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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第1部 第4章 長い長いエピローグ編

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34.世界にたった一人の(???視点)

例のあの人視点です。

 世界にたった一人の、僕の可愛い妹。


 いつからだったろう。妹の様子が変わったことに気づいたのは。

 何かに追い立てられるように、切羽詰ったように。

 妹はどんどんと変わって行った。

 生まれてからずっと見てきたんだ。それくらい、すぐに分かった。


 長かった髪をばっさり切った。男の子の服を身に着けるようになった。

 まるで、見えない何かと戦っているような。

 戦うための準備をしているような。

 あまりにめまぐるしい変化に、僕は、何も聞けなかった。


 それとなく聞いてみても、はぐらかされて。年相応でない困ったような笑顔の妹に、僕は何も聞けなくなってしまった。

 何かがあったのだと思う。僕や両親に言えないようなことが。もしかしたら、言ったところで誰も信じないようなことが。

 たとえばそれは神のお告げかもしれないし、怖い夢かもしれない。


 どうして話してくれないのだろうと思った。話してくれないと、分からないと思った。僕には分からなかった。

 何故妹がこんなにも、変わっていくのか。


 だけれど、1つだけ分かることがあった。

 リジーが僕の、大切な妹だということだ。

 それが分かっていれば、僕には十分だった。


 頑張っていたら応援して、危険なことをしていたら、叱る。

 障害があれば、乗り越えられるように手助けをした。どこかに行きたがっていたら、途中まで手を引いて案内した。


 僕には、こんなことしか出来ないけれど。

 それが僕にしか出来ないことかもしれないから。


 リジーが変わったとしても、仮に変わっていなかったとしても。僕がすることは何も変わらない。

 僕はリジーに大切だよと伝え続けた。言葉だけじゃなく、行動でも示し続けた。

 いつか彼女が立ち止まったとき。僕という味方がいることを、思い出してもらえるように。

 少しでも、彼女の力になれるように。


 あの子はずっと頑張ってきたんだ。一人でずっと、戦ってきたんだ。


 リジーはどんどん強くなった。

 僕が手を引かなくったって、もうどこにだって行ける。


 僕が今までしてきたように、両親が今までしてきたように。

 他の誰かを守り、助けることができるようになった。何かを教えることが出来るようになった。

 もう、守られるだけの小さな妹は、どこにもいない。


 だけれど、もし強くなったからと言って、守る側になったからといって、兄が妹を守っちゃいけないなんて理由は、どこにもないはずだ。


 僕は君を守るよ、リジー。

 たとえどんなに君が、強くても。

 たとえ君が一人で戦っていても。

 僕は僕に出来る精一杯で、君を守る。


 君は一人じゃないと伝え続ける。

 君が大切だと伝え続ける。


 だって、僕は君の家族で……たった一人の、兄だから。


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― 新着の感想 ―
そう言えばお兄様名無しでしたね
[一言] 兄上、やはりイケメン過ぎます。 こんなお兄様居たら、理想高くなりますよ♪
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