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 合田は最初に源幸助に近づき、彼に話を聞いた。

「幸助さん。少し話を聞かせて貰おうか。桐壷若菜さんという女性を知っているか」

 その名前を聞き源幸助は顔を曇らせる。

「知っていますよ。彼女も幼馴染でしたが、13年前に亡くなりました。その彼女が狙撃事件に関係があるのですか」

「あるかもしれない。これはマスコミ発表されていない情報だが、藤原高明さんが殺害された場所から13年前の現金輸送車襲撃事件で盗まれた二千円札が発見された。警視庁はこの狙撃事件と13年前の事件に関係があるとみて捜査している。そこで一つ質問するが、桐壷若菜さんの性格は内気か」

「そうです。彼女の性格は内気でした。我々幼馴染にしか口を利かないこともありました。高校のイジメが原因で高校を中退してから、東都スーパーの従業員として仕事をしていたそうです」

「ということはそのイジメに幼馴染が関わっていたということか。そうじゃないと顔を曇らせる理由が分からない」

「違います。イジメをしていた人物は我々幼馴染の中にはいません。我々は桐壷若菜の味方ですから」

「因みに昨日の午前11時頃どこで何をしていた」

「いつも通り株式会社センタースペードで警備の仕事をしていました」


 合田は次に東宮初音に話を聞いた。

「初音さん。桐壷若菜さんとは仲が良かったのか」

「そうです。若菜の友達は私たちしかいなかった。私たち7人は全員若菜のことを好きだった。中には若菜のことを恋人のように愛していた人もいたそうですが」

「それは誰だ」

「確か藤原高明君だったかな。13年前彼女が殺されて絶望していた所を、愛衣ちゃんが慰めたというのが馴れ初め話なんですよ」

「因みに昨日の午前11時頃どこで何をしていた」

「仕事ですよ。東都銀行で仕事をしていました」


 合田が三番目に話を聞いたのは藤原愛衣。

「藤原愛衣さん。桐壷若菜さんのことをどう思っている」

「友達ですよ。13年前の葬式では高明君の次に泣きました。事件とは関係ないかもしれませんが若菜はスパイ小説が好きで、式部君と暗号を使って交換日記のようなことをしていました。その交換日記にはよく私たちのニックネームを明記されていました。たとえば式部君は0で、若菜は1というように。その暗号の法則によれば、私は18で柏木ちゃんが23、京宮君が25で、東宮ちゃんが35だそうです」

「因みに藤原高明と源幸助はどのように呼ばれていた」

「高明君と幸助君は法則に該当しないから、一号と二号と書かれていました。因みにこの暗号を解読できたのは柏木ちゃんだけで、この暗号が原因で古典教師になったそうです。それと高明は近い内に警察に行くと言っていたのを思い出しました。警察に行く理由は教えてもらえませんでしたが」


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