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72、夜会①

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

「ふわあ。これが王城ですか。凄いですね」


クロエは婚約者のマンセル侯爵が迎えに来ると言うことで、私はひと足先にラリーさんと王城に向かった。


従者は一人連れて来てもいいと言うことだったので、ガブリエルが一緒に馬車に乗っているが、会場には入れず、控え室で待機するらしい。


そのせいもあってか、会場ではラリーさんがエスコートしてくれるそうだ。


見知らぬ人ばかりの所にラリーさんが一緒に行ってくれるとは心強い。


馬車が王城に近づくにつれ、王城の全容が明らかになってきた。


「まさか、これ全部王城じゃないでしょうね」


わたしがあまりの大きさに驚いて言うと。


「建物はこれ全部だけど、裏の山の狩場もさっきから走っている庭園も全て王城の一部だよ」


どんだけ巨大なんだ。


王族は家を出るだけでどれくらいの時間がかかるのだろう。


「わあ、大変そうですね」


私が言うとラリーさんはおかしそうに笑った。


「羨ましいじゃなくて、大変そうと思うなんて、ソフィアは面白い子だね」


「そうですか?私は商人なんで効率を考えてしまうからですかね」


「そうかもしれないが、新鮮な驚きだ」


まだ笑ってる…。


何がラリーさんのツボなのかわからない。


「それにしてもそのドレス、ソフィアに似合っているな。急な招待だったのによくドレスを準備できたな。クロエは自分のを貸すつもりだったみたいだが」


このドレスはマーガレットさんがもしものおでかけの為に余分に作ってくれた淡いグリーンのドレスだ。


「知り合いのデザイナーさんがプレゼントしてくれたんです」


「オーダーメイドか。どおりで、ソフィアの魅力をよく引き出している」


「ありがとうございます…」


そんな真っ向から褒められると照れる。


「ソフィア様!すごくお似合いです」


ガブリエルはいつも褒めすぎくらい褒めるので、通常運転で特に何も感じない。


「うん、ありがとう」


そうこうしているうちにやっと建物の入り口に着いたようだ。


ガブリエルは御者の人と移動するらしく、


「何かありましたらすぐにお呼びください」


と言って控え室へ向かった。


「招待状を拝見します」


入り口で招待状をチェックされる。


モントン伯爵令息様、ソフィア=ロイド様、ようこそいらっしゃいました。


なんか緊張する。


「緊張しないで気楽に楽しむといいよ」


ラリーさんが優しく声をかけてかけてくれるが、ガブリエルもアヴァリスもシエルもいないことなんてほぼないので、さらに緊張する。


しかし一歩ホールに足を踏み入れると、物語の舞台のような煌びやかさにただただ目を見張るばかりだ。


「凄い…ゴージャス」


私が呟くと。


「王家は権力を示さないといけないからね。必要以上に飾り立てないといけないのさ」


とラリーさんが皮肉っぽく言った。


「そんなもんなんですね」


「ああ、そんなもんさ」


ラリーさんがそう言って私を見てクスクス笑うから、私もつられて笑ってしまった。


「見て、ラリー様が笑っていらっしゃるわ」


「夜会にも滅多にお出にならないのに。ご一緒の彼の方はどこのご令嬢かしら?」


ドレス姿のご令嬢達がヒソヒソと話す声が聞こえる。


やばい、ラリーさんといると目立ってしまう。


なるべく大人しくしないと。


「ソフィア、待たせたわね。大丈夫?女性達に何も言われなかった?」


クロエがマンセル侯爵と現れた。


「うん?何も言われないけど、私何か変だった?」


ラリーさんがクロエに訳あり顔で頷く。


「そうか、ソフィアくらいの美少女が一緒だと、逆にあの人達何も言えないのか」


何かわからないけど大変なんだな。


深く聞かないでおこう。


そこに音楽が止んで奥の扉からゆっくり入って来たのはどうやらランベールの王と王族らしい。


皆頭を下げたので、私も真似をした。


「楽に」


王の威厳のある一言で、その場の止まった時間が動き出した。


王族達が上座に置いてあった椅子に座ると次々に貴族達が列に並び始めた。


どうやら身分の高い方から王様に挨拶するようだ。


クロエ達が先に並んでからラリーさんが私に声をかけた。


「私達もそろそろ行こう」


「陛下に会うと思うと緊張しますね」


「大丈夫だよ。普段は優しくておおらかな人だから」


そうなんだ。


良かった、結構怖そうに見えるから、それを聞いて少し緊張がほぐれた。


「陛下、ソフィアを連れて来ました」


王と、王妃の前に来るとまず礼をとり、それからラリーさんがいきなりそう言った。


「お目にかかれて光栄です。ロイド商会会長の娘、ソフィアと申します」


「顔をあげよ」


そう声がかかって顔を上げると、陛下も王妃も優しそうに微笑んだ。


「急に呼びつけてすまなかったな。父上には世話になっている。評判通りの美しさだな。何か困ったことがあればいつでも頼るといい」


え、父よ、そんなに陛下と交流があるなら先に言っておいてくれ。


「素敵なドレスね。どちらで作られたのかしら?」


王妃様は私のドレスが気になるようだ。


「はい、王妃様。このドレスはサランのバレンシア商会マーガレットの作品です」


マーガレットさん、宣伝しときましたよ。


「まあ、あの噂のバレンシア商会の。通りで。華やかだけど品もあってとっても素敵だわ」


「お褒めいただき、ありがとうございます」


帰ったらマーガレットさんに伝えよう。


喜ぶだろうな。





読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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