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65/87

65、王都④

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

キコキコキコ。


ナイフで肉を切る音が微かに聞こえる。


私は魚を切って口に運ぶ…。


うーん、魚料理もやっぱりバターたっぷり。


デザートもお上品に大きなお皿に少しだけ乗っている。


確かに美味しい。


一流の味に一流のサービスだろう。


「チェックを頼む」


ガブリエルがお会計をして外に出る。


「何か足りないよー!」


私はレストランから出て角を曲がったところで立ち止まり、我慢できずに叫んだ。


長旅の後に食べる料理じゃない。


もっとわんぱくに食べたい気分だ。


「ねえ、もっと屋台みたいなのないのかな」


「屋台ですか…確か下町の方に行けばあると思いますが」


「俺ももっと肉食いてー」


アヴァリスも物足りないようだ。


「ねえ、下町の方に行ってみようよ」


私達はそのまま下町方面に行くことにした。


貴族街を少し外に向かって歩くと、賑やかな通りが広がっていた。


通りのあちこちでは飲食店が活気のある様子でやり取りしている。


通りにテーブルと椅子を出している店や、食べ歩きできそうな屋台も沢山だ。


「いいね!いっぱいある」


私は屋台でホットケーキの中に胡桃と蜂蜜が入ったものを頼んだ。


焼きたてを紙に包んで渡してもらう。


「熱いよ、気をつけて!」


お店の人もいい人そうだ。


アヴァリスは串焼き、ガブリエルは串カツのようなものを買っていた。


3人で道路脇のテーブルでそれぞれかぶりつく。


私が買ったホットケーキのようなものは韓国のホットクとクレープの間のようなものだったが、焼きたてで熱々の生地に蜂蜜と胡桃がとても美味しい。


「美味しーい」


「こっちもなかなか美味しいです」


疲れた体で甘いものは最高だ。


クレープも人気が出るかもな。


次はスイーツの専門店でも作ろうか。


「やっぱりお上品に食べても食った気がしねえな。こんな風に熱々を頬張るのが一番だ」


うん、同意。


「さ、お腹も膨れましたし、宿に帰りましょうか」


そうだった、お風呂だ。


「うん、帰ってお風呂に入りたい」


「俺は風呂とか面倒だけどな。魔法ですぐ綺麗になるし。ま、とにかく帰るか」


私はホテルに戻ると、久しぶりのお風呂を満喫したのだった。


やっぱりお風呂は最高だ。


次の日は朝から街を散策することにした。


王都は貴族街と下町に分かれていて、貴族街はその名の通り貴族の王都での屋敷が立ち並び、店も飲食店も貴族向けがほとんどだ。


私達が泊まっているホテルのように庶民が店に入るには証明書や、紹介状がいるところも多い。


一方で、下町はモルドールとあまり違わない。


モルドールの方が賑わってはいるが、屋台もあれば食堂も日用雑貨店もある。


もちろん、庶民といえどファッションや雑貨の店もある。


しかし聞いたところによれば、下町は貧富の差が激しく、路地を奥に進めばそこはスラムと化しており、犯罪者が隠れ住むにはうってつけの場所になっているそう。


下町で入った食堂のおかみさんに散々言い聞かされた。


アンタみたいな若い女の子はすぐ攫われて売り飛ばされちまうよ。


フラグを立てるのはやめてください。


「大丈夫ですよ、ソフィア様。そこに行かなければいい話です」


「もしなんかあっても俺が絶対守ってやるからな」


ガブリエルとアヴァリスが頼もしい。


「ソフィア様をお守りするのは元々わたしの役目です。お前はせいぜい盾になるといいでしょう」


「なんだと?やんのかコラ!」


うん、いつものやりとりが平和だ。


読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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