80、結婚式①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
それから数日後の晴れた日、ランベール王国の大聖堂の鐘が響き、マンセル侯爵とモントン伯爵家長女クロエとの結婚式が執り行われた。
貴族でない私は大聖堂の式には参列できなかったが、後でラリーさんに聞いたところによると、それはそれは綺麗な花嫁で、感動的な式だったとか。
クロエのお父様のモントン伯爵もかなり緊張していたようだが、なんとかバージンロードを娘と歩き切ったそうだ。
「女神フォンテーヌの寵児であるソフィア様が大聖堂に入れないとは貴族とは可笑しなものですね」
私達はこの後パーティが行われるマンセル侯爵邸で先に待機している。
今いる部屋もとても豪華だ。
「いや、私平民だから当たり前だよ。むしろ結婚パーティに出られるだけでもありがたいんだよ」
「そんなもんですかね。私達にとっては神の寵児であるソフィア様の方が、この国の王より余程崇拝される存在ですのに」
崇拝?
「崇拝とかマジでやめてよ!私は普通が1番なんだから」
私がそういうと、シエルが呟いた。
「普通…普通ってなんだっけ…」
私も、シエルもすでに正装に着替えている。
シエルはガブリエルがマーガレットさんに追加でお願いしていたという、紺に金糸の刺繍が美しいフラッグコートを着ているがとても似合っている。
その見た目はまるで絵本の王子様だ。
私はもちろんマーガレットさん作の淡いブルードレスだ。
「それにしてもソフィア、そのドレスすごく似合ってるね」
シエルも面と向かって褒められるようになったのか。
ガブリエルに似てきたのかも?
なんか照れる。
「ありがとう、シエルもとっても素敵だよ」
私がそういうと、シエルはにっこり微笑みを返した。
なんかシエル…いつもと違う。
顔が熱くなる。
「これはしっかり見張っていないと、また変な虫がよってきそうだな」
「ええ、シエル。しっかり頼みましたよ」
「パーティ…オレもご馳走食べたかった…」
アヴァリスはご馳走が食べられないのが心残りらしい。
「パーティが終わったらここにそのまま泊まってもいいって部屋を用意してもらったんだ。パーティと同じかはわからないけど、お祝いのご馳走を用意してくれるって言ってたよ」
「本当か?やったぜ!」
すっかりアヴァリスが食いしん坊キャラになりつつあるな。
「私はソフィア様のお料理が1番ですけどね」
「オレも!オレもソフィアの料理が1番」
そう言ってくれると料理好きとしては嬉しい。
「ありがとう。帰ったらいっぱい料理作るね」
「俺も食べたい…ソフィアの料理」
シエルが話に加わる。
「うん、もちろん。シエルも食べにきて」
そこに侯爵家のメイドさんがやって来た。
「お待たせしました。パーティの準備が整いましたので、ゲストの方をご案内いたします。どうぞ」
私とシエルは侯爵邸の大広間に向かった。
「わあ、凄い」
この前の王宮のパーティに負けないくらい、侯爵家のパーティも凄い。
会場が煌びやかなことはもちろんだが、人の多さも凄い。
王都中の貴族が来ているのではないかと思うくらいたくさんの人だ。
しかし全く混み合った様子はなく、皆それぞれ飲み物や料理片手に談笑している。
「あ、あれは…」
子爵の馬鹿息子じゃないか?
このパーティに呼ばれていたのか。
あまり関わらないようにしなきゃ。
そう思った途端、馬鹿息子と目が合った。
「ヒッ!!」
馬鹿息子は何故か私と目が合うなり、顔を青くして震え出した。
「息子よ!どうしたのだ。おい、そこの!早く控え室へ運べ!」
父と思われる良く似た顔立ちの男性が、侯爵家のメイドに申しつける。
「アイツ急にどうしたんだ?」
シエルが不思議そうに呟くが私は思い当たるフシがあった。
前にアヴァリスがかけた洗脳が残っているのだろう。
つまり私を見ると無条件に恐怖を覚えると言うことだ。
こんなおめでたい日になんか悪いことしたな。
まあ、そんなことは些細な事だ。
音楽が鳴って、新郎新婦が入場してきた。
「わあ、クロエ、すごく素敵」
拍手の中、侯爵様と寄り添って現れたクロエはとても幸せそうだ。
よく見ると、その左胸には私がプレゼントしたブローチが付けられていた。
一通り貴族達に挨拶をしたクロエと侯爵様が、私とシエルのところにやって来た。
読んでいただきましてありがとうございました。
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