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第99話

ご覧いただき、ありがとうございます!

「そうか……そんなことが……」


 家に帰った俺は、姉ちゃんに杉山の所業についてチクってやりつつ、何か対応策がないか相談をしているところだ。


 なんといっても姉ちゃんは元生徒会長だから、いいアイデアをもらえそうだし。


「うーん……なかなか姑息ではあるが、難しいな……」

「やっぱりそうだよなー……」


 各部のキャプテンや選挙管理委員を買収したっていう証拠の品でもあれば、それを元に先生達に告発してやるんだけど、そんなの残ってないだろうし……。


「というか正宗。部活のキャプテンは理解できるが、選挙管理委員なんかどうやって買収できるんだ? さすがにメリットはないだろう?」

「あ……」


 そういえばそうだ。

 キャプテンたちは活動費を餌に食いつくだろうけど、選挙管理委員を、しかも複数人抱き込むにしても、メリットがないと……。


「だからまずは、選挙管理委員達がどんな内容で買収されたのか、そこを調べてみたらどうだ?」

「そうだね。さすが姉ちゃん、頼りになる」

「ふふ……だろう?」


 俺が褒めると、姉ちゃんが嬉しそうに口元を緩めた。

 で、俺はそんな姉ちゃんの表情に見惚れてしまっているわけで……。


「ああ、それと」

「?」


 そんな姉ちゃんを眺めていると、姉ちゃんが、ふと、何かを思い出したかのように声を漏らした。


「正宗達のクラスで部活動に入っている者達から、例えば部室で一緒になったりする際はできる限り録音しておくように伝えるんだ。さすがに色々な部のキャプテンが同じような発言をしていれば、信ぴょう性も高まるしな」

「うん、そうだね」


 確かに、環奈側である俺達がキャプテンが買収されていると言っても信用されないかもしれないが、そのキャプテン達が杉山に票を入れるように部員達に指示した音声を録音すれば、充分証拠になる。

 しかも、それが複数のキャプテンからであればなおさらだ。


「はは、本当に姉ちゃんに相談して正解だったな」

「む、そ、そうか……だ、だけどそこまで手放しに褒められると、その……」


 そう言って、いつも自信満々の姉ちゃんが顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに俯いた。

 うう……そ、そんな態度、ギャップがあって尊さだけが俺の中で爆上がりなんだけど……。


「じゃ、じゃあ早速、環奈達にRINEで伝えるよ」

「ああ、そうしてやれ」


 俺は自分の部屋へと戻ると、クラスメイト達に一斉にRINEを送信した。


 すると。


 ——ピコン。


『分かった。早速明日の朝練から録音するようにするよ』

『任せとけ』

『うん! 他の部員達にも頼んでみる!』


 はは、本当に頼もしいクラスメイト達だ。


 俺はスマホの画面を眺めながら、思わずニヤついてしまった。


 ◇


「成程……それで、選挙管理委員がどうやって選ばれたか知りたいわけだね」

「ああ。ひょっとしたら、選ばれる前から杉山の仕込みがあったのかもしれないし」


 朝の通学、俺は歩きながら環奈に説明する。


 各部のキャプテン達の言葉の裏付けについては他のクラスメイト達に任せるとして、俺と環奈は選挙管理委員を調べようと考えた。

 特に環奈は今も生徒会副会長であるわけだし、選挙管理委員の選定にも関わっているからな。


「それだったら、睦月ちゃんが一番詳しいよね……」

「佐山が?」

「うん。今回の選挙管理委員の選定、中心になって候補者をピックアップしたり交渉したりしたの、睦月ちゃんだし」

「そうか……」


 佐山が選んだんだったら、選定の段階で杉山に与するような真似は絶対しないだろうから、やっぱり選ばれてから杉山が接触したのか……?


「うーん……分からん」

「ねー……まあでも、まずは睦月ちゃんに色々聞いてみようよ」

「そうだな。となると昼休みがいいか」

「分かった。睦月ちゃんには私から声を掛けておくね」

「頼む」


 とりあえず、杉山の裏工作を潰すための方針が決まった。


 もちろん、環奈の選挙活動自体もしっかりやらないといけないから……。


「とにかく、杉山の企みを潰すのは俺がメインで動くから、環奈は選挙に集中してくれ」

「あ、うん……だけど、まーくん大丈夫?」

「ああ、もちろん!」


 むしろ、そのほうがいいんじゃないかと思ってたりもする。

 だって……このまま環奈の傍に……いや、環奈だけじゃない、ハルさんや姉ちゃんを含めて、身近にいたらまた色々考えてしまいそうで……。


 はは……結局、俺は三人の想いに応えたくなくて、答えを見つけたくなくて、ただ逃げ出したいだけ、なのかな。


 俺はそんな自分に嫌気がさしつつ、それを環奈に悟られまいと、下手な作り笑いをしながら学校へ向かった。

お読みいただき、ありがとうございました!


この「イケメン大学生」ですが、ノベルアッププラスでも投稿を始めました!

ノベルアッププラスでは、内容を一部改稿して第2章まで公開済みです!

(一番大きな変更点として、ハルさんとの後夜祭でのダンスで吐くシーンを、ハルさんを手で押す内容に変更しました)

こちらもぜひどうぞ!


また、昨日投稿しております「俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ」もよろしくお願いします!

下のタグから行けますので、ぜひぜひご一緒にお読みください!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 対策回……杉山の手口が気になりますね! 一体どんな手を……? でも頼もしい仲間がいるのは心強いですね〜
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