいです」



 いい機会だからユニコーンのコーンと白フワファミリーの様子を少し確認しておきたい。



 ゲートをくぐって拠点に到着。

 白フワは虹色キャットタワーでだらだらしていた。今はパトロール休憩中のようだ。



「おはよ。今から白フワの実家に帰るよ~」



 本日の予定を告げると白フワは私の頭の上にシュッと陣取ってきた。元気でよろしい。



「チカチカさん、トンネルの入り口は柵の内側のこの辺が好ましいです」



 そうお願いするとアダムさんバージョンのチカチカさんがこくりと頷いてくれた。かっこいい。



「出来た」


「はや!」



 しかし出来たと言うものの入り口らしきものは見えない。



「……どこだ?」


「手をこうやって」


「こう?」



 チカチカさんのやっているように、右の手の平を下にしたまま前に伸ばす。



「次に『我の道を示せ』、はい復唱」


「我……え? あの……?」



 なんか対思春期のキラーフレーズらしきものが聞こえたような……。



「『我が命ずる』を前につける?」



 あの……そういう事じゃ……。

 でも絶妙に心をくすぐられるこの感じ……さすが保護者は年十年も私を観察してただけある。

 こういうシンプルなベタが好きなんだよ。



「……我の道を示せ」



 若干恥ずかしい思いをしながらもそう唱える。島のみんなが清らかな瞳でじっとこちらを見守っているのが余計恥ずかしい。



 すると伸ばした手の下の地面が円状にかっと光り、そのまま円状に光が立ち昇ってきた。

 巨大シャボン玉の中に入るアトラクションのシャボン玉に似てるけどかっこいい。



「その光をくぐればトンネル。でもここは高台だから途中まですべり台にしてみた」


「え!? すべり台!?」



 もしかして緊急出動の際のアレみたいなやつかしら? 

 楽しみ過ぎる。興奮が止まらない。



「よし、さっそく――帰りはどうするんですか?」



 山登りはちょっと。



「坂道からは上に押し出される」


「上に?」


「はるの好きなウォータースライダーの逆空気バージョン」


「おお……!」



 チカチカさんにタックルの勢いで抱き着く。

 思わず抱き着いてしまったが固定化されてて助かった。



「好きすぎて苦しいです! この気持ちどうしよう……! あっラブレターでも書いて渡していいですか!?」

「いらない」



 ツンデレめ。秒で返されたわ。



「じゃあいくぞ――――」



 ひとまず手ぶらで恐る恐る1歩を踏み出す。1番乗りは誰にも譲らない。

 農作業用のパンツスタイルで良かった。



 足を踏み入れた瞬間、広々とした虹色鉱石の空間に寝転がっていた。



「お? おお? おおお…………!?」



 周りを見渡してきょろきょろしていると、少しずつスピードが出てきて怖くない程度の速さで体が滑っていく。


 なんだろうこの不思議な感覚は。

 すべり台みたいに体が何かに触れているわけではないが、確かに滑って行くのがわかる。



「わーはははは!」



 両手をバンザイしすべり台を堪能していると、一瞬の浮遊感の後、くせになりそうな弾力の何かにぼよんぼよんと着地した。目には見えない何かがあるんだろう。



「楽しい?」



 寝そべったままぼよんを楽しんでいると、チカチカさんが顔を覗き込んできた。



「とてつもなく。チカチカさん、あと3回くらいやりたい」



 いつになく真剣な顔でお願いすると「変な顔」って言われた。おい。

 でもすぐさま拠点に戻してくれた。


 しかも逆空気スライダーっていうのが、空を飛んでいるかのようなアレ。

 もちろん両手は前に突き出すよね。マントが欲しい。



 結局5回滑り降りて――最後の1回は全員集合でもみくちゃになりながら――そこから先はエンに乗せてもらい、大森林の木の滝エリアに到着した。






「誰もいないね」



 仕事が丁寧なチカチカさんの作ってくれた出入口の階段を上って顔を出すと、辺りには誰もいない。



「コーン~、白フワのみんな~、お邪魔してるよ~」



 大きめの声で呼びかける。

 すると緑の葉が生い茂っている場所から白い色がちらほら顔を出しはじめた。


 あの木の後ろに隠れているつもりで鋭い角が隠れてない子はコーンだな。

 あんな武器を持ってるのに性格は臆病なところが良い。



「いたいた。久しぶり~。元気? ここに秘密の通路を作ったからよろしくね」


「ヒッ」



 コーンと白フワファミリーは入り口を興味深そうに見ている。



「チカチカさん、野生の生き物ですけどコーンと白フワ達が拠点に遊びに来ても平気ですか? あ、でも私が呪文を唱えないと出入口は開かないのかな?」


「ここなら開いたままにできる。拠点も出てくる分には呪文は必要ない」


「お、じゃあいつでも遊びに来れるようにお願いします」



 野生の警戒心を持っているコーンと白フワファミリーが遊びに来る事は無いかもしれないけどね。



「他にも興味を持ってるのがいる」


「んん? 他にも?」


「唸り声要員の魔物」


「まも……ああ! パーマか!」



 戦争の為大森林の木を伐採していたミナリームの人達を追い返すのに、唸り声を活用してくれた狼もどきの魔物の事だ。

 灰色と白のまだら模様の天然パーマの毛が素晴らしい魔物。



「興味って地下トンネル?」


「はるの存在に。ここには近づけないけどさっきのはるの大きな声を聞いてた」


「耳良すぎ!」



 これはもうやる事は決まったな。農作業は後回しだ。



「ボス、頭に乗せてもらっていい? パーマの所に連れて行って欲しいな」



 まず自分の安全はしっかり確保しておく。この牙が目に入らぬか的な。



「パーマ何か食べるかなあ――――島産のキウイメロンしか持ってきてないや。チカチカさん、島産の食べ物は良くないですよね? いちおう魔物だし」


「はるがちゃんと管理するなら食べさせてもいい。毛が白くなって力が強まる」


「えっ」



 毛が白く……? なにそれ。



「島産の食べ物で毛が白くなるんですか? 初耳~。でもあのまだら模様が好きだからそれはなあ……あ、管理ってどういう事ですか? えっじゃあタツフグはその内真っ白になるんですか? というかチカチカさんもしかして白色が好きなんですか? 理の一族の人も――」

「まとめてから話す」


「あつっ」



 ごしごしと頭をこすられた。

 それにしても子供みたいな内容で叱られたな……。気をつけよう。


 でも私の質問に全部答えてくれたチカチカさん。優しい。



 意図した事では無いようだが、チカチカさんの力の影響は白い色を伴って現れる事が多いようだ。

 そういやコーンも白フワも真っ白だもんね。虹色ペインティングされてるけど。

 だから大森林を縄張りにしているパーマも灰色と白のまだら模様だったんだと納得。木の滝エリアほどの神の力の影響はないからね。

 でもタツフグはもう墨がレインボーに進化してしまっているので白くはならないようだ。


 クダヤの人達の、神の食べ物で色ではなく純粋な力の部分が強化された事に関しては説明がいまいち理解出来なかったので、「そういう事もあるんですね」と納得したふりをした。多分ばれてる。

 でもそう考えると髪と身長が伸びるアルバートさんて特殊なパターンだよな。さすがヒーローの孫。



 そして管理というのが――



「まずはるが上位の存在であることを魔物に認識させる」


「ほうほう」


「次に相手に紋様を刻む」


「…………ほう」


「紋様を刻まれた魔物には命令できる」


「…………!」


「はるの気に入りそうな言葉で言うと『テイム』」


「…………!!」


「今のはるならこの世界の魔物をすべて『テイム』できる」


「…………!!!」



 ……それ、いまさら世界観が変わりそうなんですけど。







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