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モブ同然の悪役令嬢に転生したので男装して主人公に攻略されることにしました(書籍版:モブ同然の悪役令嬢は男装して攻略対象の座を狙う)  作者: 岡崎マサムネ
第1部 第3章 学園編 2年目

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46.思春期は時と場所を選んで発揮してくれ

 歩き始めて、またかちりと小さな音がしたかと思うと、今度は風を切る音がした。

 飛んできた矢を三本まとめてキャッチし、真っ二つに折って地面に捨てる。


 この地域の人はずいぶん密猟者に迷惑していたらしい。先ほどからいくつも罠が作動している。

 時折えさの入ったかご型の罠や落とし穴のようなものもあるので、密猟者がうさぎを捕るための罠を仕掛け、その密猟者を捕らえるための罠を近隣の街の住人が仕掛けた、という二重構造になっているようだ。

 知らずに旅人が入ってしまったら悲惨だ。


 首尾よく罠をかいくぐりながら進んでいたのだが、だんだんとクリストファーが遅れがちになる。

 彼も訓練場に通っているので、少なくともリリアよりは体力があるはずだ。

 このペースについてこられないのはおかしい。


「クリストファー?」


 声を掛けながら歩み寄ると、クリストファーの顔は青白く、脂汗が浮かんでいる。


「どうした?」

「えと、……足が……」

「足? 見せて」


 彼が庇うようにして歩いていた右足を、ブーツを脱がせて確認する。

 足首の辺りが見て分かるほど赤く腫れ上がり、じんじんと熱を持っていた。


「さっき、罠を避けたときに挫いたみたいで……」

「そういうことは早く言いなさい」

「ごめんなさい……」


 ただでさえ俯いていたクリストファーが、さらに小さくなってしまった。

 やはり私はお兄様のように優しく叱るのは無理だったようだ。


「……ほら」


 何か言えば言うほど弟に泣かれそうなので、私はさっさとしゃがんで彼に背中を見せた。


「……あの」

「乗って。私が負ぶったほうが早い」

「で、でも、その」


 クリストファーはちらちらとリリアを気にしている。どうやら恥ずかしいらしい。

 彼も思春期。女の子の前でお姉ちゃんにおんぶされるのは避けたいだろうが、そんなことを言っている場合ではない。

 思春期は時と場所を選んで発揮してくれ。


「早く」


 私が急かすと、クリストファーは渋々私の背に乗った。


 余談だが、生まれてこの方「足を挫く」という経験をしたことがない。

 前世でもしたことなかったんじゃないかと思う。

 そのため「足を挫く」というのは一種のファンタジーというか、少女漫画の世界かそれこそ乙女ゲームの世界で、主人公にのみ発生する特異な現象かと思っていたくらいだ。

 いるんだなぁ、本当に。


 ……こういうのは主人公ヒロインの役回りじゃないだろうか。


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