62、王都①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「次の馬車、前へ」
3時間ほど並んでやっと私達の番が回ってきた。
「へえ、魔道車か。珍しいな。どこからきた?」
「サランです」
ガブリエルが答える。
「通行料大銅貨1枚だ」
ここでも通行税か。
サランでは街に入る時は通行税はとらない。
商人の国だから流通をスムーズにする為だ。
しかし街に無料で人を通すと言うことは、その分治安が悪くなる。
その為、街の治安を守る警備隊が配備されている。
ランベールで立ち寄ったモリスという街は警備隊などはいなかったか、いても機能していなかったかのどちらかだ。
王都ではどうなのだろう。
通行税を払い、門を通ってランベール王都へ入ると、そこは中世の映画の世界のように綺麗に綺麗な街並みが広がっていた。
遠目に見える立派な王城を中心に放射状に町並みが広がっているらしい。
「すごい!綺麗な街だね」
「ええ、よく整備されていますね」
そのまま魔道車を走らせ大通りへ進む。
「クロエが屋敷に泊めてくれるって言ってたけど、早く着いた分は宿に泊まって街を見てみよう」
王都の食べ物も食べてみたいし、お店も見てみたい。
「まずは宿を取りませんか?」
旅のスペシャリストは先に宿を抑えるのだ。
「そうだ!クロエから手紙で証明書みたいなものをもらってたんだった。王都でこれを見せると貴族向けのお店にも入れるって書いてあった」
「なるほど、紹介があれば入れるのですね。宿にも使えるかもしれません」
「じゃあ早く行ってみようぜ」
私達は、立派な建物の宿に魔道車を乗りつけた。
ドアマンが魔道車を見て姿勢を正したが、出てきた私達のくたびれた洋服を見て明らかにムッとしたようすを見せた。
私に関してはマントのフードを深くかぶっている。
「こちらのホテルは貴族かその紹介の方専用です。何のご用でしょうか?」
明らかに上から目線のむかつく態度だ。
やばい、アヴァリスがイラついている。
「アヴァリス、堪えて」
私が小声で伝える。
「どうぞこちらを。我々はモントン伯爵の紹介でサランからやってきた者です。ここに泊まれないのであれば、モントン伯爵のところに泊まります」
ガブリエルが大天使オーラ全開でドアマンに言うと明らかに怯んだ様子で証明書を手に取った。
「た、確かにモントン伯爵の証明書ですね。大変失礼いたしました。どうぞこちらへ」
私達はドアマンに案内されて中に入った。
中も凄い豪華だ。
一面に絨毯が敷き詰められ、天井には大きなシャンデリアが輝いている。
「御者のお前は車を裏の駐車場に回してくれ」
ドアマンがアヴァリスに言う。
「ああん!?」
アヴァリスが不機嫌そうにドアマンを見た。
「な、なんだ?」
ドアマンが怯むとアヴァリスはパチンと指を鳴らした。
すると魔道車がパッと消えた。
「これでいいんだろ」
「魔導士の方でしたか。失礼しました」
アヴァリスが何かアピールしたらしい。
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