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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第1部 第3章 学園編 2年目

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79.ネタばらし

 さて。ダンスパーティーも終わり、これでルート分岐も終わったことになる。

 友情エンドの場合、この後に待つのは当たり障りのない展開だ。もうほとんど、終わったと言ってもいい。


 後に残るのは。


「リリア。聞いてくれるかな、私の……これまでの話を」


 ネタばらしだ。


 リリアを男爵家まで送る馬車の中で、私は彼女に話した。


 前世の記憶があること。

 ここが乙女ゲームの世界だと知っていること。

 本当は私が、モブ同然の悪役令嬢だということ。


 幸せになるために、主人公ヒロインに攻略されると決めたこと。

 最初からそのつもりで、リリアに近づいたこと。

 すべて分かったうえで、リリアの気持ちを利用したこと。


 かなりかいつまんで話したが、なかなかに長くなった。

 重湯レベルの前世とは比べ物にならないほどの密度がある、10年だったから。


 リリアは時々驚いたように目を見開いたり、相槌を打ったりしていたが、最後まで聞いてくれた。

 そして、少し考えるような仕草をした後、私に問いかけてきた。


「じゃあ、男装も、剣も、立ち居振る舞いも……全部、わたしのため?」

「君のためというか、君に攻略してもらうため、だけど。まぁ、ざっくり言えばそうだね」


 彼女の問いかけに、私は頷く。


「君が怒るのは当然だと思う。私はずっと君を騙して、利用していたんだ。このゲームをやりこんでいたプレイヤーだったら、君にも好きなキャラクターがいたはずだろう? 私以外のルートを選んでいたら、きっと君は大恋愛エンドに進めたはず。好きな相手と恋人になって、大聖女の力も手に入れて。末永く幸せに暮らす未来が、そこにはあったはずなんだ。けれど私はその幸せを君から奪った。それも、君に恋していたからじゃない。自分が幸せになりたいという、ただのエゴで、だ」

「ずっとずっと、10年間? わたしと出会うために、わたしに好きになってもらうために、努力してきたってことですよね?」

「まぁ、そういう見方も出来るかな」


 肯定すると、リリアがこちらに向かって身を乗り出してきた。

 琥珀色の瞳がきらきらと輝いている。


 うん?

 何だか、予想していた反応とずいぶん違う。


 「ひどい!」とか「騙してたのね!」とか言われて、ビンタの1つくらいは食らうんじゃないかと思っていたのだが。

 そしてビンタくらいだったら、甘んじて受けるつもりでいたのだが。


「エリ様に自覚がないだけで、それってもう、恋なんじゃないかと思うんです!」

「え? 何、エリ様? いや、リリア? それは違」

「いいえ、恋です。実質、片思いです」

「すぐ実質とか言い出すの、オタクの悪いところだと思うよ」


 ふんふんと鼻息荒く力説するリリアに、私は眉間を押さえる。


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― 新着の感想 ―
[良い点] リリアがかわいいwwww
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