78、目が覚めたら①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
ゆっくり目をあけると、豪華な天井が目に入る。
どうやら私はベッドに寝ていたらしい。
あれからどうなったんだろう?
首を動かして周りを見渡すとシエルの姿が見えた。
彼はベッド脇の椅子に座り、ベッドの端に頭をうつ伏せに乗せて寝ている。
どうやら気を失う前にシエルの声を聞いた気がしたのは、気のせいではなかったらしい。
「…シエル?」
私が掠れた声でシエルを呼ぶと、彼はガバリと身を起こした。
「ソフィア!気がついたのか?」
「シエル…。やっぱりシエルだ。シエルの声も聞こえた気がして。あれからどうなったの?どのくらい経ってるの?クロエは無事なの?ここは?」
シエルはあわてて、私を手で制した。
「待て待て。落ち着け。まずここはモントン伯爵邸で、クロエは無事だ。今は自分の部屋でまだ目を覚まさないが、医者に診てもらったところ何も問題ないそうだ」
私は安堵のため息をついた。
「はあー、良かった。怪我もない?」
「ああ、怪我もないぞ。よく守ったな」
クロエが無事で本当に良かった。
「で、今はソフィア達が攫われた次の朝だ。そろそろ昼前か?さすがソフィア、一晩ですっかり元気だな」
さすが女神様お墨付きの健康な体。
誘拐くらい一晩ぐっすり寝たら回復だ。
「ふふ、皆が助けに来てくれたおかげだよ」
「で、あれからどうなったかと言うと…」
「あ!ソフィア起きてんじゃねえか。なんでオレを呼ばないんだよ」
アヴァリスが部屋に入ってきた。
「ソフィア様、起きられたのですね。体調はいかがですか?どこか気になる所はありませんか?」
ガブリエルも部屋に入ってきてベッドに駆け寄り、心配そうに私を覗き込む。
「体調はすごくいいよ。2人とも助けに来てくれてありがとう」
いつも本当に頼りになる。
「絶対来てくれるって信じてたよ」
にっこり。
「ソフィア様!本当に申し訳ありませんでした!」
ガブリエルが突然ベッドの脇で土下座を始めた。
「え?何?ちょっとどうしたの?」
私は急な土下座にベッドの上で慌てた。
「私がついておりながら、ソフィア様をみすみすあんな奴らに攫われるなんて。どうお詫びすればいいか…」
そういうことか?
「そんな!ガブリエルのせいじゃないよ!ガブリエルもアヴァリスも中に入れない夜会に行くって決めたのは私なんだから」
まさか王様に呼ばれて行った夜会で、魔人に攫われるなんて予想できるはずがない。
「それでも私は悔しいのです…」
うーん、私もクロエも無事だし、なんともないんだけどな。
「シエルをもっと早くこちらに呼んでいれば…」
?
話の流れがわからない。
「どういうこと?」
私がガブリエルに聞き返す?
「実は俺、ついにS級冒険者に認定されたんだ」
シエルがS級に?
「えっ!すごいじゃない!シエルは本当に頑張ってたものね。おめでとう!」
S級冒険者といえば、各国に一握りしか居ない。
この若さでS級なんて他にいるのだろうか?
「だからソフィアと一緒に貴族の集まりにも行ける」
確かに。
S級冒険者の地位はどの国でも高く、このランベール王国でも貴族と同じ優遇措置が受けられるはずだ。
「ソフィア様とクロエの結婚パーティにパートナーとして出られるように、S級が取れ次第シエルにこちらに来るように言っていたのですが、まさかあんなことになるなんて」
そこまで考えてくれてたんだ。
「ありがとう。そこまで考えてくれていたなんて。嬉しいよ」
「そう言っていただけると光栄です」
シエルに向かって言う。
「シエル、マンセル侯爵にパートナーとして一緒に出られるように頼んでおくから、私と一緒にクロエの結婚パーティに行ってくれるかな?」
「もちろん。その為に来たんだ」
そこにアヴァリスが割り込んだ。
「なあ、ソフィアも目が覚めた事だし、そろそろ朝メシ食べようぜ。いい加減腹減った」
そういえば私も昨日の昼から何も食べていない。
「そうだね、話は朝食の後に詳しく聞こうかな」
読んでいただきましてありがとうございました。
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