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 式部香子と宮本栞が痴話喧嘩のようなことをしていた時、一人の短髪の女性が檀上に上がった。彼女はこのクルーズパーティーの主催者の柏木香織である。

「皆さん。本日は私の誕生日パーティーに出席していただきありがとうございます。私はクルーズパーティー主催者で東都商業高校古文教師の柏木香織と申します。昨日は私たちの幼馴染藤原高明君が狙撃される事件が発生して、彼はお亡くなりになりました。誕生日パーティーを始める前に黙とうをしましょう」

 柏木香織に促され黙とうが始まった。黙とうは1分間に及ぶ。

 

 1分後黙とうが終わり、主催者の挨拶が再開された。

「今回のパーティーは式部香子さんの友人である宮本栞さんや、狙撃事件の捜査の一環として参加されている合田警部さんが初参加されますので、今回は簡単な自己紹介をしていただきます。順番は時計回りです」

 

 柏木香織から見て一時の方向に立っている七三分けの髪型の黒いスーツの男が一歩前に出た。

「僕は源幸助です。株式会社センタースペードで警備員をしています。よろしくお願いします」

 次に源幸助の隣にいた三つ編みの女は口を開いた。

「私は東宮初音です。東都西銀行で銀行員をしています」

 東宮初音の斜め前にいたのは藤原愛衣だ。

「藤原愛衣です。株式会社ライトクローバーで事務員をしています」

 藤原愛衣の近くに合田警部と式部香子と宮本栞の3人が固まっている。

「警視庁の合田だ。今日は狙撃事件の捜査の一環としてパーティーに参加する」


 合田の隣にいる宮本栞は一歩前に出た。

「私は宮本栞です。今日は式部香子の友人として参加します」

「式部香子です。今日はお父さんの代理として香織さんの誕生日を祝いたいと思います」

 

 最後に柏木香織の左斜め前に立っているおかっぱ頭の男が自己紹介を始めた。

「京宮蛍です。劇団シラウオで劇団員をしています」


 全員の自己紹介が終わった時、宮本栞は頬を緩ませた。

「しおり。どうしたの」

「気が付きませんか。あの5人の共通点。全員の職業に員という漢字が含まれています。さらにこの豪華客船の名前はシャイワーカー号。直訳すると内気な従業員」

 2人の会話が聞こえた合田と式部と宮本たち意外のパーティー参加者は顔を曇らせる。合田は一瞬空気が重くなったと感じた。

 重たくなった空気の中で宮本栞は式部香子との会話を続ける。

「因みに香子のお父さんの仕事は何ですか」

「学芸員だよ。学芸員として世界を飛び回っているの」

「つまりあの幼馴染7人の職業には員という漢字が含まれるという法則があるようです」


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