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 狙撃事件が船上で解決しようとした頃、レミエルはアユカワビル屋上でライフル銃、H&KPSG―1に装着したスコープを覗きこんでいる。

 スコープにシャイワーカー号が映りレミエルはニヤリと笑った。

「後100メートルか」

 レミエルはスコープ越しに東京湾を進むクルーズ船を見ながら、銃弾をライフルに込める。

 それから1分後スコープにクルーズ船の甲板が映った。だがそこには工作員Sがいない。それどころか意外な人物が映っている。

「ウリエルか。あいつは簡単に死なない」

 レミエルはターゲットが甲板にいないことに腹を立てポケットからスイッチを取り出した。

「炙り出す。船が停まった方が狙いやすいからな」

 レミエルは呟きながらスイッチを押す。するとシャイワーカー号の機械室に仕掛けた爆弾が赤く点滅し始めた。

 点滅開始から10秒後爆弾は爆発する。クルーズ船から白煙が昇っている様子がスコープにも映った。


 シャイワーカー号内部にいた合田たちは突然の揺れに驚く。間もなくしてアナウンスが流れた。

『火事です。火元は機械室と思われます。乗務員及び乗客は甲板に設置してある救命ボードで脱出してください』

 そのアナウンスに従い乗務員は乗客を誘導するために甲板に向かう。アナウンスを聞いた東宮と柏木の2人はトイレを退室し、合田たちの前に現れた。

「火事というのは本当ですか」

「間違いないらしい。今すぐ避難する」

 その合田の呼びかけを聞き京宮は顔を青くする。そして彼はあることを決意し、捨てたゴルフバックを再び担ぐ。

 レミエルは甲板に集まっている乗務員たちをスコープ越しに見て笑う。

「あの爆発では沈没しない。ご苦労な野郎だ」

 レミエルはターゲットがスコープに映るのを楽しみにしている。

 1分後甲板に合田たちが現れた。その合田たちの近くには工作員Sこと京宮蛍の姿がある。

 スコープに京宮蛍が映りこみレミエルは頬を緩ませる。

「やっと現れたか」

 レミエルは京宮蛍の後ろの窓ガラスに照準を合わせる。

「さあ銃撃戦の始まりだ」

 レミエルは挨拶代りにライフルの引き金を引く。それから1秒後京宮蛍の後ろにあるガラスを銃弾が貫通した。その時京宮蛍は頬を緩ませ、ゴルフバックから愛用しているドラグノフ狙撃銃を取り出す。


「何をしている」

 合田は京宮が突然ライフルを取り出したことに驚く。それでも彼はライフルに銃弾を込める。

「見て分かりませんか。狙撃です。あいつは僕をここにおびき出すために爆弾を仕掛けたのでしょう。あいつの目的は僕と銃撃戦をすること。あなたたちが近くにいたら間違いなく銃撃戦に巻き込まれます。もう幼馴染が被弾する場面を見たくない。だから僕を置いて避難してください」

「俺は残る。俺以外は全員避難だ」

 その合田の決断を京宮は非難した。

「ダメです。これは俺とあいつの戦い。刑事さんを巻き込むわけにはいきません」

「目の前で狙撃事件が発生しようとしているのに、逃げることはできない」

 京宮と合田は甲板で喧嘩する。その喧嘩の様子をスコープ越しに見たレミエルは呆れた。

「何をしている。早く撃て。お前が撃たないと俺が一方的に撃っているみたいだろう」


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