表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第1部 第4章 長い長いエピローグ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

217/598

31.君、時々やけに強情なんだから

「ああ、姉上。おはようございます」

「おはよう、クリストファー」


 支度をして朝食の席に行くと、クリストファーがすでにほとんど食事を終えているところだった。

 今日はお兄様もすでに出かけたらしく、ダイニングには私と彼しかいない。

 席について、私も食事を開始する。


「ちゃんと教科書持ちました? 今日は歴史の小テストのはずですよ」

「はいはい、持った持った」


 適当に返事をしながら、壁際の柱時計を確認する。もう時間がないのでさっさと食べてしまわなければ。


「寝坊ですか?」

「いや、何だか寝てるはずなのに寝た気がしなくて。ランニングの後うとうとしていたら、いつの間にやらこんな時間でさ」


 話している間にも欠伸が出る。

 いけない。このまま学園に行ったらまた気の抜けた顔についてとやかく言われてしまう。


「特に、今日は妙に早く目が覚めたんだ。おかげでもう眠たくなってきた。サボって寝たいくらいだ」

「姉上」

「はい」

「いけません」

「はい」


 冗談だったのだが、普通に怒られた。

 我が義弟、最近どんどん侍女長みたいになってきている気がする。


 生来の性格に、侍女長の口うるさいところ、バートン公爵家らしさ――と、私の悪いところ――の諸々がハイブリッドされてしまった。

 もうちょっとお兄様に似て、のんびりした性格になってくれても良かったのだが。


 最後のパンを牛乳で流し込んで食事を終える。クリストファーが呆れた顔でこちらを見ていた。


「今日は馬車で行こうかな。少しでもいいから、寝たい」

「じゃあ、ぼく先に馬車に行っていますね」

「うん」


 急いで歯を磨き、髪型とメイクの最終確認を行う。コートを羽織ってマフラーを巻いた。

 今日もまぁまぁ、盛れている。やはり盛れている方が良い。何が良いかと言うと、私の気分が。


 正面玄関に行くと、馬車で待っているはずのクリストファーが馬の手綱を引いて立っていた。


「クリストファー?」

「……姉上、今日は馬で行きましょう」

「は?」


 クリストファーが私の手を引いて、にこりと笑いかけた。

 そのままぐいぐいと私の背中を押して、馬の――お嬢さんの前に立たせる。

 わざわざ私を乗せてくれる彼女を連れてきているあたり、どうも本気らしい。


「ぼくが手綱を取りますから、姉上は後ろで寝ていてください」

「いや、それはどうなんだ、絵面的に」

「いーいーかーらー」

「ああもう、はいはい、分かったよ。君、時々やけに強情なんだから」


 言い出したら聞かない義弟に負けて、私は馬に跨った。

 まぁ、今さらモテるための見栄えを気にする必要もない。朝っぱらからクリストファーの機嫌を損ねるのも面倒だ。


「しっかり掴まっていてくださいね」


 クリストファーが私の前に座り、手綱を取る。

 妙に機嫌のいい義弟に、私はやれやれとため息をついた。お兄様同様、私もなかなか弟に甘い。


 彼が腹を蹴ると、お嬢さんがゆっくりと進み出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍最新6巻はこちら↓
i000000

もしお気に召しましたら、
他のお話もご覧いただけると嬉しいです!

転生幼女(元師匠)と愛重めの弟子の契約婚ラブコメ↓
元大魔導師、前世の教え子と歳の差婚をする 〜歳上になった元教え子が死んだ私への初恋を拗らせていた〜

社畜リーマンの異世界転生ファンタジー↓
【連載版】異世界リーマン、勇者パーティーに入る

なんちゃってファンタジー短編↓
うちの聖騎士が追放されてくれない

なんちゃってファンタジー短編2↓
こちら、異世界サポートセンターのスズキが承ります

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ