開発計画
注目度ランキングに載りました。そしたらジャンル別ランキングに載って、総合ランキングにもちょこっと載りました。
皆様のお陰です。ありがとうございました。
多分、今年最後の更新になります。年末の主婦は忙しいもので。
お節、半分は手作りします。材料費考えると、出来合いの物を少量買った方が安くつきそうですけど、やっぱりねぇ。
年明けは、恒例の正月特番を投稿します。短編で済まずに中編になりそうですが(笑)
マーク君の学園生活はそれがおわってからになります。どうぞよろしく。
エザール叔父さんとデアモント公爵閣下の後ろから、ぞろぞろと文官の皆さんが入って来た。書類の束や両手で抱えるサイズのボードを、中央の机の上に並べていく。
複数のボードが隙間なく並べられると、巨大な地図が完成した。
デルスパニア王国がすっぽり収まっている。領地の境界線と河川、それに街道だけがはっきりと描かれていて、他は白紙のままだ。
何だろこれ、未完成品?
しげしげと見ていたら、デアモント公爵が声を掛けてきた。
「これはな、インフラ整備用の白地図というものだ。これを元に新しい街道をどこに造るか計画するのよ。優先順位を検討するには、余計な情報は邪魔でな。都市同士の利権争いを無視するには、初めから地図に載せなければ良い。他も同じよ」
うわあ。また尖った地図だ。
パサリと、薄い何かが地図の上にかぶせられた。下の地図が透けて見えてる。紙には見えないし、布か何かか。
それには絵が描いてあって、ぐるりと国の周りを太い線が囲っていた。
「そら、これが辺境開発案の一つよ。既存の領地のすぐ外側に、運河をめぐらす。聖女様の神託に従って神代の交通手段を構築する計画だ。辺境の王領であるからな、土地は使い放題よ」
へっ。神託ですか。
神代の交通手段って、あのキャンピングカーモドキみたいに出鱈目な奴ですか。
妻のリアーチェが、甥っ子のマークの手紙を持ってきたのが始まりだった。
私はエザール・デイネルス侯爵。デパ国の第三宰相を拝命している。個人の都合より国家を優先するのが当然の立場なのだが。
「マーク・ランドール伯爵子息は、聖女様の義兄である。ライナーは聖女様のアシスタントを務める者。便宜を取り計らうように」
第一宰相マクミラン侯爵閣下の指示となれば、従わざるを得ない。
リアーチェ、王宮へ手を回したな。女侯爵としての手腕は衰え知らずか。そこが可愛いんだが。
「畏まりました。ですが、どの程度まで許されましょうか」
ライナー君の生まれ故郷は辺境の開拓村。そこを開発するとなると、かなり大規模になる。何も無いところに一から整備しなければならないらな。
「国土改造計画の環状線整備、あれを前倒しして実地する。なに、順番が前後するだけのこと。さすれば駅舎の候補地に辺境の村を選ぶは必然。運河にビートバンを装備した乗り物を走らせれば良いのじゃ。神代のリニア新幹線、再現しようぞ」
正直、ぎょっとした。
姪のミリアがもたらした神託の数々。それを元にした国土改造計画に私は深く関わっている。
だからこそ分かる。環状線整備を優先したら計画全体を組みなおす羽目になる。予算や資材調達計画が全てご破算だ。
しかめっ面になったのを自覚した。ポーカーフェイスを崩すのは貴族として失格だろうが、敢えて隠さなかった。
そんな私の不満表明を、マクミラン閣下は鼻で笑った。
「安心せい。国王陛下の許可はいただいておる。交通インフラはデアモント公爵家の職分。彼の者に丸投げすればよい。あ奴なら嬉々としてマーク卿に絡んでいくであろうな。さぞかし張り切って環状線を完成させよう。上手く使え」
陛下まで噛んでいらっしゃるのか。
仕方がない。デアモント公爵に話を通すことにした。
済まないな、マーク。国策に巻き込むことになって。
ライナー君の故郷は大都市になる未来が確定したから、それで納得して欲しい。
直接書くわけにはいかない謝罪を胸に、呼び出しの公式書簡を学園へ宛てて出したのだった。
リニア新幹線については、シリーズ本編を参照してください(笑) 目次のタイトルの上にシリーズへのリンクがあります。
お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。




