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【完結】"全く興味がない"それだけだった  作者: やきいもほくほく


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10

 


それまでソリッドはマリアンナの熱烈なアピールを躱し続けていた。

だが、ソリッドとソフィーアの婚約を結んだ直後に、王女マリアンナからの正式な申し出があった。


末の王女であるマリアンナを溺愛している国王が、マリアンナの我儘を押し通すような形でランドリゲス公爵に打診が来た。


とはいっても、殆ど脅しのようなものだった。


ランドリゲス公爵は王家の申し出を受けるしかなかった。

そしてソリッドとソフィーアの婚約は、ランドリゲス公爵家と王家の都合であっさりと破棄された。


けれど、どうしてもランドリゲス公爵とソリッドは"ソフィーア"を自分達の手元に置きたかった。

だから多少出来が悪くてもミケーレとの婚約という形でソフィーアを再びランドリゲス公爵家に縛りつけたのだ。



(それが、どうなるかとも知らずに‥)



そんな時、1人の執事がソフィーアに耳打ちする。



「お嬢様、お客様です」


「何人?」


「3人です」


「あら、随分と少ないわね?他の方々は‥」


「私も気になって尋ねてみたのですが、ルゼット様が"僕に勝てない奴がソフィーアと一緒になれると思う?"と仰っています」


「ふふ、ルゼット様らしいわ」


「いかが致しますか?」


「全員、此方に通して頂戴」


「かしこまりました」



丁度いいタイミングでの来客にソフィーアの唇は綺麗な弧を描く。


ランドリゲス公爵やソリッドの熱い視線をものともせずに、ソフィーアは扉へ向かって歩き出す。


そんなソフィーアを体全体で追いかけていたミケーレは、ソフィーアと視線が合う度に頬を染めて顔を背けていた。


もしソフィーアのこの姿を見た状態で婚約していたら、ミケーレはどんな態度でソフィーアに接するだろうか。


考えるだけでゾッとしてしまう。


ただ1つだけ言えるのは、誓約書に自分からサインはしてもらえなかったことだろう。




サロンには複数の足音が近づいて来る。




――ガチャ




「ソフィーア様、ご機嫌いかがでしょうか?」


『ソフィーア、連絡ありがとう』


「やっと会えたね、ソフィーア!僕がどんなにこの日を待ち望んでいたか‥」


「皆様‥‥わざわざご足労頂き、ありがとうございます」



煌びやかで豪華な衣装を纏って現れた3人の男。

身なりからして明らかに高貴な身分だと直ぐに分かる。



「ソフィーア様の為ですから」


『勿論さ!それに魔法ですぐに来られるしね』


「‥‥邪魔なやつらが一杯いる」



3人はソフィーアとの再会を喜ぶように、ハグをしてから頬や手の甲にキスを落としていく。

明らかにソフィーアに好意を抱いていることが態度や表情から見てとれる。



「御紹介致します。左からヘール王国、第一王子であらせられるラバンジール殿下、アバン帝国の第二皇子、リマ殿下‥‥そして暗黒の魔術師、ルゼット様ですわ」



ヘール王国は小国ながらも他国を圧倒する武力を持っていることで有名だった。

ある希少な力を持った少数民族が発端となり出来上がった国で、王族ともなれば他国の騎士や魔術師が束になっても敵わないのだという。


その第一王子あるラバンジールは、国の中でも随一の槍と炎魔法の使い手で、1人で国を壊滅させるのも容易いと言われるほどに恐ろしい武人である。


ソフィーアを静かに見守るラバンジールの体は細く、とても戦って敵を薙ぎ倒すようには思えない。

人形のように無表情ではあるものの、女性と見間違うほどの美しい顔立ちは十分に目を引く。



そしてアバン帝国はベルタ王国の南に位置する大国である。

褐色の肌が特徴で、リマは第二皇子だがその下に24人もの兄弟がいる。


とにかく資源が豊富なアバン帝国は贅に溢れており、ベルタ王国でも理想の嫁ぎ先として話題に上がる夢の国である。



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