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84、外堀?

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

「ところでシエル?シドさんはいつ頃帰ってくるのかしら?」


母がシエルにたずねた。


シドさんとは、冒険者でありシエルの父である人だ。


「あなた達、やっと結婚が決まったのかしら?結婚のお祝いはシドさんが帰ってからやるとして、いつ頃結婚式をするつもりなの?」


「へ?」


私は持っていたフォークを落とした。


「結婚?」


「あら、違うの?シエルがS級冒険者になってすぐにソフィアのところに会いに行ったでしょ。だからてっきり告白して返事をもらって、結婚の約束をして一緒に帰ってきたのかと」


「なっ、なっ」


声にならない私の言葉をガブリエルが続ける。


「なんでそんな話になってるの?と言いたそうです」


うん、言いたい事はそんな感じだ。


「告白はしたけど、ソフィアの返事待ちらしいぜ」


アヴァリスが食事をしながら答えた。


するとニックが突然立ち上がった。


「なんだって!?シエルに返事を待たせてるって事か?シエルの何が不満なんだ!」


ニックが私に詰め寄る。


「シエルに不満なんて無いよ」


「じゃあ、すぐに告白をOKして結婚すればいいんじゃないか。シエル以上の結婚相手なんていないぞ」


わかってるよ、そんなこと。


「ちょっと待って!どうして結婚という話になってるのかはわかったけど、結婚は俺たち2人の問題なんだ。それに俺からソフィアに、すぐに返事をしなくてもいいって言ったんだ。だからそっと見守ってもらえないだろうか?」


シエル…。


「まったく。シエルにそう言われたらしょうがないな」


ニックも納得してしてくれたようだ。


「私達、少し焦りすぎたみたいね。2人のペースで決めてちょうだいな」


結婚する事は決まっているのか。


「あまり周りが騒ぎすぎるのも、なんだしな」


父もそう言ってなんとかその場を治めてくれたのだが…。


「ソフィアさん!シエルさんに告白されて返事を待たせているとか正気ですか?」


次の日、レストラン木漏れ日に顔を出した私にロジーが詰め寄った。


どうやら木漏れ日でも結婚の話を聞いてお祝いムードだったところに、今朝リンが事情を話したところらしい。


「もう、それ言わないでよ」


「マジで!S級冒険者で顔も性格もいい。そんな相手他にいないでしょ。なんですぐに結婚を承諾しないんだ」


ランドもグイグイくる。


「いや、まだ結婚を申し込まれたわけじゃないから」


私が返す。


「誰が見てもソフィアさん一筋じゃない。だからこの街ではシエルさんは観賞用として誰も本気でアタックしないのに」


「そうだったの!?」


「ええ。どう見てもソフィアさんに勝てるわけないですもんね」


それはともかく、周りはそんなふうに見ていたのか。


「で、何が問題なわけ?」


リンまで…。


「心の準備…」


小さい声で私が答える。


「え?」


「だから!心の準備期間が欲しいの。だって今までずっと幼馴染として一緒にいたのに、急に恋人とか言われてもどうしていいのかわかんないじゃない」


私は顔を真っ赤にして答えた。


3人がポカンとした顔でこちらを見てくる。


「あ〜、想像以上にお子ちゃまだったか」


「シエルさんも苦労しますね」


「この見た目で、恋愛経験ゼロとか。そうか…周りが顔が良すぎるから誰も寄ってこないのか…」


なんか憐れむような目で見るのやめて!


「2人には2人の進め方があるんだから、あんまり周りが騒がなくていいんじゃないか?」


レミーさん!


「さあ、それよりもそろそろ開店するぞ。準備はできてるのか?」


「はーい」


レミーさんのおかげで皆それぞれの仕事に戻っていった。


ありがとうレミーさん、と、思ったのも束の間、レミーさんが私に向かって言った。


「でも結婚パーティが決まったら私に腕を振るわせてくださいね」


レミーさん…。


そこにシエルが裏口からやってきた。


「ソフィア?今って少し話せるかな?」


「う、うん、別に大丈夫」


シエルに促されて、私たちは小さい頃からよくピクニックを行っていた場所にやってきた。



読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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