表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/108

第75話

ご覧いただき、ありがとうございます!

「デュフフフ! さあ、いよいよクライマックス! 女子の部屋に侵入するでござるよ!」

「「お、おー……」」


 風呂から上がって部屋に戻った俺達は、無事桐山センセの点呼を済ませ、あとは寝るだけとなったんだけど……長岡の奴、今日は絶好調だな。


 それに、侵入と言っても、遊びに行くってあらかじめ約束してるから、全然侵入でも何でもないんだけど。


「では堀口氏、佐々木氏、レーションはちゃんと持ったでござるか?」

「「お、おー……」」


 レーションって……ただのおやつだろ。


「よし、ではフタヒトマルマル、状況を開始するでござる!」

「「お、おー……」」


 コレ、いつまで続けんだよ……。


 などと佐々木と顔を見合わせながら肩を竦めると、張り切る長岡を尻目にチラリ、と部屋の隅を見る。


「……なあ杉山、お前は……や、やっぱいいわ……」


 俺は部屋の隅で体育座りしてる杉山に声をかけようとして、やっぱりやめた。


 や、だって、何があったか知らないけど落ち込んでて可哀想だな、ってほんのちょっとだけ思ったけど、関わると面倒くさそうなんだもん。


 ということで、張り切る長岡の後ろをついて行き、環奈達の待つ部屋へと向かう。


 ——コン、コン。


「(合言葉を言え。『ステラのケーキは』)」

「(デュフフ……『超サイコー!』)」

「(ブッブー! 頭に“デュフフ”がついたからダメー!)」

「(ヒ、ヒドイでござる!)」


 何このくだらないやり取り。


「(仕方ないから今回だけだかんね)」

「(か、かたじけない!)」


 はあ、やっと入れる。


「「「「「いらっしゃーい!」」」」」

「来たぞー!」

「ちっす!」

「デュフフフ! 無事作戦成功でござる!」


 俺達は環奈達三人とハルさん、姉ちゃんの歓迎を受け、思い思いに座る。


「ところでさ、あの合言葉って誰が言い出したの?」


 佐々木がそう尋ねると、女子三人が一斉に長岡を見る……だと思ったよ!


「はい、まーくん!」

「あ、どもども」


 環奈に紙コップを差し出され、俺はそれを受け取ると、コーラをなみなみと注いでくれた。


「それじゃ修学旅行一日目、お疲れ様でしたー!」

「「「「「「「お疲れ様でしたー!」」」」」」」


 環奈の音頭で乾杯すると、持って来たお菓子の袋を開け、畳の上に広げる。


 あとは、ただ雑談を繰り広げるって感じかな。


「そうだ、明日の自由行動はどうする?」

「あー、俺と葉山はその……」


 お、なんだよ佐々木、早速うまいことやりやがって。


 と思ったら。


「フフフ……明日は佐々木くんと、色んな心霊スポットを巡るんです!」


 そう言って、葉山が嬉しそうにはしゃぐ。


 うん、佐々木よ、大変だな……。


「で、長岡は?」

「デュフフフ、拙者は聖地巡礼の旅に出ますぞ!」

「聖地?」

「そうでござる! あの有名なアニメの舞台となった、数々の橋を回るのでござる!」

「へえー」


 俺、そのアニメ観てないからよく分かんないけど。


「わ、私もたまたまその橋がある場所に有名なお茶屋さんがあるから、そこに……」


 山川が恥ずかしそうに手を挙げて、一緒に行きますアピールをしてる。


 なんだよ長岡、学年一の変態のくせにキッチリとアオハルしやがって。他の不遇なラノベの友人キャラ達に謝れ。


「つか、そういう堀口はどこ行くんだよ?」

「俺? 俺は……」


 ヤベ、そういやどこ行きたいか考えてなかったわ。


 うーん……どこに行こうか……。


「ハイ! ハイ! まーくんは私と一緒にお土産買ったりあんみつ食べたり、鴨川に並んで座ったりするの!」


 すると、環奈がすかさず明日の行程について説明してくれた。


 まあ、一緒に行動するって約束してたし、俺も特に目的があったりする訳じゃないから、環奈の希望を叶えよう。


「待て環奈、それは聞き捨てならんな……」


 ここで姉ちゃんから待ったがかかる。


「鴨川には、私が正宗と一緒に座る予定をしていたのだ。環奈は指をくわえて眺めているだけにしておけ」

「はあ!? 羽弥さん何言ってるんですか!?」


 や、環奈の言う通り、ホント何言ってるの!?


「ふふ、まあ二人は放っておいて、せっかくですから鴨川の川床で一緒にランチでもどうですか? ……その、二人きりで……」

「「はあ!?」」


 耳聡く聞いていた姉ちゃんと環奈が、今度はハルさんに詰め寄る。


「いえ、二人は並んで鴨川に座るということでしたので、私は正宗くんと、と思いまして」

「「誰がだ(誰がよ)!」」


 おおう、ハルさんがニコニコとしながら、うまく二人を手玉に取っている……いや、揶揄ってる?


「とにかく! 正宗は私と……!」

「何言ってるの! まーくんは私と約束したんだから!」

「ふふ……私も譲る気はありませんよ?」


 や、もう三人とも何言ってんの!? ……って、はっ!?


 見ると、三人が言い争っている中、他の四人がジト目で俺を眺めていた。


 や、俺、悪くない……よね?

お読みいただき、ありがとうございました!


次話は明日の夜投稿予定です!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] みんな、それぞれいい雰囲気 [気になる点] ねぇねぇ。 明日の優希視点って昨日更新なかったし、 今日も優希視点じゃない。 [一言] けっか。 優希タヒね
[一言] 年上二人は引けっ! 最初で最後の高校修学旅行なんだから!
[良い点] 三つ巴はまだまだ続きます。 友達達は順調にカップリング成立中(笑) ハルちゃんには特別感がありますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ