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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第2部 第5章 西の国編

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25.君は私の何なんだ

 床に落ちるより前にカップをキャッチして、机の上に戻す。

 その私の腕を掴んで、ぶんぶんと揺さぶる。


「ど、どうしたんですエリ様! もっといちゃいちゃする演技しましょうよぅ!」


 そっちが本題になっているじゃないか。


「あの王女様、お兄様を見初めて呼びつけたはずなのに、どうにも私に好意がある感じがしないんだ」


 王女様の対応を思い出す。

 ご令嬢やここにいる肉食聖女が私を見つめるその瞳には、「熱」がある。

 だが、あの王女様にはそれがない。


 そもそもお兄様を見初めていたなら私が偽物だと気づくはずだし、何となく素敵な人だと聞いたから、くらいのフワッとした理由で名前を挙げたなら、この仕上げた外見に何かしらの感情を抱いて……そして女たらしっぷりに失望してくれてもよさそうなものだ。


「『人望の公爵』の人望に興味があるだけの可能性もあるけど、あの王女様は人望に困るタイプには見えなかった。何か他の理由があるような気がする」


 それを聞き出せれば、案外あっさり解決するかもしれない。

 私としても早く帰れるに越したことはないので、そうなれば願ったり叶ったりだ。


「ええと、エリ様?」


 リリアが言いにくそうにおずおずと手を上げた。


「好意がある感じが、しない?」

「うん」

「そんなこと分かるんですか?」

「分かるよ、それは」


 宇宙人でも見るような顔で言うリリアに、思わず苦笑いした。


 そんなに信じがたいような話でもないだろう。

 リリアだって、私が彼女を落とそうとしていた時に感じたはずだ。私からの、好意を。


 あれほど分かりやすくはなくても、人から向けられる感情というものは大なり小なり、誰でも感じながら暮らしているものだろう。


「前も言っただろ? そういう他人の機微には聡い方なんだ。好意があるかどうかくらい分かる」

「おまいう」

「だからまずは2人で話して、王女様の真意を探ろうと思う」


 信用する気がないらしいリリアを無視してそう言うと、彼女は不満げに頬を膨らませた。

 そして唇を尖らせ、拗ねたような口調で言う。


「ダイアナ様が美人で巨乳だからそんなこと言うんです! あーあ、やらしーんだ!」

「もう何から突っ込めばいいんだ、私は」

「エリ様は私のエリ様なのに」

「君は私の何なんだ」


 面倒くささが天元突破していた。

 ため息をついて、紅茶を啜る。


 リリアはしばらくぶつぶつ文句を言いながらクッキーを齧っていたが、ふと思い出したように声を上げた。


「そういえば……似てる気がするんですよね。あの王女様」

「誰に?」

「エリ様読んだことありません? ロイラバのコミカライズ」

「……あー、あれか。途中で打ち切りになった」

「打ち切りとか縁起の悪いこと言うのやめてください!」


 事実を言ったら怒られた。


 ゲームはかなりやりこんだが、グッズや漫画までは積極的に集めていなかったので、詳しくは知らない。

 そんな私でも打ち切りめいた最後だったことは知っている。


 「俺たちの戦いはまだまだこれからだ!」的な終わり方だったとSNSで見かけたからだ。

 どんな乙女ゲームだ、それは。


「あれは、戦略的撤退です」

「撤退してるんじゃないか……」


 まぁゲームの漫画版なんてたいていファン向けのサービスみたいなものだ。新規顧客の呼び込みをそれほど見込んでいるとも思えない。

 ロイラバの漫画の媒体もゲーム雑誌だった気がする。


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― 新着の感想 ―
[良い点] リジー、ナイスキャッチ。リリア度々宇宙ねこみたいになるの面白いです。 [気になる点] リジーは攻略してる相手なら注意して見てるからわかるけど、攻略してない相手から好意を寄せられると気づけな…
[良い点] 更新感謝
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