82、帰路
物語もいよいよ終盤に差し掛かりました。誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「ソフィア!また遊びにきてね!絶対よ」
結婚パーティの翌日、沢山のお土産と共にモルドールへ帰る時がやってきた。
「うん、クロエ!また遊びに来るね」
私はクロエと手を取り合って別れの挨拶をした。
「手紙書くね」
そう言って私達は魔道車に乗り込んだ。
御者はアヴァリス、中には私、ガブリエル、そしてシエルだ。
何故かシエルは私の隣に座っている。
「それじゃあ出発するぞ」
アヴァリスが魔道車に魔力を込めると、魔道車はスムーズに走り出した。
「シ、シエルも一緒に帰れるんだね」
そう言ってシエルの方を見ると、イケメンが思ったより至近距離で驚いた。
え?距離近くない?
ほとんど腕がくっつきそうに座っている。
「ああ、サランの冒険者協会から休暇をもらったからな」
シエルはとても嬉しそうだ。
思えば、シエルはここ最近遠征ばかり出て忙しそうにしていた。
それも今思えばS級になる為だったのか。
もしかして、私に告白する為に頑張ってくれたとか?
いやいやそれは自意識過剰すぎか…。
「お前に告白する為にしばらく忙しくしていたからな。やっと長期の休みを取ることができたんだ」
サラッと告白とかぶち込んできた!
私は顔が赤くなるのを感じながら答えた。
「そ、そうなんだ。お疲れ様」
こっちは恋愛初心者なんだから、どうしていいかわからない。
「シエル。告白できて嬉しいのはわかりますが、ソフィア様はまだ慣れてないのです。あんまり押しすぎると引かれてしまいますよ」
ガブリエル!そうだガブリエルもいたんだ。
「え?告白のこと…知って…」
私が狼狽えると、ガブリエルは頷いて言った。
「もちろん、気づいてますよ。と、言うかアヴァリスもクロエもラリーさんも気づいているでしょうね」
ええ、恥ずかしい。
「ソフィア様もそろそろお年頃ですから、しっかり考えて答えを出してくださいね。まあ、私が認めない男と結婚させるつもりは無いですが」
え?ガブリエルを納得させられないと、私は結婚できないの?
「ちなみにガブリエルが認める男の条件は?」
好奇心に負けて聞いてしまった。
「私に簡単に負けないくらい強くてソフィア様を守れる男です」
ガブリエルが微笑んで答えた。
世界にほとんどいないじゃないか!!
「そんな条件却下です」
と私が言うと、ガブリエルは、
「勝つ男ではなくて、簡単に負けない男、ですよ。それならいいでしょう?」
「いやそんな人ほぼいないじゃん。私、結婚できないよ」
私は却下と言って話を終わらせた。
「それがいるんですよ。ここに」
ガブリエルが小声でボソリと言った。
「え?何?」
「いえ、なんでもありません」
にこにこにこ。
シエルは私達のやり取りを上機嫌で眺めていた…。
さて、旅の行き道は長く感じても、帰りはあっと言う間だ。
野営で料理を作ったり、途中の街に泊まったりしながら私達はモルドールの街の近くまで戻ってきた。
帰りは魔の森を通らなかったので時間はかかったが、私のお尻も無事だった。
それに改良を重ねた魔道車はとてもスムーズに走ったので思いのほか早く帰ることができた。
「モルドールの街が見えてきたぞ」
アヴァリスが御者台から声をかけてくれる。
いよいよ家族やレストランの皆に会える。
楽しみだ。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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