71、不穏の始まり②
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
私達はその後も王都での街歩きを楽しんだ。
起こってもいない事で、せっかく計画してくれたクロエに心配をかけてはいけない。
さっきのことは一旦忘れて、今はとにかく楽しもう。
「このレストランはそこまで味付けが濃くないからソフィアも大丈夫だと思うわ」
クロエおすすめのレストランはとても食べやすく美味しい。
「最近は王都も女性を中心に健康志向の人が増えて、少しずつ味付けを変える店が増えてきているのよ。まだ昔ながらの店はそのままだけどね」
「そうなんだね」
「貴族も昔のままでいいわけない。少しずつ変わっていかなくちゃ」
偉いなクロエは。
自分が特権階級にいるにも関わらず、それに甘んじることはない。
私も見習わなくちゃ。
「さあ、そろそろ帰りましょうか。お父様達が心配するといけないわ」
「うん、そうだね」
次の日、クロエが私を結婚相手の侯爵様に紹介したいと言うので侯爵邸について行った。
侯爵様はクロエのお兄さんくらいの歳だと聞いていたが、背が高く引き締まった大人の魅力ある人だった。
「やあ、ようこそ。君がソフィアだね。クロエから話は聞いているよ」
「初めまして、ロイド商会会長の娘でソフィアと申します。お会いできて光栄です」
私は貴族の礼をとった。
「私的な場所だ。そんなに畏まらなくても大丈夫。わざわざサランからクロエの為に来てくれてありがとう」
「優しそうな人だね」
クロエにこっそり言うと、クロエも嬉しそうだ。
「そうなの。すごく優しいの」
うんうん、クロエの結婚相手がいい人そうで良かった。
貴族は自由に結婚相手が選べない。
だからこそ優しい人と幸せになって欲しい。
馬車でクロエの家に帰る途中、こっそりクロエが教えてくれた。
実はすごく嫌な相手からも結婚の申し込みが来ていたらしい。
「モリーノ伯爵って言って、悪い噂の絶えない人でね。お金はあるみたいなんだけど、女性関係も派手だし、何より太ってて不細工で」
「ええ?いいとこないね」
「お父様が即断ってくれたんだけど、それから夜会なんかで会うと何かと絡んできて困ってるのよ」
「それは困ったね」
「でも私もマンセル侯爵との結婚が決まったから。格上の相手には大人しい人らしいからもう絡まれることも無さそう。良かったわ」
格上には頭が上がらないタイプか。
「本当にいい人と結婚が決まって良かったね」
「ええ、ほんとに」
つくづく貴族は大変だ。
「そういえば侯爵様が、明日王城で行われる夜会に是非ソフィアも参加してくれないかって言ってるんだけど、どうする?」
王城というと王様とか王子様とかいるあの王城?
「私みたいな平民が王城なんて、恐れ多いよ」
私が驚いて言うと、クロエは笑った。
「何言ってるの?サランのロイド商会って言えば王族みたいなもんじゃない。それに陛下がソフィアに会ってみたいって侯爵様に言ったらしいの」
うーん、それなら断るのは失礼か?
「ほんとに場違いじゃないのかな?」
「うん、ソフィアなら絶対大丈夫。お兄様にエスコートもさせるから安心して」
「それなら少しお邪魔しようかな…」
マーガレットさんがプレゼントしてくれたドレスがある。
夜会なんて最初で最後かもしれないから、体験してみよう。
私は軽い気持ちで夜会への参加を決めてしまった。
それがまさかあんなことになろうとは。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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