65、王都④
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
キコキコキコ。
ナイフで肉を切る音が微かに聞こえる。
私は魚を切って口に運ぶ…。
うーん、魚料理もやっぱりバターたっぷり。
デザートもお上品に大きなお皿に少しだけ乗っている。
確かに美味しい。
一流の味に一流のサービスだろう。
「チェックを頼む」
ガブリエルがお会計をして外に出る。
「何か足りないよー!」
私はレストランから出て角を曲がったところで立ち止まり、我慢できずに叫んだ。
長旅の後に食べる料理じゃない。
もっとわんぱくに食べたい気分だ。
「ねえ、もっと屋台みたいなのないのかな」
「屋台ですか…確か下町の方に行けばあると思いますが」
「俺ももっと肉食いてー」
アヴァリスも物足りないようだ。
「ねえ、下町の方に行ってみようよ」
私達はそのまま下町方面に行くことにした。
貴族街を少し外に向かって歩くと、賑やかな通りが広がっていた。
通りのあちこちでは飲食店が活気のある様子でやり取りしている。
通りにテーブルと椅子を出している店や、食べ歩きできそうな屋台も沢山だ。
「いいね!いっぱいある」
私は屋台でホットケーキの中に胡桃と蜂蜜が入ったものを頼んだ。
焼きたてを紙に包んで渡してもらう。
「熱いよ、気をつけて!」
お店の人もいい人そうだ。
アヴァリスは串焼き、ガブリエルは串カツのようなものを買っていた。
3人で道路脇のテーブルでそれぞれかぶりつく。
私が買ったホットケーキのようなものは韓国のホットクとクレープの間のようなものだったが、焼きたてで熱々の生地に蜂蜜と胡桃がとても美味しい。
「美味しーい」
「こっちもなかなか美味しいです」
疲れた体で甘いものは最高だ。
クレープも人気が出るかもな。
次はスイーツの専門店でも作ろうか。
「やっぱりお上品に食べても食った気がしねえな。こんな風に熱々を頬張るのが一番だ」
うん、同意。
「さ、お腹も膨れましたし、宿に帰りましょうか」
そうだった、お風呂だ。
「うん、帰ってお風呂に入りたい」
「俺は風呂とか面倒だけどな。魔法ですぐ綺麗になるし。ま、とにかく帰るか」
私はホテルに戻ると、久しぶりのお風呂を満喫したのだった。
やっぱりお風呂は最高だ。
次の日は朝から街を散策することにした。
王都は貴族街と下町に分かれていて、貴族街はその名の通り貴族の王都での屋敷が立ち並び、店も飲食店も貴族向けがほとんどだ。
私達が泊まっているホテルのように庶民が店に入るには証明書や、紹介状がいるところも多い。
一方で、下町はモルドールとあまり違わない。
モルドールの方が賑わってはいるが、屋台もあれば食堂も日用雑貨店もある。
もちろん、庶民といえどファッションや雑貨の店もある。
しかし聞いたところによれば、下町は貧富の差が激しく、路地を奥に進めばそこはスラムと化しており、犯罪者が隠れ住むにはうってつけの場所になっているそう。
下町で入った食堂のおかみさんに散々言い聞かされた。
アンタみたいな若い女の子はすぐ攫われて売り飛ばされちまうよ。
フラグを立てるのはやめてください。
「大丈夫ですよ、ソフィア様。そこに行かなければいい話です」
「もしなんかあっても俺が絶対守ってやるからな」
ガブリエルとアヴァリスが頼もしい。
「ソフィア様をお守りするのは元々わたしの役目です。お前はせいぜい盾になるといいでしょう」
「なんだと?やんのかコラ!」
うん、いつものやりとりが平和だ。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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