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76、追跡

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

時間は少し遡り、ソフィアとクロエが攫われた時。


「!!」


御者と一緒に控え室にいたガブリエルはソフィアの気配が消えたのを感じた。


「どうしました?」


たずねる御者を無視して部屋の外に出る。


「アヴァリス!緊急事態です。ソフィア様の気配が王城から消えました」


そう呟くや否や、目の前にアヴァリスが現れた。


「なんだと?一体どう言うことだ」


「緊急事態です。ラリーさんに念話を使います」


ガブリエルはラリーさんに念話をするとラリーさんは戸惑った様子ながら状況をつたえた。


「なんだ?これは?風魔法か?」


「緊急事態ですのでそんな事はどうでも良いのです。今、ソフィア様はどちらにいらっしゃいますか?」


「ああ、ソフィアなら、クロエについてレストルームに行ってくれている」


「ではすぐにソフィア様がそこに今もいらっしゃるか確認していただけますか?」


「どういう事だ?」


マンセル侯爵もただならぬラリーの様子に危機を感じたようだ。


「どうした?何かあったのか?」


「マンセル侯爵。2人がレストルームにいるか至急様子を見てくれと」


侯爵はすぐに近くの王城メイドを呼びレストルームを確認するよう申し付けた。


「レストルームにはおふたりはいらっしゃいませんでした」


「それは間違いないな?」


詰め寄る侯爵にメイドは驚いて怯んだ。


「はい、個室も確認しましたが、いらっしゃいませんでした」


そう言うとメイドは一礼して仕事に戻って行った。


「ソフィア様はおられないのですね」


ガブリエルの声がする。


「ああ、ソフィアだけでなく、クロエもいない。何があったんだ!」


「それは私にもまだ分かりません。しかしソフィア様は我々が絶対にお救いしますので、伯爵邸でお待ちください」


「クロエも!クロエも助けてくれ!頼む」


ラリーが懇願する。


「もちろんクロエ様もできるだけお救いします。クロエ様に何かあればソフィア様が悲しみますので。しかし我々はあくまでソフィア様優先ですが」


「それでも。それでもクロエを頼む」


「分かりました。それではまた」


ブツリと念話を切ると、次の相手に連絡する。


「ソフィア様が攫われました。相手は魔人か、それと同格の存在でしょう。すぐに私たちに合流してください」


「わかりました。すぐ行きます」


声が聞こえたと思った時には、目の前にシエルが現れた。


「ようやく転移魔法をマスターしましたね。早く魔力を回復なさい」


そう言うと、アイテムボックスから魔力回復薬を出してシエルに渡した。


「で、ソフィアの居場所は特定できたのか?」


シエルはアヴァリスに声をかけた。


「十中八九雑貨屋で感じた気配の魔人だ。厄介なことに2人組だ」


「問題ありません、こちらは3人です」


ガブリエルが平然と言う。


「確かにそうだな。まあ、俺一人でも負ける気は無いが」


ソフィアの居場所の感知に集中するが、なかなか掴めない。


「クッソ!どうやら、違う空間に閉じ込められているようだ。こっちに戻って来てくれればすぐにわかるんだが」


「役立たずにも程がありますね」


ガブリエルが吐き捨てるように言った。


「なんだとテメー!」


「喧嘩している場合か!なんとか手がかりを見つけ出そう」


シエルが仲裁に入る。


「そういえば、何かしつこい貴族にクロエが絡まれていたと言っていたな」


「ええ、確かモリーノ伯爵とか言っていました」


アヴァリスとガブリエルの言葉にシエルが反応した。


「モリーノ伯爵といえば、影で危ないクスリを売って儲けてるって騎士団や冒険者からマークされてる奴だ」


「そいつが黒幕って説もあり得ますね。よし、モリーノ伯爵を先に尋問してみましょう」


そう話がまとまった時だった。


「ガブリエル!アヴァリス!シエル!私はここよ。助けて!」


ソフィアの声が辺りに響く。


「ソフィア様!」


「「ソフィア!」」


さらにソフィアの声がする。


「早く来て!ここよ!」


アヴァリスが、さっと視界から消えた。


「シエル、ついてこないと置いていきます」


「意地でも付いていく」


そしてガブリエルとシエルもソフィアの声の場所に向かった。





読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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