表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界山月記 ‐社会不適合女が異世界トリップして獣になりました‐   作者: 空飛ぶひよこ
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/136

社会不適合女の半生と仕事

 昔から「変人」と呼ばれていた。

 会話が噛み合わない。思考回路があさっての方向を向いてる。

 物の整理や身支度は苦手だったし(学生時代の机の中はプリントがぐちゃぐちゃに詰まっていたし、顔に歯みがき粉を浸けっぱなしで登校するなんてしょっちゅうだった)、手先が不器用で(プリントが綺麗に二つに折れない)ドジだった。(多分小学生のころ、うっかりどぶにはまって、びちゃびちゃになった回数は誰にも負けない)

 いつも何かしら浮いていたような気がする。

 

 ただ、そんな葉菜を面白がってくれる人はいつも一定数存在したし、勉強もそれなりに出来たから、特に深刻な問題にはならなかった。

 

 まずいな、と心底思ったのは、進路も深く考えずに地元の国立大学の文学部に進学してからだった。

 いくつか行ったアルバイト。繰り返すドジの連続。皿を割ったり、釣り銭を間違えたり、客と意思疏通が取れなかったり、はっきりいって、自分は「使えない」アルバイトだった。

 どんなに気をつけているつもりでも、繰り返してしまうアホな行動の数々。

 

(自分は、本当に社会人になれるんだろうか)

 

 凹んではサークルの飲み会でネタにして笑われる日々を送りながら、そんな不安を葉菜は内心抱えていた。

 

 やれること、やりたいことも思い付かず、取り敢えず始めた就職活動は散々だった。汚い字で写真の切り口すら気にしない雑な履歴書を出していたのだから、当たり前かも知れない。

 

 だけど、そんな葉菜の気質を面白がった、準都会で小売業をしている小さい会社の社長 が、葉菜を拾った。多分学歴が決め手だと思う。

 田舎からは新幹線を乗り継がなければならない、都会の地。もしかしたら自分は変われるかも知れない。葉菜の心は踊った。

 

 しかし、人間そんな簡単には変われはしない。

 

「気が利かない」

「口ばかりで行動に移さない」

「我が強い」

「ものを出しっぱなし」

「他人に関心がない」

「話し方がおかしい」

「仕事の漏れが多い」

「だらしない」

「不器用」

「報・連・相が出来ない」

「思考回路がずれていて、常識がない」

「ネガティブ」

「売上が作れない」

 etc.etc.…

 

 想定した通り、葉菜は販売業に向いていなかった。いや、仕事全般向いてなかった。

 自分なりの努力は身を結ばずに空回りばかりで、まわりの冷たい目線や呆れた声が葉菜の気力を奪っていった。

 同期や後輩からも置いていかれ、もはや何をすれば良いのかも分からない。

「ごみ社員」と罵りながらも、根気強くまだ上司は自分を叱ってくれてはいるが、見棄てられるのは時間の問題だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公ドジなだけで変人ではないな。 主人公はただ生きるのが向いてないだけ。 変人はただやりたいことやってたらそう評価されてただけ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ