プロローグ
大変長らくお待たせいたしました。
モブどれの続編を本日より更新開始いたします!
現在鋭意書いている途中なので、しばらくは月・水・土の週3回更新(多分夜)にて進めていく予定です。
進みが遅いと感じられるかもしれませんが、ストックができたら頻度を上げることも考えていますので、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
お兄様と2人、テーブルを囲んでお茶を飲む。
久しぶりにお兄様とゆっくり話が出来て、私は非常に充実した時間を過ごしていた。
乙女ゲームの期間も無事に終わって、私は学園の3年生になった。特に代わり映えのない、当たり前の日常を謳歌している。
私を攻略した主人公が、友情エンドでは満足してくれていないらしいことを除けば……私の生活は実に穏やかなものだった。
朝起きて、ランニングをして、筋トレをする。シャワーを浴びてメイクを整え、学園で勉強に勤しむ。
友の会のご令嬢やクラスメイトと話して、放課後は気が向いたらバイト先である騎士団候補生の訓練場に顔を出す。
帰ってきてランニングをして、家族と夕食を食べる。筋トレをしてシャワーを浴びて、就寝。
休日は訓練場に行くか、警邏のバイトをして過ごす。時折我儘な王族や聖女に付き合わされて出掛けたりする。
その繰り返しだ。
いたって平凡だ。平凡な高校生の日常だ。
だがこの平凡で穏やかな日々も、努力によって勝ち取ったものだと思うと感慨深い。
つまるところ、私は平穏を謳歌していたのだ。
「そういえば。少し留守にするかも」
お兄様の言葉に、ふと手を止めて問いかける。
「領地ですか?」
「ううん。西の国」
「……視察でしょうか?」
「それが……向こうの王女様が、僕と結婚したいって言ってるみたいなんだ」
ぽとりと、手に持っていた齧りかけのクッキーを取り落とした。
「でも、僕は跡継ぎだし、そう言うわけには行かないってエドや陛下が断ってくれているみたいなんだけど……向こうの国王様がかなり強引らしくて。正式にお断りするためにも、一度僕本人があちらに行くことに……」
「やだ」
咄嗟に声が出た。
最早脊髄反射だった。
「り、リジー?」
「ぜっっっったいに嫌だ!!!!!」
その日、私とお兄様は、記憶にある限り初めての大喧嘩をした。





