74、双子の魔人①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「やあ、こんばんは。お嬢さん達」
突然現れた2人にクロエは狼狽えた。
「誰?あなた達」
クロエの問いに少年が答える。
「ボク?ボクはリル、こっちの子はリラだよ」
「アタシはこの前会ったわよね。覚えてるかしら?」
これは非常にまずい事態だ。
近くで見るとよくわかる。
2人ともはっきりと目が赤い。
私はクロエに向き直るとクロエの耳元でこっそりと言った。
「クロエ、落ち着いて。非常事態よ。今からいうことに聞き返さないで」
私は自分のネックレスを外すとクロエの首にかけた。
「このネックレスをかけておいて。私がいいと言うまで絶対にこのネックレスを外さないで」
私の必死の思いが伝わったのかクロエはこくりと軽く頷いた。
「そう、リルとリラね。私はソフィア。私達に何か用かしら?」
心の中で必死にガブリエルを呼ぶが返事がない。
どうやら別の場所なのか別の空間なのか、王城のレストルームではないらしい。
「実はあのブタ、もといモリーノ伯爵が、どうしてもその黒髪の子が欲しいって駄々をこねるから、その子を連れに来たんだ」
「クロエを?あなた達モリーノ伯爵とどういう関係なの?」
クロエはさっきから黙って座っている。
「本当ならいちいち質問には答えないんだけど、君は特別だから教えてあげる。僕らは一応モリーノに召喚されたって事になってる」
「された事になってる?あなた達は魔人よね?あのモリーノ伯爵が魔人を2人も召喚できるって事?」
だとしたらものすごい脅威だ。
「アハハハ!あのブタがいくら奴隷を生贄に殺したって、アタシら2人を召喚できるわけないじゃん。召喚できるとしてもせいぜい下級悪魔くらいでしょ。暇だったから召喚されたふりをしてるだけよ」
えらいのを連れて来てくれたな。
「でも来て良かったよ。キミを見つけられるなんてラッキーだ。なんて芳しい魂の香り。彼女をさっさとブタに渡してキミ連れて帰るとしよう」
絶対にごめんだ。
「待って、気に入られたのは光栄だけど、彼女はどうなるの?」
絶対にクロエも渡せない。
まずはこの空間から出ないと。
「そんなの知らないわよ。連れてこいとしか言われてないし」
「ボクも彼女には興味無いな」
クロエが、青い顔で震え出す。
「待って。彼女は私の大切な友人なの。彼女がどうなるのかわからないなら、私があなた達と一緒に行くことはできないわ。気になってしょうがないもの」
「え…そうなの?」
「私もこのクロエと一緒に、そのモリーノ伯爵に会わせてくれない?クロエをどうするつもりか直接聞きたいわ」
リルとリラは少し悩んだ様子だ。
「ちょっと待ってて。相談する」
ぼそぼそぼそぼそ。
お願い!私とクロエを外に出して。
心の中で祈る。
「クロエは絶対守るから」
私はクロエの手をぎゅっと握りしめた。
「相談の結果、一度2人をモリーノのところに連れて行く事にした。それからソフィアはボクらと帰る」
「意見を聞いてくれてありがとう」
私とクロエはお互いの手を握りしめた。
「じゃあ、眠って」
そうリルが言う声を聞いた途端、ふっと意識が途切れた。
「おい、話が違うじゃないか!余計なヤツまで連れてきおって!」
怒鳴り声が響いている。
「ソフィアが来たいって言ったから」
はっと意識がハッキリする。
「初めましてモリーノ伯爵。私はクロエの友人のソフィアです」
ここは一体どこなんだろう?
さっきまでの王城では絶対にない、質素な部屋だ。
「お前があのロイド商会の娘か」
さっきまでうるさく怒鳴り散らしていた男は私を上から下まで値踏みするように見た。
うわっ、普通に気持ち悪い。
「クロエを誘拐してただで済むと思っているのですか?クロエをどうするつもり?」
「ふん、クロエは私が先に目をつけたんだ。それをマンセル侯爵が横取りしおって。クロエは屋敷の地下の部屋に閉じ込めて、わしが飽きるまで可愛がってやるつもりだ。なに、クスリを使えばすぐにこの女もわしに従順になるだろう」
モリーノ伯爵はクロエを見ていやらしく目を細めた。
最近スラム街で出回っているクスリってもしかしてコイツの仕業か。
「そんな事絶対にさせない!」
私はクロエの前に立ちはだかった。
読んでいただきましてありがとうございました。
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