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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第2部 第7章 天下一武道会編

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11.「リリアちゃん」

 ついにチキチキ(略)天下一武道会当日となった。

 なってしまった。


 一応実況解説役を仰せつかったので、王族などやんごとなき皆様がいるVIP席に座っておくことになっている。

 普通実況解説は別々の人間がやるべきなのでは。過重労働にもほどがある。


 今回の天下一武道会、一対一での戦いでは明らかに強すぎる師団がいることから、各チームから一人ずつ戦っていくいわゆる団体戦のほかに「総力戦」というカテゴリが準備されている。

 総力戦では参加する人数に制限がない代わりに、団体戦で「大将」に指定しているメンバーは参加できないというルールがあるのが特徴だ。


 つまり、並外れた戦闘力を持っているような人間――もしくはほぼ人外――がいるようなチームと戦う場合でも、人海戦術による力押しで封じ込められる可能性があり、かつ一番の強者とは戦わなくても済むというメリットがある。

 もちろんこちらも一番のエースを投入できないというデメリットはあるが……それを補って余りある場面も出てくるはずだ。


 どちらの方法で戦うかはくじ引きで決まる。

 最初から勝敗が決まっていてはつまらない。

 特定のチームが大勝することがないよう、一応のゲーム性も考慮されているわけだ。

 それでも十三や近衛が有利なことには変わりないだろうが……果たしてどうなることやら。


 貼りだされたトーナメント表を眺めていると、ぱたぱたと駆け寄ってくるような足音が聞こえてきた。


「騎士さま!」


 抱き着いてきた少女を受け止める。

 受け止めてその顔を見て、少女ではなく少年だったことに気づいた。


 相変わらず可愛らしい女の子に扮したレイが、にこにこと嬉しそうに微笑みながら私を見上げている。

 教会のお世話になっていると聞いていたが、まだ女装はやめていないようだ。この国の信仰する神様とやらは、そのあたり理解がおありらしい。


「どうしたの、こんなところで」

「今日はね、聖騎士さまたちの応援なの!」

「わたしが連れてきたんですよう」


 レイの後ろから、リリアが歩いて姿を現す。

 聖騎士、というのは第七師団のことだ。

 なるほど、それならば教会の許可が出るのも頷ける。しかも聖女の監視付きとあらばなおさらだ。


「リリアちゃんがね、一緒に行こうって」

「リリアちゃん」


 思わず反芻してしまった。

 あまり聞き覚えのない呼び方だったからだ。


 学園はお貴族様ばかりなので、他のご令嬢がリリアのことを呼ぶとしても「ダグラスさん」や「リリアさん」が良いところだった。

 リリアには私以外に親しい友人はいないようなので、そういった場面を目撃していないだけかもしれないが――「リリアちゃん」ときたか。何となく新鮮だ。


 じっとリリアを見つめて、思ったことをそのまま口から出す。


「君、ショタコン?」

「な、なんたる言いがかり!!」

「こんな子どもにそんな風に呼ばせて喜んでるから」

「喜んでない件!!」


 リリアが地団駄を踏んだ。


 まぁ半分は冗談だが、レイは少女と見紛うような可愛らしい見た目をしている。

 リリアは男性が苦手なようだし、これくらい中性的な方がよいのではないか。

 いや、中性的の範疇からは少々はみ出しているような気もするが、それで言ったら私だって似たようなものだろう。


 同じ教会の仲間なのだし、職場恋愛というかオフィスラブというのも人気のジャンルだ。

 就職先で新しい恋を見つけてもらう分には、私は一向に構わない。

 出来ればレイが犯罪にならない年齢になってから。


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― 新着の感想 ―
[一言] おぉ、大会始まった! そしてレイちゃんだ!ひさしぶり。
[一言] 更新感謝
[良い点] 更新感謝
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