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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第1部 第2章 学園編 1年目

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15.いえ……面白いお方だなと

1日2回更新週間が終わるとどうなる?

知らんのか。

1日2回更新週間が始まる。


というわけで、今週も1日2回更新、頑張ります!


「待て、勝手に入っては……」

「大丈夫ですよ。悪いことをするわけでなし」


 殿下をそっとベッドに降ろして、布団を掛けてやる。


「さ。早く寝て下さい」

「いや、しかし。生徒会の仕事も、授業もある」

「殿下は大して労せずして何でもできてしまう方なんでしょう? なら1日くらい休んだところで変わりませんよ」

「だが」

「ほら、オーバーワークは身体に毒です。筋トレと同じ。何事も適量ですよ」

「……」


 起き上がろうとする殿下の肩をやんわりと押さえる。

 たとえやんわりであろうと、殿下のか弱い力ではびくともしない。


 だいたい、生徒会の仕事とは何なのだ。

 前世では乙女ゲームに限らず、二次元では当たり前のように「生徒会」なるものが存在し、学内の選ばれたカースト上位の人間が所属していたり、教師より権限を持って学校を牛耳ったりなどしていた。


 だが、現実の生徒会について、私は何も覚えていない。

 選挙はあったような気もする。入っておくと入試のとき推薦をもらえる、みたいな話もあった気がする。

 しかし、それ以上でも以下でもない。


 生徒会だからといって腕章をつけている生徒もいなかったし、「きゃー生徒会よ! かっこいい!」とかなっているのも聞いたことがない。

 何をしているのかもまったく知らないし、興味もなかった。


 思うにここで言う「生徒会」というものは、あくまで「妖精」とか「ネッシー」と同じ、空想上の存在なのではないか。

 二次元の中にだけ存在し、実在しない概念なのではないか。


 だとしたら、その仕事、やらなくても実のところ、支障はないのではないか。

 誰か先生なりがやってくれるのではないか。それこそ、妖精さんが代わりにやってくれるかもしれない。


「きみ。もしかして、だが」


 殿下のことをすっかり放置していたところ、彼は何やら胡散臭いものを見るような目つきで、私を見上げていた。


「私を心配しているのか?」

「ええ、当たり前でしょう。目の前で王太子が倒れかけて、心配しない臣下はいませんよ」

「だが、普段は私のことを、強かだなんだと言って全く病人扱いしないだろう!」


 殿下の言葉を肯定すると、彼は信じられないといった様子で食って掛かってきた。何だ、元気じゃないか。


「え? 病人扱いがご所望でしたか?」


 思わず呆れた声を出してしまう。まだそんなことを言っているのか。


「いや、されたいというか、その」


 気まずそうに口ごもり始めた殿下に、私はわざとらしく肩を竦めて告げる。


「病人扱いというなら、城下に連れ出すなどもってのほかだなぁ」

「ぐ、」


 悔しそうに俯く殿下。もはやライフワークになってしまった趣味の資材を買いに行けないのは、殿下にとって辛かろう。

 その姿が完璧王子たるゲームでの彼とはあまりにも乖離していたものだから、私はつい笑いを漏らしてしまった。


「……何がおかしい」

「いえ……面白いお方だなと」

「面白い? 私が?」


 私の言葉に、殿下は一瞬目を丸くすると、すぐに視線を鋭くして私を睨んだ。私は咳払いと共に姿勢を正す。

 不敬とそうでないことの線引きが難しい。乙女心より難しい。


「普段の王太子らしい殿下と、ずいぶん違う顔をされるもので」

「……きみのせいだよ」

 

 殿下が、私を睨みつけたままで呟く。その頬は妙に赤く、長い髪からちらりと覗く耳まで朱に染まっている。もしかすると、本当に熱があるとかで体調が優れないのかもしれない。

 だとしたら私はお手柄なのではないか。報奨金とかもらえないものだろうか。


「きみがおかしなやつだから、つられているんだ」

「おや、心外だ」

「私だって、きみに面白いと言われるのは心外だよ」


 ふむ。それは一理ある。この外見の令嬢という時点で、自分がイロモノ枠だという自覚は大いにあった。


「では、ゆっくり休んでおかしなところは治してください。いつもの完璧な王太子殿下に戻ったら、またいくらでも働けますよ」

「……そう、だな」


 布団をぽんぽんと叩いて立ち上がれば、殿下は瞼を閉じたまま、布団の端を握って小さくそう答えた。


 医務室の出口に近づくと、戻ってきた保健医とすれ違ったので殿下のことを伝えておいた。

 すると彼女は、さっと顔を青くして私に詰め寄る。


「ば、バートンさん。あのね。体調の悪い人に付き添ってくれたのはありがたいのだけど……貴女は女の子なんだから、男の子と2人きりになるというのは……その……」

「心外だな。いくら殿下が可憐でも、病人を襲ったりしませんよ」

「違うの。バートンさん。違うのよ」


 私の肩を掴んできた保健医は、がっくりと項垂れた。


なんと! 初めてレビューと言うものを書いていただきました!

この場を借りてお礼を申し上げます。

ありがとうございます! すごくすごくうれしいです!

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― 新着の感想 ―
保健室の先生こそ殿下と二人きり密室はいけないティーチャー♥️扱いされそう そしてなんだろう。。。 心が清いのでBLに見えてきました。 良く言うなら多様性。 幻覚なら殿下はかわいい受け子ちゃん。 あは…
[一言] 最後『違う違うそうじゃ、そうじゃな〜い』って流れてきたww
[良い点] 最後の保健の先生がうなだれるところ、面白い! [一言] 生徒会は意外と大変なんですよ! うちの学校では文化祭の時の校舎の装飾とか、各部活動への予算の分配とか、生徒からの校則変えて欲しいとか…
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