面会許可
コネは使うためにある(キリッ)
マーク君、ライナー君のために一肌脱ぎます。
平日に学園から外出するのは、手間がかかって結構面倒くさい。
公務や緊急事態なら申請して即許可が下りるけど、私用だとそうはいかない。訪問先に先触れを出す時間だって要る。
なので、デイネルス侯爵家へお邪魔するのは次の休日になった。
今までは僕の連れあつかいで先触れなしの略式訪問だった。
だけど、今回の件はライナーが主体になって行動した方が印象も良くなるだろう。やって損はない。
さすが貴族学園と言うか、王都内限定になるけど、先触れの手紙を出すことが出来るんだ。それも学園の職員を使者に立てた直接手渡しだよ。凄いだろ。
「卒業したら自前で出さなきゃいけないからね。下位貴族や平民は自分の足で届けることになるし。使者を務められる使用人って、結構余裕のある家でないと抱えられないから。学園に居るうちに経験しといた方が良いよ」
「そうだな、何事も経験だよな。やってみる。えと、でも、変なとこないか見てくれねぇ。っと、添削していただければ有り難いです」
ライナーがキリッと態度を改めて、手紙の用意にとりかかった。
でもなー、もっと力になりたいんだよなー。
おせっかいかもしれないけど、僕からも訪問希望の手紙をリアーチェ叔母様へ出すことにした。
ライナーが故郷の村に帰りたがっているので、彼に相応しい就職先を世話したい。ついては、村を発展させたいので、何か丁度いい開発計画を紹介してもらいたい。
要約するとそうなる内容を貴族らしいもって回った言いまわしで認めて、ライナーの書き上げた「作品」と一緒に、使者役の職員さんに託したんだ。
次の日、学生寮に返事が届いた。デイネルス侯爵家の紋章がでかでかと刻印された封筒。いかにも上位貴族御用達って分る高級紙が使われてるやつだ。
今回、わざわざ正式な先触れ出したから、公式な対応してくれたんだろうなあ。
コーカイを仲間外れに出来ないから、ライナーに呼びに行ってもらった。そしたら、レナード・ルシアン伯爵令息とルイ・バースタイン男爵令息がくっついてきた。
レナード、騎士団の見習いで忙しいんじゃなかったのか。あ、学園に戻ったから顔を見せに来たのか。
「邪魔して悪いが、侯爵家の公式文書と聞いてな。滅多にお目に掛かれない代物だ。後学のために是非拝見したい。内容まで見せろとは言わん」
あーあ、野次馬だって自己申告しているよ。
「別に良いんじゃねぇ、俺の事だし、隠すことでもないし」
ライナーはこだわらないねぇ。おおらかと言うか大雑把と言うか。
「いけずせんと、早よ中見せてくんなはれ。日時の指定ですやろか。断られる心配あらしませんし」
そだね。リアーチェ叔母様は僕に甘いからなぁ。
適当なあつかいは憚られたので、ペーパーナイフを使って丁寧に封を切った。
出てきた便箋は、これまた侯爵家の紋章の透かし入り。一枚いくらするのか、指紋を付けるのが怖いくらいの高級感がプンプンしてる。
肝心の中身だけど。
リアーチェ叔母様からじゃなかった。エザール叔父さん、それも第三宰相としての公式なサインが入っていた。
「あのさマーク、これって読み間違いじゃなければなんだけど」
ライナーの声が震えてた。
「王宮への召喚状、になる、のかな」
「いや、デイネルス侯爵家の公文書だからエザール叔父さん個人の呼び出しになる、はず、ですよね、レナード卿」
生まれついての伯爵令息なんだから、僕より詳しいよね、レナード。
「確かに、王家からの召喚では無いな。しかし、第三宰相からの面会許可で、王宮が場所として指定されている。公式文書であるし、断れまい」
ですよね。
なんだかどんどん大事になってく気がする。大丈夫かな。
あー、またまた予定まで届かなかった。お冨の売りのテンポの良さが迷子になってます(;'∀')
王宮ではあの人が待ってます。次こそ辺境開拓計画へゴーだ(笑)
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