69、嵐の前
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
次の日、私とクロエは伯爵邸の馬車に乗って街の中心部までやって来た。
もちろんガブリエルとアヴァリス、さらには伯爵家護衛2人も一緒だ。
ゾロゾロと6人で移動はなかなかに多いが、嫁入り前のクロエに何かあっては大変だ。
久しぶりの友達とのお出かけだ。
昨日クロエに結婚のプレゼントも無事渡すことができた。
ブローチもとっても喜んでくれたが、それに加えてリボンの刺繍の細かさに驚いていた。
私が刺繍したのではないが、なぜか褒められた気分だ。
「こんな素敵なプレゼントよく見つけられたわね」
とクロエが言うので、宝石もリボンもフルオーダーと言ったら驚いていた。
「これ…よく見たらものすごい価値があるものじゃないの。本当にもらっていいの?」
と言ったので、
「クロエに喜んでもらいたくて頑張って作ってもらった」
と言ったら
「一生の宝物よ。ありがとう」
とものすごく喜んでくれた。
嬉しい。
リボンを作ってくれたルーシーにも手紙で感謝をもう一度伝えよう。
さて、王都の中心部にやって来た私達は、まずクロエお気に入りの雑貨屋さんに入った。
「実はずっとソフィアとお買い物行ってみたかったの」
クロエは昔から仲良くなったと思えば、ラリーさん目当ての女性だった事が重なって、人間不信になりかけていたそうだ。
「だからお兄様抜きで接してくれるソフィアがとても嬉しくて」
以前もクロエはそのような事を言っていたが、ラリーさんの次期伯爵と言う肩書と、あのルックス。
狙っている女性が多いのか、大変だな。
私は貴族になんか頼まれてもなりたくない。
「お兄様もすっかり女性不振になってしまって未だに結婚できないの」
うーん、確かラリーさんは私より結構年上だったよな。
「いい人に会えるといいね」
私がそう言うと、クロエは残念そうな顔をした。
あれ?何か言葉間違えた?
雑貨店の中はアンティークの宝石や、髪飾り、置き物やぬいぐるみなど女の子の好きなもので埋め尽くされている。
「わあ、どれも可愛い」
私も年頃の女の子。
可愛いものは大好きだ。
「こりゃ長くなりそうだな」
アヴァリスが呟いた。
しばらく物色していたが、私は可愛いジュエリーボックスを見つけた。
「あ、これ可愛い」
そのジュエリーボックスはオルゴールになっており、淡いブルーの陶器の上に金で繊細なデザインが施されていた。
デザイン違いで2種類あったが、そのうちの1つに決めた。
「私これ買おうかな」
すると、クロエがもう一つのデザインを手に取った。
「じゃあ私も今日の記念にこっちを買うわ」
それは嬉しい。
「ほんと?じゃあ、私、このジュエリーボックス絶対大事にするね」
女友達とお揃いとか前世でもなかったから嬉しすぎる。
せっかくなので自分達でお金を払うとガブリエルとアヴァリスは店の外で待っててもらうように言った。
カランカラン。
店のドアベルが鳴って新しいお客さんが入って来た。
「いらっしゃいませ」
店員さんが挨拶する。
視線を感じて入って来たお客さんの方を振り返ると、黒い膝丈のドレスに肩までのふわりとした黒髪の美少女がこちらを見ていた。
読んでいただきましてありがとうございました。
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