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マーク君の学園生活  義父は英雄 義妹は聖女 叔父は宰相やってます  作者: お冨
第十三章 デアモント公爵

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王宮へ三人で

 寒くなってきました。今年もあと半月足らずですね。

 指定されたのは、王城じゃなくて王宮。一文字違いだけど、この差は大きい。


 王城は行政機関が軒を並べる国政の中心部。関係者以外立ち入り禁止だけど、平民や下級貴族だって大勢働いている。

 学園を成績優秀で卒業すれば国の文官になる道が(ひら)けて、その時の主な勤務先がここになる。


 王宮は国王陛下のお住まい。王家のプライベート空間とは別に国王執務室があって、その周囲に閣僚執務室が並んでいる、らしい。

「大臣の執務室は役所内にございます。王城と王宮、どちらの執務室をメインに使うかは人それぞれ、エザール卿は王宮派でございますね」

 僕の侍従になったルシカ・マクレーン先輩が、仕事モードで説明してくれる。ちょっと敬語が堅苦しい。向かう先が先だから、先輩も緊張してるんだろう。


 乗ってる馬車はランドール伯爵家の紋章入り。式典用の八頭立て馬車を(のぞ)けば一番格式が高いやつだ。

 学園からランドール伯爵邸へ戻ったら、王宮訪問だからと家令のリカルド・オーエンさんが準備万端整えてくれていた。


 だけどさ。

 国王陛下の侍従長だったリカルド卿にとって、王宮は元職場。ルシカ先輩の研修に丁度いいからって、一人で送り出すのはスパルタだと思うよ。


 ライナーはというと、はしゃいでた。

「すっげー立派な馬車。なぁなぁ、ホントに学園の制服で良いんか。正装あつかいなの知ってるけど、王宮でも通用するのかな。こう、すっげー着飾ったお貴族様とか居るんかな。あ、侍女服ってドレスなんか」

 まあ、平民が王宮内へ招かれるなんてまず有り得ないから、興奮するのは分かるけどさ。学園でビビッてなかったっけ。

 メンタル強いのは知ってるけど、失言には気を付けてくれよ。



 エザール叔父さんの許可証は凄い威力を発揮した。足止めされることなく、スムーズに案内される。

 煌びやかな装飾の王宮の廊下はデイネルス侯爵邸より豪華で、しかも上品にまとまっていた。

 さすがは歴史と伝統の建物。どれだけ費用をかけて贅を凝らしたって、一朝一夕(いっちょういっせき)では作れない空間だ。


 奥へ進むと、案内役が近衛騎士に交代した。

 普通なら緊張が高まるんだろうけど、僕は逆に安心した。

 ミリアのお陰で近衛騎士に慣らされたというか、既に日常の風景になってたのが大きい。我ながら感覚バグってるなぁ。


「こちらです」

 通されたのは、出来る男の仕事部屋、高級品バージョンって感じだった。

 重厚でありながら機能的な執務机。シンプルで高級感のある応接セット。壁一面の棚には、びっしりと整理された資料が詰まっている。


「こちらでお待ちください」

 どうやらここは、応接室のようだ。そりゃそうか、ただの学生を宰相閣下の執務室に直接通すわけないよな。


 指示されたソファに三人並んですわってたら、(そろ)いの簡素なドレス姿の女性が入室してきた。

「失礼いたします。お茶をお持ちしました」


 優雅な所作で、ティーセットと茶菓子をサーブしてくれる。さすがは王宮侍女、と言いたいところだけど。

 あー、ランドール伯爵家に出向してきている上級使用人の皆さん、レベルがめっちゃ高かったんだなって再認識しちゃったよ。 




「待たせたね」

 軽く言って入室して来たのはエザール叔父さん。


「どれ、お邪魔するよ」

 一緒に来たのはデアモント公爵。

 ちょっと、なんで公爵閣下がここに。


 隣でライナーとルシカ先輩が背筋を伸ばした。











 久しぶりに日間ランキングに載ったら、PVがメッチャ増えました。読んでいただいてありがとうございます。


 次話から、辺境開拓事業についての打ち合わせに行きたいです。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
「あー、ランドール伯爵家に出向してきている上級使用人の皆さん、レベルがめっちゃ高かったんだなって再認識しちゃったよ」 つまり王宮メイド(あるいは下女)のレベルがパッとしないな、と。贅沢なことを言う。
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